『ちびまる子ちゃん』はなぜ愛され続ける? 23年ぶりの映画に見る、“憎めない”キャラの魅力
1990年にアニメがスタートし、その独特の面白さやキャッチーなテーマ曲『おどるポンポコリン』で一世を風靡し、お茶の間の人気作品となった『ちびまる子ちゃん』。テレビ放映25周年を迎えた2015冬、23年ぶりとなる劇場作『映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』が公開された。
『ちびまる子ちゃん』劇場作は、すべて原作者・さくらももこが脚本をみずから書きおろしており、第1作目から最新作までいずれもハートフルなふれあいの物語が描かれている。第1作では、クラスのやんちゃな少年コンビの友情が描かれ、第2作は、絵描きのおねえさんとまる子の交流がテーマだった。そして、3作目となる本作は、イタリアからやってきた少年・アンドレアとまる子の友情の物語だ。
花輪くんのところへ遊びにやってきた世界五カ国の少年少女たち。まるこ、たまちゃん、はまじらは、花輪くんから彼らのホームステイを頼まれるが、そのうちの一人・アンドレアはなぜかまる子の名前にただならぬ反応を見せ、まる子の家を強く希望。さくら一家に数日滞在することになる。
学校の授業にアンドレアたちが参加したり、週末、みんなで旅行に出かけたりして、楽しい日々を過ごすまる子たち。しかし、滞在期間はあっという間に過ぎていき、帰国の前日、まる子とアンドレアは一緒にお祭りに出かけ、「また会えますように」とお願いを書いた灯ろうを川に流す。そして、ついにアンドレアたちがそれぞれの国に出発する日がやってくる…。
本作を見て、何よりも印象的に感じたのは、原作者・さくらももこの分身である作品の主人公・まる子の愛すべき姿だった。
まる子は、いわゆるかわいい女の子ではないし、何か優れた才能があるわけでもない。性格がいいかといわれると、それも微妙なところ。面倒くさがりでお気楽で、楽をしようと悪巧みをするもしばしばだが、お調子者で詰めが甘く、失敗してばかりだ。しかし、この欠点だらけで人間味あふれるところが、まる子の何よりの魅力でもある。夏休みの宿題をなまけて8月31日にあわてたり、マラソン大会が嫌で仮病を使おうとしたりするまる子。お正月にお年玉のお札を数えてほくそえむまる子。彼女の行動の数々に共感したことが、視聴者はみな一度、二度、あるのではないだろうか。見ている側がどこか共感する、まさに等身大のキャラクター。だからこそ、彼女は25年もの間、お茶の間で愛され続けてきたのだろう。