『ASOBIEXPO』が示唆するアソビシステムの未来 “個性”を残したままつなぐ、混沌から生まれる華やかなエンタメカルチャー

アソビシステムとは何の会社なのか?

 アソビシステムとは、何の会社なのか?

 もちろん、きゃりーぱみゅぱみゅや新しい学校のリーダーズの所属事務所であり、FRUITS ZIPPERをはじめとするアイドルプロジェクト KAWAII LAB.を展開する会社だ。そして、原宿を起点に、音楽やファッション、アートを発信してきたクリエイティブ企業でもある。近年は観光や地方創生、キャラクターIP、バーチャル、海外事業へも領域を広げている。アソビシステム自身は“カルチャープロダクション”を標榜する。

 8月18日に東京・TOYOTA ARENA TOKYOで開催された『ASOBISYSTEM 19th Anniversary ASOBIEXPO 2026』は、そんなアソビシステムの現在地を、ひとつの会場で可視化する大胆なイベントだった。

『ASOBIEXPO 2026』

 開催前日に公開されたインタビューで、代表取締役の中川悠介は、2027年の創立20周年を前に「今のアソビシステムのコンテンツをしっかり見せたい」という意図から、今年は「全員集合」にしたと説明している(※1)。

 実際、今年の出演者はアーティスト、タレント、クリエイターなどの計88組にも及んだ。きゃりーぱみゅぱみゅ、新しい学校のリーダーズ、FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREET、Kizuna AI、Klang Ruler、Touaらに加え、ゆうたろう、三戸なつめ、AMIAYA、武智志穂、なごみ、GYUTAEらが出演し、多数のイラストレーターやクリエイターも参加した。

 会場には、洒落たファッションの人もいれば、アイドルのグッズを身につけた人もおり、浴衣の女性の姿も。パッと見ただけでは、何のイベントなのか想像が難しいほど、さまざまな客層がおり、その混沌が華やかなカルチャーイベントを生み出していた。

 そもそも会場の構成からして、音楽ライブだけを観るための催しではない。メインアリーナの外には協賛ブースやキッチンカー、クリエイター展示などが設けられ、ARENA Miraieでは三戸なつめの似顔絵企画、武智志穂、青柳文子、柴田紗希、木村ミサらによるモデルトーク、Podcastの公開収録などが行われた。

 2025年7月に幕張メッセで開催された『ASOBIEXPO 2025』には約1万2000人が来場した。きゃりーぱみゅぱみゅ、新しい学校のリーダーズ、KAWAII LAB.のグループ、Kizuna AIら10組以上によるライブに加え、協賛ブースやフォトスポットなども展開された。それに対して2026年は、モデルによるファッションショー、俳優によるトーク、クリエイターによる展示などがより大きく組み込まれ、“EXPO”という名前通りのイベントとなっていた。

 メインアリーナのタイムテーブルも象徴的だ。オープニングステージでは、きゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPON」で所属アーティストらが全員集合。早くも銀テープが噴出された。

『ASOBIEXPO 2026』

 その後、CANDY TUNE、fav me、櫻井優衣、MORE STAR、SWEET STEADY、Toua、早瀬ノエル、Klang Ruler、PiKi、Kizuna AI、新しい学校のリーダーズ、CUTIE STREET、FRUITS ZIPPER、きゃりーぱみゅぱみゅらが続いた。その間には、AMIAYAがクリエイティブディレクターを務めるjouetie、Zoff×Nagomi、TouaのプロデュースによるBGといった、3本のファッションショーが挟み込まれた。KAWAII LAB.のメンバーもモデルとして登場し、ファッションショーでも観客は大いに盛り上がっていた。

 そんなイベントを観ていて興味を引かれるのは、アソビシステムの“カルチャー”とはどういうものなのか、ということだ。たとえば、きゃりーぱみゅぱみゅ、新しい学校のリーダーズ、FRUITS ZIPPER、Kizuna AI、Klang Rulerは、表現も活動形態も大きく異なる。すべてを“KAWAII”という一語で括ることも難しい。

