竹原ピストル、50歳目前に放つ産声 『FIRST CRY!!』に見る創作の真髄、先輩ミュージシャンに託されたお守り

「歌は五十歳から」ーー先輩ミュージシャンの言葉をお守りに
ーー「宇治川 釣り日和」は、釣りが好きな竹原さんの生活から生まれた曲ですよね?
竹原:釣りはもちろん好きなんですけど、どちらかと言うと、釣りをしながら、ぼけーっと他愛もないことを考えたり、空想したりする時間が好きなんですよね。一度だけ、「考え事をするぞ」と思って釣り竿を持たずに川に行ったこともあるんですけど、やっぱりちょっと違う。「何かをやっている」というのがいいのかもしれないですね。
ーー「真夜中に」や「あたりまえの歌」のような、竹原さんの真骨頂でもある言葉遊びや韻の連鎖は、どのように生まれているのでしょうか。
竹原:話の脈絡は完全に無視して、とにかく韻を踏んで遊んでいる感じです。本当に韻先行で書いていっても、時々ふと変なシュールな映像が浮かんでくることがあるんですよ。それが面白くて。「真夜中に」は、もうその典型ですね。適当なフックを作って、そこから韻を踏み続けていく。
「あたりまえの歌」の方は、〈死んだらもう歌えなくなるから/死ぬ気で歌い続けよう〉というフックが、もともとメモ用紙に書き残してあったんです。それを持ってきて、脈絡のない韻踏み遊びで完結させようと思って書いていたんですけど、せっかく飾り気のない真っ直ぐフレーズなので、その受け皿になるパートを作ってあげないと、このフレーズがかわいそうかなと思ったんです。それが、〈とある大先輩が“ピストル、歌は五十歳からだよ。”なんて話して下さったことがあったけど〉というラインですね。
ーーこの「受け皿」で綴られていることは、実際のエピソードなんですね?
竹原:40代の頭ぐらいに、とある先輩ミュージシャンが「ピストル、歌は五十歳からだよ」と言ってくださったことがあったんです。当時の僕は、「もっと頑張りたい」「もっとやりたい」みたいなことを話していて、それに対して「大丈夫、焦るな」というニュアンスで言ってくださったんだと思うんですけど、その言葉をお守りみたいにしてここまできたんです。でも、いざ50歳になろうとしている時に、「本当でしょうね?」みたいな気持ちにもなっています(笑)。

ーー実際、年齢を重ねることで、歌そのものへの向き合い方も変わってきましたか?
竹原:20代、30代の頃は、自分で勝手に決めつけた“竹原ピストルらしさ”にすごく従順だったんです。「竹原ピストルはこんな歌を歌わないだろう」とか、「こういう歌をこう歌ってこそ竹原ピストルなんじゃないの」と、誰にも言われていないのに自分で決めつけていた。でも今は、そういうものがほとんどないですね。「歌いたいと思ったなら歌えばいいじゃん!」という感じです。その時にそう歌いたいなら、そう歌う。年を重ねるごとに、どんどん自由になってきた気がしています。
ーー「どれも俺だ」は、まさにそういうことを歌っている曲のようにも感じました。
竹原:そう言われてみればそうなんですけど、レコーディング中の空き時間にバーッと書いたので、正直そんなに深く考えてなくて(笑)。ただ、お芝居の仕事をさせてもらったり、テーマソングを書かせてもらったりする中で、いろんな自分を出させてもらっている感覚はあります。歌の場合でも、メロメロのラブソングを書いてほしいと言われたら迷わず書くし、それが発表されれば人からは「こんな曲もやるんだ」と思われるようになる。そんなふうに、僕自身のいろんな見え方を作ってくださったのは、いろんな仕事を与えてくれた人たちだと思います
ーー「失礼だ。」は、ダメな自分をそのまま受け止めるような曲にも聴こえました。
竹原:これは大学を卒業してから音楽活動を始めるまでの、人生で一番グダグダだった時期をイメージして作った歌です。10カ月ぐらいの短い期間なんですけど、何も行動に移せず、うじうじ暮らしていた時期がずっと心に残っているんです。後悔もあるし、憤りもある。「せめてネタにして成仏させてやろう」という気持ちもありますけどね(笑)。肯定してあげたい感じと、半殺しにしてやりたい感じが混じっている。その時期のことは、たぶんずっと書き続けるんだと思います。

