『べっぴんさん』、実年齢とのギャップが醍醐味に? 若手俳優アンサンブルへの期待
しかし、先述したように、物語は今後さらに大胆な展開を迎えていく。そこで、先ほど列記した新キャストたちの生年を改めて整理してみたところ、井頭愛海(01年生まれ)、古川雄輝(87年生まれ)、森永悠希(96年生まれ)、林遣都(90年)、久保田紗友(00年)……母と娘を演じる芳根と井頭の年齢差は、わずか4歳。百田と森田は2歳差、土村に至っては古川のが年上という、かなり大胆な配役となっているのだった。
とはいえ、役者というのは、そもそも本来の自分とは異なる誰かを演じることに、その醍醐味がある。それは、年齢についても同じことだろう。下は15歳(井頭)から上は28歳(古川)までフレッシュな若手俳優たちが、実年齢に縛られることなく、それぞれの演技力で織りなすアンサンブル。これはある意味、非常に見ものだし、役者としての技量が問われる機会になりそうだ。
それにしても、ただでさえ『とと姉ちゃん』の「小橋三姉妹」よりひとり多い「4人」の若手キャストをメインに据えながら、なおかつ後半戦でさらにフレッシュな役者を大量投入する今回の『べっぴんさん』は、歴史ある「朝ドラ」においても、かなり珍しい部類に入るのではないだろうか。これまで、同じく女性実業家をモデルとしていることから、『あさが来た』、『とと姉ちゃん』の延長線上で語られることの多かった『べっぴんさん』だけど、もはや実在のモデルとはあまり関係のない新キャストの活躍次第では、相当「実験的」、あるいは「野心的な」一本となっていくのかもしれない。
いずれにせよ、「朝ドラ」史上まれに見るほどたくさんの若いキャストたちの競演が、今後最大の見どころとなっていくであろう『べっぴんさん』後半戦。この大胆キャスティングは、果たして吉と出るのだろうか? 若い俳優たちの頑張りと「成長」に期待したい。
※記事初出時、本文に事実誤認がありました。お詫びして訂正いたします。
■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「smart」「サイゾー」「AERA」「CINRA.NET」ほかで、映画、音楽、その他に関するインタビュー/コラム/対談記事を執筆。
■番組情報
NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』
制作局:NHK大阪放送局
出演:芳根京子、生瀬勝久、菅野美穂、蓮佛美沙子、高良健吾、谷村美月、百田夏菜子、土村芳、永山絢斗、市村正親、名倉潤、松下優也ほか
脚本:渡辺千穂
音楽:世武裕子
平成28年10月3日(月)〜平成29年4月1日(土)全151回(予定)
<総合>
(月〜土)午前8時〜8時15分/午後0時45分〜1時[再]
<BSプレミアム>
(月〜土)午前7時30分〜7時45分/午後11時〜11時15分[再]
(土) 午前9時30分〜11時[1週間分]
<ダイジェスト放送>
「べっぴんさん一週間」(20分)
<総合>
(日)午前11時〜11時20分
「5分で『べっぴんさん』」
<総合>
(土)午後2時50分〜2時55分
(日)午前5時45分〜5時50分/午後5時55分〜6時
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/beppinsan/