特集:いま「中世」が読まれる理由
宮中華やかなりし平安の時代から、武士が台頭するようになった鎌倉・室町時代。約500年ほど続くこの時代は、芸術や文化の幅が広がる転換期でもあった。雅な宮廷文化から質実剛健な武士の文化、文字の読めない農民のあいだにも新仏教や軍記物が伝播していく。日本初の長編小説と言われる『源氏物語』、琵琶法師により口伝された軍記『平家物語』、世阿弥が著した能の理論書『風姿花伝』など、現代でも読み継がれる古典が数多く生まれた時代でもある。
今、第一線のクリエイターたちが、そんな「中世」に注目している。三谷幸喜脚本の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、古川日出男の小説『平家物語 犬王の巻』、同作を湯浅政明監督がアニメ映画化した『犬王』、直木賞候補になった永井紗耶子の小説『女人入眼』など、話題作が続々と発表されている。なぜ、中世がブームとなっているのか。それぞれの作品の魅力を紐解きながら、現代と中世の文学の関係に迫っていく。
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