【ChatGPT】様々な雑誌で特集続々 品切れ重版も ビジネスパーソン拍手喝采、フリーライターは戦々恐々?

売れ行き好調で様々なジャンルの雑誌で特集、注目度が高いChatGPT

 最近、その名を聞かないことがないChatGPT。メディアの注目度は高まっており、「週刊東洋経済」4月22日号では「ChatGPT 仕事術革命」という特集が組まれ、雑誌としては異例の発売3日で重版が決まるなど、その注目の高さがうかがえる。

 ChatGPTは2022年11月30日にプロトタイプが公開されて以来、衝撃をもって迎えられ、既に近年のIT業界にとって革命的なツールと評する識者もいる。かのイーロン・マスクやビル・ゲイツも絶賛し、特にビルはChatGPTに詩を生成させるなど、自身の楽しみのために活用していると話す。

 ChatGPTの最大の特徴は、人間とやりとりしているのとほとんど変わらないレベルの自然な会話のキャッチボールが可能な点にある。そして、AIが様々なアイディアを提案してくれるため、クリエイティブな仕事にも活用の幅が広がる可能性が高いことだ。「新作のアイドルアニメを宣伝するための魅力的なキャッチコピーを考えてください」と書けば、AIがいくつかのコピーの案を出してくれる。「週刊東洋経済」にはnote株式会社でCXOなどを務める深津貴之の「質問術」を使い、ChatGPTにビジネス誌の記事を書かせた例が紹介されているほどで、使い方次第では十分に仕事で実用可能である。

 とはいえ、現時点ではまだまだChatGPTが作り出す文章には、事実関係の間違いが非常に多い。特に専門性が高く、マニアックな分野は苦手なようだ。記者も使用してみたのだが、例えば「●●という漫画家について教えてください」という質問に対しては、まったく違う漫画家のプロフィールを提示され、その漫画家のものではない代表作を挙げてくるなど、現状では人間のチェックが不可欠である。

 とはいえ、AIは日々学習し、成長していく。時間を経るごとに精度はどんどん上がっていくだろう。そのため文章作成能力は飛躍的に向上するだろう。既に海外では、ChatGPTをマスメディアが使用している例もあるようだし、今後は報道から出版の分野でAIが担う仕事はますます増加するに違いない。

AIが仕事を奪うのはライターの仕事である

 Twitter上には、AIを使って作成したイラストをUPする人がたくさんいる。なかにはベテランのイラストレーターがAIを使っている例もあり、賛否両論様々な意見が飛び交っている。基本的に、人気のある漫画家やイラストレーターは興味を持ちつつも静観している印象だ。しかし、一部の技術力を売りにしてきたイラストレーターは、AIによって確実に居場所が奪われつつあり、戦々恐々としているようである。

 そのぶん、この先、イラストは個性を売りにしたものが注目されるだろうし、従来のコピックや色鉛筆を使ったアナログの作品の価値が見直されるようになるだろう。

 それでも記者はイラストに関してはAIと人間がうまく共存していくと考えている。対して、ライターの仕事は確実にAIに食われるだろう。イラストは「AIがこんな絵を描くなんて!」というインパクトが強いので、センセーショナルに受け止められるのだが、文章や活字に関してはインパクトが薄い。ニュースには一応署名があるものの、作家性が希薄だし、原稿を誰が書いたのかなど気にして読む読者は少数であると思われる。

 ニュースは確実にAIの置き換えが進むだろう。コタツ記事と言われるようなTwitterやワイドショーの情報をまとめた記事や、PR TIMESのプレスリリースを元に執筆された記事はChatGPTが担いそうだ。こうした記事ばかり書いているライターは、危機意識を持った方がいいのではないかと思う。AIの進化が加速すれば記者の仕事の在り方も、10年後には大きく変わっていそうだ。人間にしかできない仕事とは何なのか、見つめ直す必要があるだろう。

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