『ラスト・エンペラー』から『ハイ・ライズ』へーー受け継がれた“映像主義”

ビジュアル映画としての『ハイ・ライズ』

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 このように考えていくと、映画『ハイ・ライズ』は切り裂かれた脳のビジョンから始まるサイコホラーでもある。タワーマンションと脳、2つの閉鎖空間内で起きる混乱はそのまま我々の思考を乱していく。だからもし鑑賞後に「わけがわからなかった」となったなら、それは成功だ。明瞭な説明をせず、さまざまなクエスチョンを残してくれる神秘的な映画体験こそ、映像の力を信じ切った本作の価値に違いない。

■嶋田 一
映画ライター。『ラスト・エンペラー』公開の87年生まれ。

■公開情報
『ハイ・ライズ』
8月6日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開
監督:ベン・ウィートリー
原作:J・G・バラード
出演:トム・ヒドルストン、ジェレミー・アイアンズ、ルーク・エヴァンス、シエナ・ミラー、エリザベス・モス、ステイシー・マーティン
配給・宣伝:トランスフォーマー
(c)RPC HIGH-RISE LIMITED / THE BRITISH FILM INSTITUTE / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2015
公式サイト:http://www.transformer.co.jp/m/high-rise/

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