日食なつこにとってライブとは? 来る『大日食観測会2026夏』、未発表曲ツアー第2弾を前に語る今のモード
人生で一番楽しい時間って、やっぱりステージの上
ーー今日は「エリア未来2」について話を聞きましたが、昨年は「モダニズム」も2回目を行いましたね。振り返ってみてどうですか?
日食:2回目はやっぱり安定してるな、という感じでした。音響周りも会場さんが慣れてらっしゃるところが多かったですし、会場の雰囲気もきちっとされてます。やっぱり歴史ある建造物というだけあって保管状態や管理もきちんとされてるので、変なことは起きないと言うんですかね。たとえば以前やったことのあるお寺を巡るツアーとか、カフェを巡るツアーとか、植物園を巡るツアーでは、「モダニズムⅡ」よりも不安が大きいんです。植物園なんて普段音楽をやらない場所なので、会場のスタッフさんも「何をしに来たんだろう?」みたいな探り合いがあるんですけど(笑)。そういう心配は少なかったんじゃないかな。
ーー鍵盤は会場のものを使っていますよね?
日食:会場のものをお借りしました。グランドピアノかアップライトピアノです
ーーSundayカミデのエッセイに「ピアノは、持ち運べないから大好き。毎回、違うピアノと会えるし」と書かれていて。会場にあるものを使うので、毎回どんな鳴りをするかもわからないということを書かれているんですよね。なのでこれは私の意訳ですが、ピアノは一期一会の楽器なんだと思うんです。日食さんもそういう実感を抱くことはありますか?
日食:ありますね。当たる時と外れる時があるので結構博打だと思います。でも、本当に上手い人はそれすらも楽しめるというか、外れたら外れたなりの弾き方ができるんですよね。今日のピアノとは仲良くできないな、じゃあ俺はこう行くかって。そういう風に楽器ににじり寄れるんです。「モダニズムⅡ」では私もそうなりたくて、その訓練のつもりで行きました。
ーーどうでした?
日食:できたと思います。その頃もいっぱい練習してましたし、たとえば「今回はパンと音が飛んでくれるピアノだから、私が力みすぎて痛い音を出さないようにしよう」とか、逆に「この子は押せば押すほど深みにズブズブはまってく音を出すから、指は立ててなるべく一瞬で弦の奥までピンと押すように意識しよう」とか、そういうことを会場ごとに考えてました。なので演奏というよりかはスポーツをやってる感覚に近いですね。たぶん他のピアニストさんも、そういう風に考えていろんなコンサートやツアーをやられてるんじゃないかな。
ーーBialystocksが昨年「二人編成ツアー」を行ったんですけど、会場ごとにピアノの鳴りが違うので、彼らはリハをしてからセットリストを決めていたと言っていて、そんなに違うもんなんだなと思いました。
日食:そうですね、全く違う楽器を弾いている感覚です。メーカーが一緒でもどういう状態で保管されていたか、どういうタイプの人が弾いてきたかで変わるんです。クラシックの人が弾いてきたピアノとジャズの人が弾いてきたピアノでは全然違うし、年を取れば取るほど変わっていくんですよね。でも、Bialystocksさんは凄いっすね。セットリスト変えるんだ......またちょっと悔しい気持ちになりました。
ーー(笑)。最初に気構えが変わってきたというような話もありましたけど、日食さんにとってライブはどういうものになってきてますか。
日食:ライブ自体は単純に楽しいものになりました。最近は人生で一番楽しい時間って、やっぱりステージの上だなと思います。そういう風になるように、日常生活をコントロールしているんです。何かマイナスなことしてるとか、削ぎ落としているとかってことではなくて、普通に家で楽しく過ごしてるんですけど。ただ、ステージの規模を大きくしていけばその分どんどん楽しくなるだろうから、今は人生を楽しむことよりも、ステージを楽しむことを優先しようみたいにモードが切り替わってます。
ーーいいですね。
日食:たとえばフェスに出させてもらっても、昔は人のステージは全然見なかったんですけど。最近は知らない方のステージでも袖から見させてもらうようにしています。凄いライブをする人って全然ステージを恐れてないというか、光を浴びることを恐怖だと思う人と名誉だと思う人がいて、間違いなく名誉だと思える人しか残らないんですよね。だからそっちに自分も細胞を作り変えていかないといけないと思って、最近はその辺の人格再形成みたいなことをしてるんですよ。そのおかげでステージが楽しくなってきたのはありますね。
ーーということは、以前は恐怖でした?
日食:恐怖でしたね。私はピアノの発表会が一番最初のステージだったので。それってやっぱり楽しい場所ではないんですよ。
ーー私もピアノを6年やっていたんですけど、あれは本当に嫌ですよね。
日食:嫌ですよね。楽しくやるとかじゃないから(笑)。間違わないようにとにかく頑張るーーというのが私のステージの根底だったので、ここに来てようやくそれを踏み潰して新しいものに塗り替えられるようになった感覚があります。
ーーそう思うと時間がかかりましたね。
日食:かかりましたね。気づくのが遅かったと思います。最近一緒にご飯に行く知り合いには話したんですけど、今ルーツの否定に挑戦してるんです。ルーツっていろんな捉え方ができると思うんですけど、自分の中のステージのルーツとか、生まれのルーツ、家族のルーツ、音楽のルーツーーそういうものに一旦全部疑問を投げかけてる状態なんですよ。今は家族のあり方に対しての疑問符というのが結構おっきいかな。
ーーというと?
日食:たとえば自分の性格はこうであると。それは両親がこういう性格をしてるから、その遺伝子を受け継いでる私もこうなる、だからこういう曲調やこういう主張の歌詞になるんだ、というようなことを潰してるというんですかね。両親からもらった遺伝子を踏み潰してでも新しい材料が欲しいみたいな、それは今強烈に活きているような気がします。それが「エリア未来2」でも出始めるんじゃないかな。
ーー15周年企画でキャリアを振り返るだけ振り返って、その上でルーツの否定に入るというのはサイクルとして理にかなっている気がします。
日食:ですね。一旦振り返り切ったんで、ちょっと休んでてくださいよと。また新しい冒険に出ます、というのが今なのかなと思います。
※ https://realsound.jp/2024/07/post-1713260.html
■ツアー情報
『日食なつこ 東阪特別ワンマンライブ「大日食観測会2026夏」』
2026年8月6日(木)東京・昭和女子大学 人見記念講堂
2026年8月19日(水)大阪・NHK大阪ホール
特設サイト:https://nisshoku-natsuko.com/dainisshoku2026
『日食なつこ 未発表曲ツアー「エリア未来2 “ブラックホール”」』
2026年10月9日(金)横浜・KT Zepp Yokohama
2026年10月10日(土)仙台・SENDAI GIGS
2026年10月18日(日)札幌・Zepp Sapporo
2026年10月25日(日)名古屋・Zepp Nagoya
2026年10月31日(土)大阪・Zepp Namba (OSAKA)
2026年11月8日(日)福岡・Zepp Fukuoka
2026年11月14日(土)東京・Zepp DiverCity (TOKYO)
特設サイト:https://nisshoku-natsuko.com/futureareatwo
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