ワイルドなTボーンから霜降り和牛までーー『ステーキ・レボリューション』が描く空腹のストーリー

『ステーキ・レボリューション』レビュー

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 さて、近年は食をテーマにした映画に良作が多く、ドキュメンタリーでは昨年公開された『世界一美しいボルドーの秘密』が評判を呼んだ。ボルドーワインが投資の対象となり、“飲むには高すぎる”と言われるまでに至った内幕に迫る骨太な作品で、ワインに例えるならフルボディというところか。革命や戦争を乗り越えてきたボルドーの力強さ、“復活力”が描かれたため後味は軽やかだったが、鑑賞後に無邪気に乾杯、となる内容ではなかった。気軽に楽しむなら、『ステーキ・レボリューション』の方が向いているかもしれない。

 一方で、エンタメ作品なら『アイアンマン』シリーズのジョン・ファブローが監督・脚本・主演までを務め、今年2月に公開された『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』が出色だった。気持ちのいいロードムービーで、かつ、多数登場するややジャンクな料理が、どれも垂涎の出来栄え。ただ、本作のメインディッシュともなる、見るからにうまそうな「キューバサンド」が味わえる店はやすやすとは見つからず、劇場を出た後に右往左往することになった。題材がステーキであれば、その心配はなさそうだ。

 本作はYEBISU GARDEN CINEMA 、109シネマズ二子玉川、大阪ステーションシティシネマほか、全国で順次公開予定。公式サイトには「ぜひ極上のステーキハウスをご予約の上、ご鑑賞ください」と書かれており、ここぞと高級鉄板焼き店に足を運ぶのもいいが、むしろアメリカンでワイルドなステーキをオススメしたい。恵比寿なら店内に熟成庫を持つなど肉にこだわる「ゴッサムグリル」、二子玉川ならNY発、アメリカの伝統的なリブアイステーキを出している「バビーズ 二子玉川」あたりだろうか。

 「いきなりステーキ」の台頭に「肉フェス」の盛り上がりなど、空前とも言えるステーキブームの総仕上げとして登場した感もある本作。ぜひじっくり鑑賞して、肉厚のステーキにかぶりついていただきたい。

(文=橋川良寛)

■公開情報
『ステーキ・レボリューション』
2015年10月17日(土) YEBISU GARDEN CINEMA/
109シネマズ二子玉川/大阪ステーションシティシネマほか全国順次公開
(C)2014 LA FERME PRODUCTIONS SAS et C.PRODUCTIONS
公式サイト:http://steakrevolution.jp/

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