生田斗真、なぜ“変わり者”ばかり演じる? 『秘密』の無表情キャラから探る

生田斗真『秘密 THE TOP SECRET』の凄さ

 テレビドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス』(フジテレビ系)で第54回ザテレビジョンドラマアカデミー賞・助演男優賞と第11回日刊スポーツ・ドラマグランプリ・助演男優賞を、映画『人間失格』『ハナミズキ』で第53回キネマ旬報ベストテン新人賞と第53回ブルーリボン賞新人賞を受賞するという華々しい受賞歴を持ち、ジャニーズ事務所の中でも圧倒的なテレビドラマ・映画出演数を誇る生田斗真。これまでエッジの効いたキャラクターから王道の恋愛ストーリーのヒーロー役まで何でもこなしていた生田だが、また一つ演技の可能性を広げた。8月6日に公開された『秘密 THE TOP SECRET』の主役・薪剛役が好評なのだ。

 『秘密 THE TOP SECRET』は、清水玲子原作の漫画『秘密 -トップ・シークレット-』を実写映画化した作品だ。舞台は西暦2060年の日本における「科学警察研究所 法医第九研究室」、通称「第九」。第九で行われる「MRI捜査」では、死者の脳から記憶を映像として再現する事ができる。映画『秘密 THE TOP SECRET』では、生田が演じる第九室長の薪剛、岡田将生が演じる新人捜査官の青木一行を中心に、「死刑囚・露口の行方不明になった長女・絹子の捜索」、「死んだはずの絹子がなぜ生きているのか」、「28人連続殺人事件・貝沼事件と絹子の連鎖」、「なぜ第九は貝沼事件を封印したのか」という4つのミステリーを紐解いていく。

 その『秘密 THE TOP SECRET』で、生田は薪剛というキャラクターを見事に演じていた。薪は、頭脳明晰、冷静沈着なうえ、驚異的な記憶力、昆虫並みの動体視力、鋭い洞察眼を持ち、凶悪犯の脳を見ながら淡々と仕事をこなし続けることで周囲から特別視されている存在だ。一方で、秘密を抱えすぎているために感情を表に出せない面も持っている、ある意味では人間らしいキャラクターだ。その冷淡でありつつも実は繊細な部分を、生田はうまく表現していた。

 例えば作品の前半は、薪自身の秘密や心の闇を抱え、不安定で脆い部分を必死で隠すために人の前では平静を装っている様を、「無表情」で演じきった。本人も、「薪は感情を表に出さない男なので、『何もしない』演技が多く、自分でもなかなか良し悪しのジャッジが難しかった。」(出典:生田斗真、大友啓史監督との念願の初タッグで作り上げた“心地よい頭の疲れと頭の痛み”)とインタビューで話していた通り、明らかな感情の起伏がない役柄の方が、実は高度な演技力を要求されるものだ。

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