高梨臨、Huluドラマ『代償』のハードな撮影現場で得たもの「演技は役を愛するところから始める」

高梨臨『代償』インタビュー

「何を目指しているのかは自分でも謎だなって」

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 大切にしている作品がある。今年亡くなった、イランの名匠アッバス・キアロスタミ監督が日本で撮り上げた『ライク・サムワン・イン・ラブ』だ。高梨はここで、デートクラブで働く女子大生を演じ、想像を絶する物語を生き、鮮烈な印象を残している。

「監督からは、『何も観るな、とにかく、そのまま来て』と言われていたんです。毎日、言われるがままに動いて。意味がわからないまま監督に騙され続け(笑)」

 キャスト陣は、結末を知らないまま、連日演じていたという。

「だから最初はわかってなかったんですけど、何年かしてふと見返したりとかすると、やっぱりスゴいなあって、自分で観ても思います。監督の力はスゴいなって。おそらくすべてが見えていて、いろんなことを計算して。リハーサルもないんですよ。そのときの感情をそのまま撮られているような、不思議な現場でした。日本ではなかなかない現場でした」

 出演作を見直すことは他にはないと教えてくれた。

「『ライク・サムワン・イン・ラブ』だけですね。定期的に見返すのは。キアロスタミ監督の作品は、半分自分、という気がします。役作りも何もしてないですし。何も知らないで行って、言われるがまま、されるがまま、動いていただけなので。一回(自分を)リセットしたいときに観ますね」

 そこには「自分」が映っている。

「自分の中では、究極のナチュラル芝居。そこからいろんなキャラクターを探ったりとかしますね」

ナチュラルな自分に向き合うことで、可能性が広がってくるのかもしれない。

「大事です。一生忘れられないですね、あの映画は。午後から撮影のときは、一緒にご飯食べて、こういうシチュエーションでやりたいんだけど、どうやってしゃべる? と監督に訊かれる。日本人だったら、こういう会話しますね、とか話しながらセリフを作ったりしてたんです。(あらかじめ)準備ができないから、後半の突発的な展開は、(自分の反応を)そのまま撮られているだけで。恐怖もあるんですけど、それは楽でもあって。『代償』は真逆ですね。完成された台本の中で、微妙な感情の動きを表現しなければいけない。どんどん流れていく物語の中で、なるべく正確に。ブレないように。きっちり(演技を)計画したな、という感じですね。綿密にやるのは、どちらかと言うと苦手だったんです。でも今回は綿密にやれた方だと思います。自分の中では結構チャレンジな作品でした」

 つまり、両極を演じることができる。いま、自分のキャリアをどう捉えているのだろう。

「(『代償』で共演した)小栗さんや高橋(努)さんにも言われたんです、なかなかいないキャリアだよねと(笑)。私もなかなか特殊だなと思うのが、戦隊モノ(『侍戦隊シンケンジャー』)やってから、いきなりキアロスタミ作品をやっちゃったりして。そして今度は、Hulu。役柄もバラバラですからね。何を目指しているのかは自分でも謎だなって思うときが結構あるんですよね」

 彼女は作品ごとに印象が違う。おそらく、どんな場にもフィットする力があるのだろう。それは、高梨臨の「信じる」姿勢からもたらされているのだと思う。

「私自身が影響されやすいんです。なので、その作品の空気、監督によっても全然変わります。いい人に出逢って、いい作品に出逢あえれば、それで馴染めるんです。どんな場でも、新しく得られるものが必ずある。一個一個、いい作品にすることをいちばんに。そうして、次につなげていきたいなと思っています」

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(取材・文=相田冬二/撮影=下屋敷和文)

『代償』予告映像

■作品情報
Huluオリジナルドラマ『代償』
11月18日(金)より日米同時配信(全6話)
※18日は第1話と第2話を配信
監督:後藤庸介、村上正典
出演:小栗旬、高橋努、淵上泰史、柳英里紗、栁俊太郎、高梨臨など
原作:伊岡瞬 『代償』(角川文庫)
製作著作:HJホールディングス
『代償』公式サイト:http://drama-daisho.com/

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