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稲垣吾郎はなぜ“変人”役でも愛される? 『不機嫌な果実SP』こじれた役柄の面白さ

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 昨年末に惜しまれつつ解散したSMAP。メンバーはそれぞれソロ活動となり、新たな道を歩んでいく。そんな中、俳優として先陣を切ったのが稲垣吾郎。解散後初出演となったのは、1月6日に前半が放送された『不機嫌な果実スペシャル~3年目の浮気~』(テレビ朝日)。昨年、ドロドロの不倫劇で話題を呼んだ『不機嫌な果実』のスペシャルドラマだ。

 稲垣が演じたのは嫉妬深いマザコン夫・水越航一役。かなりの変人ではあるが、これが彼にしかできないと思わせるほどのハマり役となった。稲垣の怖くも面白い演技が癖になり、放送が終わってからは航一ロスに陥った視聴者も少なくないだろう。そして今回、『不機嫌な果実』がスペシャルドラマとして帰ってきた。“スペシャル”とだけあって航一のキャラもさらに進化しており、再び注目を集めている。

 SMAPにおける稲垣吾郎のイメージは、クールでナルシストでミステリアス。髪型をセットするのに時間をかけ、ワインと映画を好む文化系王子だ。そんな彼は年齢を重ねるに連れ、メンバーからはイジリがいのある面白キャラとして愛されるようになった。そしていつしか、SMAPの潤滑油的ポジションを確立した稲垣。結果的に、みんなのゴローちゃんとして多くのファンから親しまれている。

 俳優としての稲垣吾郎もまた本人のイメージに近い、クールでミステリアスな役柄が目立った。たとえば、『ソムリエ』(フジテレビ/98年)の天才ソムリエである佐竹城や、『陰陽師』(NHK総合/01年)の安倍晴明、『犬神家の一族』(フジテレビ/04年)の金田一耕助などが挙げられる。ただ、主演俳優としてのインパクトは、ほかのSMAPメンバーに比べるといくらか穏当ではある。稲垣の表の部分を役に反映しているだけでは何か物足りないのだ。彼が持つ本当の面白さは“表の部分”だけでは到底引き出しきれない。もちろんバラエティとの線引きは大事だ。しかし、視聴者は稲垣の独特な面白さや唯一無二のキャラクターを知っている。だからこそ稲垣らしさを求め、ただかっこいいだけの役では満足できないのかもしれない。

 2010年代になるとドラマ『流れ星』(フジテレビ)で、妹をとことん苦しめる嫌な兄役に抜擢された稲垣。世間をムカつかせるほどの悪役を演じきり、話題となった。さらに、2013年の『TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~』(TBS)では几帳面かつ潔癖性の刑事役を、2014年の『福家警部補の挨拶』(フジテレビ)ではいつも指示を無視されてしまう係長の警部役を演じ、物語に深みを与えた。近年は、稲垣ならではのパブリックイメージをうまく活かしたバイプレイヤーとして、より魅力的な俳優へと進化を続けてきたのだ。

 そして昨年放送された『不機嫌な果実』。林真理子の不倫小説を約20年ぶりに連続ドラマ化したこともあり、放送前から話題に。当初は、登場人物がほぼ不倫関係に陥るドロドロな展開で注目を浴びていた。稲垣吾郎の演じる水越航一は、主人公である水越麻也子(栗山千明)の夫で、超潔癖性かつ妻に冷たい。加えて、セックスレスなのに嫉妬深く、極度のマザコンというダメ男っぷり。不倫されても仕方ないと思わせる屈折した役だ。

 キャストが発表された時に稲垣は「実は原作と違って、2016年版の航一は最初からかなり変わった旦那として描かれているんです。『たぶん僕が演じるから、そうなったんだろうな。すごく潔癖でマザコン…これが僕のパブリックイメージなんだろうな』と、直感しました(笑)」(引用:SMAP稲垣吾郎、世間のイメージに反論「潔癖でもマザコンでもない」 栗山千明と夫婦役に「うれしい」 – モデルプレス)とコメントしていた。決してポジティブとはいえないパブリックイメージだが、それを笑って受け入れ、なお愛されるのは、彼がまごうことなきスーパースターである証だろう。その癖のある役柄は、稲垣の演技によって不気味なリアリティを獲得し、かつて佐野史郎が演じて社会現象を巻き起こした『ずっとあなたが好きだった』(TBS)の“冬彦さん”を彷彿とさせるほどだった。俳優・稲垣吾郎の特性をもっとも活かしたドラマと言っても過言ではないだろう。

      

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