ーー「はなす」は、これまでになく抽象的な歌詞です。
竹原:あまりないタイプの曲だと思いますね。僕はいつも、シチュエーションや登場人物、交わした会話、それをどう思っているかまで、割と身も蓋もなく具体的に書いてしまうことが多いんです。でもこの曲は、海辺というシチュエーションはありますが、どんな二人なのかは聴く人によって違う。そういう幅のある曲は、僕にしては珍しいです。すごく気に入っています。
ーー「話す」と「離す」のダブルミーニングが軸にもなっていますし。
竹原:おっしゃる通り、おしゃべりする“話す”と、距離を置く“離す”をダブルミーニングにして、サビに持ってきたら面白いなと。そこから、どんな二人が出てきて、シチュエーションは何がいいかなと考えて、ツアー中に見に行った海を思い浮かべながら書いていきました。僕の中では具体的なイメージがあるんですけど、聴いた人がそれぞれ自由に想像してくれたら嬉しいですね。
ーーそして今作を携えて、7月からは全国ツアーも始まります。今回は弾き語り編とバンド編を織り交ぜたツアーになりますね。
竹原:ずっと一人で弾き語りのライブをやってきて、どんなサウンドのアルバムを出しても、弾き語りバージョンに変換して届けてきたんです。そういう意味では、バンド編では初めて、音源のアレンジに忠実な形でお客さんに届けられるのが嬉しいし、楽しみですね。バンド編ではアルバム収録曲を多くやりたいと思っています。ただ一方で、「やっぱり弾き語りもいいな、こいつ」とも思ってもらいたい(笑)。両方見てほしいツアーです。
ーー弾き語りとバンドでは、お客さんの反応も変わりそうですね。
竹原:竹原ピストルのライブに来てくれるお客さんって、静かにギューッと聴いて、最後にドーンと分厚い拍手で返してくれる人たちだと思っていたんですよ。でも一時期、トラックを使ってライブをやったことがあって、その時にコール&レスポンスや手拍子を煽ってみたら、みんなめちゃくちゃ歌ってくれて(笑)。「そうだったんだ、ごめん!」って思いましたね(笑)。今まで黙って聴いてくれていたけど、こんなにわーわーうるさいんだ、あなたたちは、みたいな。だから今は、曲によっては一緒に歌ってもらったり、手拍子でビートを支えてもらったりすることも、少しずつ増えています。今回のツアーでも、弾き語りとバンド編のいいメリハリになったらいいなと思っていますね。
ーー今後、新しく挑戦してみたいことはありますか?
竹原:ものすごく具体的な話になりますけど、ルーパーを使って、その場でトラックを作るようなことをやってみたいですね。うちの先輩で言うと、山崎まさよしさんがやっているような。シンプルなものでいいからリズムを作って、それこそラップ曲をやったり。弾き語りで一人でライブをやる時にも、いろんなバリエーションややり方があっていいのかなと思っています。

■リリース情報
『FIRST CRY!!』
発売日:2026年5月27日
Linkfire:https://jvcmusic.lnk.to/FIRSTCRY
通常盤:3,500円(税込)
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VICL-66151.html
アナログ盤2枚組:5,500円(税込)
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIJL-60422.html
VOS限定セット:7,500円(税込)
https://victor-store.jp/item/107944
<収録曲>
1. ばっちこ~い!!
2. どっちつかず 梅雨入り間近
3. オオセンチコガネ
4. ありがとう
5. 失礼だ。
6. 真夜中に
7. 千切り絵のように私は
8. 恋をして
9. どれも俺だ
10. 黙る海、丸い月
11. 宇治川 釣り日和
12. はなす
13. あたりまえの歌
■ライブ情報
『竹原ピストル全国ツアー2026』
詳細はこちら:https://www.office-augusta.com/pistol/live.html
<バンド編>
7月2日(木)福岡 DRUM Be-1
7月22日(水)広島 広島LIVE VANQUISH
8月5日(水)東京 渋谷WWW X
8月17日(月)大阪 Music Club JANUS
9月5日(土)香川 高松DIME
9月24日(木)宮城 仙台darwin
10月13日(火)石川 金沢AZ
11月9日(月)北海道 cube garden
11月30日(月)愛知 名古屋ell.FITS ALL
<弾き語り編>
7月5日(日)佐賀 GEILS
7月7日(火)長崎 DRUM Be-7
7月8日(水)熊本 B.9 V1
7月10日(金)宮崎 LAZARUS
7月12日(日)大分 DRUM Be-0
7月13日(月)鹿児島 CAPARVOホール
7月15日(水)沖縄 桜坂セントラル
7月24日(金)山口 周南RISING HALL
7月26日(日)島根 出雲APOLLO
7月27日(月)鳥取 米子AZTiC laughs
7月29日(水)岡山 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
8月4日(火)埼玉 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
8月7日(金)神奈川 横浜 mint hall
8月9日(日)茨城 club SONIC mito
8月10日(月)千葉 千葉 ANGA
8月19日(水)奈良 EVANS CASTLE HALL
8月20日(木)滋賀 U☆STONE
8月24日(月)兵庫 チキンジョージ
8月25日(火)和歌山 OLDTIME
8月27日(木)京都 KYOTO FANJ
9月7日(月)愛媛 松山WstudioRED
9月8日(火)高知 高知キャラバンサライ
9月10日(木)徳島 徳島club GRINDHOUSE
9月26日(土)青森 青森Quarter
9月27日(日)秋田 秋田Club SWINDLE
9月29日(火)山形 山形ミュージック昭和セッション
9月30日(水)福島 いわきclub SONIC
10月2日(金)岩手 盛岡CLUB CHANGE WAVE
10月3日(土)青森 弘前KEEP THE BEAT
10月5日(月)青森 八戸ROXX
10月6日(火)岩手 宮古KLUB COUNTER ACTION
10月8日(木)岩手 大船渡KESEN ROCK FREAKS
10月9日(金)宮城 石巻BLUE RESISTANCE
10月11日(日)福島 福島Player's Cafe
10月15日(木)福井 福井ハピリンホール
10月16日(金)富山 富山SOUL POWER
10月20日(火)長野 長野CLUB JUNK BOX
10月21日(水)新潟 新潟LOTS
10月28日(水)栃木 HEAVEN'S ROCK UTSUNOMIYA VJ-2
10月29日(木)群馬 前橋DYVER
11月3日(火)山梨 甲府CONVICTION
11月11日(水)北海道 旭川 CASINO DRIVE
11月12日(木)北海道 帯広 MEGA STONE
11月14日(土)北海道 北見 ONION HOLL
11月16日(月)北海道 小樽 GOLD STONE
11月18日(水)北海道 函館 ARARA
11月24日(火)静岡 浜松窓枠
11月26日(木)岐阜 柳ヶ瀬ANTS
11月28日(土)三重 LIVE HOUSE M'AXA
■関連リンク
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レーベルHP:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A018994.html
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