『ファンタビ』の魔法使いは強すぎる!? ダースレイダーが“魔法のあり方”を考える

『ファンタビ』魔法のインフレを考える

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 さて、本作を含むハリー・ポッター・シリーズではどうでしょうか? シリーズ初期は、それこそ魔法学校ホグワーツで魔法を学ぶ風景がバライエティー豊かに楽しく描かれています。ただ、シリーズ後半では物語がシリアスになり、強大な敵の存在が顕わになるにつれ魔法描写もシンプルになってしまいます。簡単に言うと『ドラゴン・ボール』化なんですが、かめはめ波の撃ち合いと瞬間移動ばかり目立つようになります。ハリー達が子供(といっても結構成長しちゃいますが)な分、強力な力との交換条件がギリギリ成立していると見えなくもないのですが、『ファンタスティック・ビースト』では大人がメインです。

 シリーズが新展開するタイミングだったので、ハリー・ポッター後編の「力のインフレ的魔法描写」をリセットするチャンスだったと思うのですが、後継作品でもあるため、どうしても制作サイドも派手さを前作比で考えてしまったのかもしれません。そして、魔法を使用する大人たちが特に体力的に劣る風にも描かれていない(どころか、コリン・ファレルなど堂々たる偉丈夫です)ため、強力な力を無尽蔵に使用出来るように見えてしまいます。結構な無敵ぶりです。

 人間界と魔法界との戦争が危惧されるような描写もあるのですが、このままでは人間に勝ち目などありません。シリーズは5部作を予定されているようなので、今後は「魔法とは?」、そして「魔法使用の交換条件はどう示されていくのか?」がどう描かれるのかに注目しつつ、楽しんでみるもの一興かもしれません。

■DARTHREIDER a.k.a. Rei Wordup
77年フランス、パリ生まれ。ロンドン育ち東大中退。Black Swan代表。マイカデリックでの活動を経て、日本のインディーズHIPHOP LABELブームの先駆けとなるDa.Me.Recordsを設立。自身の作品をはじめメテオ、KEN THE390,COMA-CHI,環ROY,TARO SOULなどの若き才能を輩出。ラッパーとしてだけでなく、HIPHOP MCとして多方面で活躍。DMCJAPAN,BAZOOKA!!!高校生RAP選手権、SUMMERBOMBなどのBIGEVENTに携わる。豊富なHIPHOP知識を元に監修したシンコー・ミュージックのHIPHOPDISCガイドはシリーズ中ベストの売り上げを記録している。
2009年クラブでMC中に脳梗塞で倒れるも奇跡の復活を遂げる。その際、合併症で左目を失明(一時期は右目も失明、のちに手術で回復)し、新たに眼帯の死に損ないMCとしての新しいキャラを手中にする。2014年から漢 a.k.a. GAMI率いる鎖GROUPに所属。レーベル運営、KING OF KINGSプロデュースを手掛ける。ヴォーカル、ドラム、ベースのバンド、THE BASSONSで新しいFUNK ROCKを提示し注目を集めている。

■公開情報
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
11月23日(水・祝)、全国ロードショー
監督:デビッド・イェーツ
原作・脚本:J・K・ローリング
プロデューサー:デヴィッド・ハイマン、J・K・ローリング
出演:エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、アリソン・スドル、ダン・フォグラー、コリン・ファレル
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:fantasticbeasts.jp

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