特集:『ベルセルク』は後世に何を伝えるのか?

本格評論集『ベルセルク精読』刊行記念

特集:『ベルセルク』は後世に何を伝えるのか?

 『ベルセルク精読』は、ダークファンタジーの傑作として後の漫画作品はもちろん、 映画やゲームなどあらゆるエンタテインメントに絶大な影響を与えた三浦建太郎の漫画『ベルセルク』の魅力について、9名の論者がそれぞれの視点から読み解いた本格評論集である。
 2021年5月6日、作者の三浦が急性大動脈解離のためにこの世を去ったため、約30年にわたって世界中で多くの読者を獲得した『ベルセルク』は未完になるかと思われた。しかし、親友である漫画家・森恒二と「スタジオ我画」のスタッフによって、三浦が語った結末までをできる限り精確に紡ぐという決断がなされ、2022年6月24日発売の「ヤングアニマル13号」から連載が再開されたのは周知の事実だ。作者亡き後も作品が継続していくことはこれまでにもあったが、『ベルセルク』のような長大なストーリーの作品が引き継がれるケースは極めて稀であり、漫画史に残る挑戦となるのは間違いないだろう。
 本特集では、社会学者の宮台真司、漫画研究家の藤本由香里、漫画編集者の島田一志、ドラマ評論家の成馬零一、作家の鈴木涼美、暗黒批評家の後藤護、批評家の渡邉大輔、ホビーライターのしげる、漫画ライターのちゃんめいによる論考の一部を公開。さらなる解説コラムや特別対談を掲載していく。