『キンプリ』と歌舞伎の意外な共通点? 声援、アフレコ、サイリウムOK上映の新しさ

 しかし、こうした作品作りはとても勇気のいることだろうと思う。なにせ観客がどう反応するかはやってみないとわからない。生の芝居の歌舞伎と違って、映画は完成させてしまったらおいそれと変更はできない。歌舞伎の掛け声も演者と観客の信頼関係で成り立っているが、キンプリも同じことだろう。菱田正和監督はじめ、キンプリ制作陣は観客を信頼しているからこのような演出に踏みきれたのだろうと思う。そして観客もその信頼に120%の力で応えている。近年稀に見る、作り手と観客が『相思相愛』の作品だろう。

 筆者の映画館でもキンプリを上映しているのだが、見終わった後の観客の表情が本当に幸せそうで相思相愛ぶりを毎日実感している。映画館主としてこれ以上の幸せはない。映画館は作り手と観客が愛を育む場だということを本作は教えてくれた。こんなクサいことを真顔で書いている筆者もきっとプリズムの煌きにやられているのかもしれない。

参考記事:歌舞伎でおしゃべり 幕間すずめ vol.8 歌舞伎って一体感? | 歌舞伎美人(かぶきびと)

■杉本穂高
神奈川県厚木市のミニシアター「アミューあつぎ映画.comシネマ」の元支配人。ブログ:「Film Goes With Net」書いてます。他ハフィントン・ポストなどでも映画評を執筆中。

■公開情報
『KING OF PRISM from PrettyRhythm』
出演:柿原徹也、前野智昭、増田俊樹、三木眞一郎、寺島惇太
監督:菱田正和
脚本:青葉譲

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