今村翔吾「地方からの文化発信のモデルケースに」 秘境で作家を目指す異例のプロジェクトの狙いを聞く

「多くても月に一日程度、村の読書推進活動などに協力してもらうくらいで、基本的には執筆に専念してもらいます。ひたすら原稿と向き合っていてもいいし、自分なりに取材をしてもいい。都会と比べて、そもそも人に会う機会がめっきり減ると思うのですが、孤独と向き合うのは作家にとって必要なこと。その意味で、精神的なタフさは養われると思います。ただ、今回のプロジェクトは私にとっても椎葉村にとっても初めての試みで、どれくらいの応募があるのかもわからないため、採用人数は“若干名”としています。そのため、椎葉村自体がトキワ荘のような感じで、複数の作家が切磋琢磨する環境になるかもしれません。もちろん、一緒に住んでもらうわけではないので、そこはご安心ください」

 椎葉村での執筆活動は、作家にどんな影響を与えるのだろう。

「椎葉村で暮らしたことが、その作家と作品にどんな影響を与えるのかは未知数です。ただ、自分としっかり向き合う時間が取れるのは間違いないと思います。そして、自分と向き合った時間はその作家がプロになったときに、すごく活きてくるはずです。現在の出版不況の中で、作家としてデビューして10年生き残れるのは、おそらく100人に2〜3人だと思います。プロとして生き続けるための基礎作りを、ぜひ椎葉村でしていただきたいです」


 「秘境の文筆家」プロジェクトの募集対象は50歳未満で、プロ、アマは問われない。 エンターテインメント小説、400字詰め原稿用紙で500枚以下の作品を2024年3月31日まで募集する。 その後、作品の審査や面接を経て、2024年7月に着任となる予定だ。

■関連情報
「秘境の文筆家」プロジェクトの詳細は、椎葉村の交流拠点施設「Katerie」公式サイトにてチェック→https://katerie.jp/2024/01/22/honmiraishiibavill/

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