 中川自身、グループに迎えたり協業したりしている企業について、すべてをアソビシステムに染める必要はないと語っている。協業で重視するのは「クリエイティブであること」であり、突き詰めれば「人」だという。異なるチームがそれぞれの独自性を保ちながら、組めるところで組むことを理想としている。

 だとすれば、アソビシステムらしさとは、同じ色に統一することではないのかもしれない。むしろ、違う色を持つ人やチームを、あえて違いを残したまま同じ文化圏に結びつけるところにある。

 その考え方は、2025年から2026年にかけて活発化した組織戦略にも表れている。2025年2月にJTBと戦略的パートナーシップを締結し、2026年1月には両社が50%ずつ出資する「アソビJTB」を設立。ポップカルチャーと地域資源を組み合わせた訪日客向けの体験づくりなどを事業に掲げた。3月には、『ASOBIEXPO』初の海外公演となる『ASOBIEXPO HAWAII 2026』を、JTBグループのJTBハワイトラベルと共同開催している。

 さらに今年5月には音楽を起点としたIP創出を手掛けるVOLVE CREATIVEと資本業務提携。8月4日には「Time Out Tokyo」を運営するORIGINAL Inc.と資本業務提携し、6日にはKizuna AIを手掛けるActiv8がグループに参画。翌7日には、北米事業の拠点「ASOBISYSTEM USA」の設立を発表した。

 とりわけActiv8のグループ参画直後だけに、この日のKizuna AIの出演には新しい意味が加わった。両社は、2019年のKizuna AIの「AIAIAI (feat. 中田ヤスタカ)」をはじめ、アソビシステムとActiv8による共同プロダクション「ANNIN」やCAPSULEのVRChatライブなどで以前から協業してきた。Activ8は、グループ参画後も独立した経営体制を維持し、双方のブランドやIP、クリエイティブの独自性を尊重しながら連携する。

 そしてステージには、そのKizuna AIに続いて新しい学校のリーダーズが登場し、バーチャルのアーティストに続いてリアルのアーティストがパフォーマンスすることになった。なかなかない光景だ。

 同時に、現在のアソビシステムの視線は明確に海外へ向いている。KAWAII LAB.は7月、韓国、中国、タイ、インドネシア、ベトナムを対象に、初のアジア5カ国同時オーディションを開始した。中川は、最終的にはアソビシステムをグローバル企業にしたいと語る一方、海外でもビジネスを先に置くのではなく、まず自分たちらしいクリエイティブや好きなことを発信し、そこから生まれたものをどう利益化するかという両軸で考えるとしている。

 だからこそ、この日の会場で見るべきだったのは、出演者や事業の数の多さだけではなかった。音楽、ファッション、バーチャル、アート、海外といった異なる領域が、ひとつのイベントとして成立していたことに、現在のアソビシステムの真価があった。観客もまたジャンルを越えて会場を見て回り、新たな表現に出会っていた。その光景にこそ、“カルチャープロダクション”という言葉の意味が表れていた。

 ステージの最後は、きゃりーぱみゅぱみゅが務め、圧倒的なオリジネーターぶりを見せつけた。その後のフィナーレでは、再び出演者が全員集合。今回のイベントの意義をあらためて感じさせた。

きゃりーぱみゅぱみゅ
きゃりーぱみゅぱみゅ

 来年、アソビシステムは創立20周年を迎える。音楽、アイドル、ファッション、IP、観光、バーチャル、海外拠点など、一見すると散らばって見える活動を、それぞれの個性を残したまま、同社はつないでいく。『ASOBIEXPO 2026』は19周年を祝うイベントであると同時に、「アソビシステムとは、何の会社なのか?」という問いへの答えを鮮やかに示すショーケースだった。「原宿から世界へ、未来へ。」というキャッチコピーにふさわしい、文化的な多様さと厚みが、そこにはたしかにあったのだ。

※1:https://realsound.jp/2026/08/post-2492864.html

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