『あさが来た』では玉木宏のお母さんに なぜ風吹ジュンは“母親役”で重宝される?

 しかし、なぜ彼女がこれほどまでに「母親」役として重宝されるのでしょうか。そこで思うのは、彼女が演じる「母親」は、言わば「飾り物」としての役どころではなく、要所要所に必ず「息子/娘」と心を通い合わせる、エモーショナルな名シーンがあるということです。激しい感情のぶつかり合いというよりも、泣きながら笑い合うように、ジワリと心を通わせる「母と子」のシークエンス。そんな場面で彼女は、他の誰よりも魅力的な輝きを打ち放つのです。福山雅治、木村拓哉、長谷川博己、玉木宏、綾瀬はるか、北川景子、上野樹里……たとえ、どんな「息子/娘」であろうとも、「彼/彼女」がどんな状況に陥ろうとも、そのすべてをやさしく受けとめてくれる、「母親=風吹ジュン」の包容力。しかも、それらの役どころを、決してありがちな「母親像」に落とし込むことなく、個別の状況や関係性のなかを生きてきた「ひとりの女性」の現在として、きっちり繊細に、なおかつ可憐に演じてみせること。ひょっとすると我々は、そこに女優「風吹ジュン」のキャリアを、どこか重ね合わせながら観ているのかもしれません。

■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「CUT」、「ROCKIN’ON JAPAN」誌の編集を経てフリーランス。映画、音楽、その他諸々について、あちらこちらに書いてます。

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