中村蒼が語る、『刑事ダンス』でコメディに挑戦した理由 「イメージを壊していくのも、俳優の仕事」

『刑事ダンス』中村蒼インタビュー

「ひとつのターニングポイントにはなっているのかもしれません」

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ーー今回、数多くのバラエティー番組を手がけている佐久間宣行さんがプロデューサーとして参加していますが、佐久間さんの印象はいかがですか?

中村:まだあまりお話したことはないですが、鋭い目線で少し尖った印象を受けました。バラエティーという“何が起こるかわからない現場”に関わってきた方なので、様々なところにアンテナを張っていて、隅々まで気をつけて見ているんだろうと感じました。最初は、ものすごい明るいバラエティーを体現しているような方なのかなと思っていたんですけど、全然違いましたね。クリエイティブですし、ふざけたこともするけどセンスがあって。演出で無茶振りは一切なかったのですが、「今、こうしたら面白いんだ」「これを付け加えたらきっと面白くなるだろうな」とか、そういうことを考えているようでした。ある意味、すべて見透かされているようで、ちょっと怖い感じがしますね(笑)。

ーー刑事かつアイドルを演じるにあたり、劇中では歌や踊りを披露するとか。

中村:歌もダンスもほぼ未経験なので、これはもう振り切ってやるしかないと思いました。最初は下手でいいっていう設定だったんですけど、逆に下手くそ具合のバランスを掴むのが難しかったです。それに、踊っていくうちに上手いと思われたいという変なプライドが芽生えてきて…ひとりで自主練習をするようになりました。でも、他のメンバーもしっかり練習していたみたいで、最終的にはみんなそこそこ踊れるようになりましたね。そのせいで、初日の撮影では逆に下手に踊るフリができなくなってしまい、どっち付かずの微妙な感じになって大変な思いをしましたが(笑)。

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ーー作中で使用されている歌は全部オリジナルですよね。実際のアイドルを参考にされたのですか?

中村:今回のドラマは番組の裏側を見せるパートが多く、表立ってカメラの前でパフォーマンスするシーンは少なかったので、細かく研究することはしませんでした。僕がアイドルの方をテレビで観ていて惹かれるのは、やっぱりキラキラ輝いているところなんですよね。役者の場合は、自分のどうしようもない部分や弱い部分をさらけ出さないといけない場面がけっこうあって、それによって気分が落ち込んだり、上手く出しきれなくてヘコむことも多いのですが、そういう弱っている時にテレビでアイドルを観ると、パワーや元気をもらえることがあります。だからこそ、ステージに立つシーンのときは、実際のアイドルみたいなかっこよさを意識して、負の感情が出ないように心がけています。視聴者の方にも、僕のキラキラしている感じが伝わってほしいですね。

ーー話は少し変わりますが、11月11日から公演される舞台『さようならば、いざ』では2年ぶりに舞台へ出演しますね。

中村:舞台は、誤魔化しが効かないことが多いので、自分の良いところも悪いところも、すべてお客さんに見られる場所だと思っています。ドラマ以上に緊張はするのですが、今回は劇団“ONEOR8”さんの舞台に客演として初出演するので、同じくらい楽しみでもあります。昔は舞台がめちゃくちゃ不安で、怖いとしか思わなかったんですけど、今回はいい意味で少し余裕がありますね。

ーー余裕があったのですね。

中村:舞台のお話をいただいてから何日か経った後、よくよく考えたら今までに比べてあんまり不安要素がないなって思いました。それがどうしてなのかはハッキリとわからないのですが、おそらく2年前に出演した舞台から、これまでに経験してきた役の影響はあると思います。正統派の役だけでなく、個性的な役をたくさん経験できたので、心境にも変化があったのかなって。今回は、“ONEOR8”さんに支えていただく部分も大きいので、いつもより不安が少なかったのかもしれないです。

ーー『無痛〜診える眼〜』(フジテレビ系)で演じた特殊な役をはじめ、様々な役柄を通したことで自信がついたのでは?

中村:そうかもしれませんね。サイコパスのように異常性のあるキャラクターは、望んでできる役回りではないので、『無痛〜診える眼〜』は良い経験になりました。それで自分自身が変われたかどうかはわからないけど、間違いなく今までにやったことがない役に飛び込んだことで、自分でも知らない自分を見られたと思います。明らかな変化を感じることができたという意味では、ひとつのターニングポイントにはなっているのかもしれません。

(取材・文=戸塚安友奈)

■放送情報
土曜ドラマ24『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』
テレビ番組ほか、10月8日より毎週土曜深夜0時20分~0時50分(全12回)放送
出演:中村蒼、大東駿介、横浜流星、森永悠希、立花裕大、青山美郷、福地桃子、野間口徹、近藤芳正
脚本:オークラ、土屋亮一、大井洋一
監督:住田崇、佐藤さやか
チーフプロデューサー:浅野太(テレビ東京)
プロデューサー:佐久間宣行(テレビ東京)、阿部真士(テレビ東京)、 熊谷理恵(ラフ・アット)
制作協力:ラフ・アット
製作著作:テレビ東京
公式サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/dekadance/

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