SUKEROQUEの音楽に宿る豊かな振れ幅 “メロウ&ポップ”と“グルーヴィ”を象徴する最新2曲で光る独創性

 音楽に目覚めたきっかけは、両親が車のなかで聴いていた山下達郎や大瀧詠一。さらにジャミロクワイやマイケル・ジャクソンなどにも強い影響を受け、洋楽/邦楽の良質なポップセンスを吸収してきた、シンガーソングライター・SHOHEIによるソロプロジェクト SUKEROQUE。これまでもソウル、R&B、ファンク、ロックなど幅広いファクターを昇華した楽曲を世に送り出し続けており、昨年は、ニュージャックスウィングをアップデートさせた「OYKOT」、シビアな日常を踊り飛ばすダンストラック「滞納」、旅立ちの前日の想いを美しいポップチューンに仕立てた「雪国」と3曲のシングルをリリース。今年に入ってからも大人の恋愛をテーマにした「電話しようよ」をドロップするなど、楽曲を重ねるごとに自らの音楽世界を広げ続けている。

 そんなSUKEROQUEが、4月8日に配信した「初恋って事にしてくれないか」、5月27日に配信した「METRO」という最新の2曲は、彼の音楽に宿る二面性――シンプルに形容すれば“メロウ&ポップ”と“グルーヴィ”を端的に示していると言えるだろう。

SUKEROQUE

「初恋って事にしてくれないか」:郷愁に包み込むポップスのマジック

 「初恋って事にしてくれないか」は“メロウ&ポップ”サイドの楽曲だ。サウンドの基調を担っているのは、80’sテイストのポップな音像。軽やかな打ち込みのビート、心地よく飛び跳ねるシンセベース、キラキラとした光を放つシンセサイザーの音色が美しいプリズムを生み出し、聴く者を煌びやかなポップワールドへと誘ってくれる。古き良きシティポップの潮流、たとえば作曲家の林哲司が手がけた楽曲の雰囲気も感じられ、当時をリアルタイムで経験している人は、ロマンティックな懐かしさを覚えるかもしれないが、単なるレイドバックや懐古趣味ではなく、SUKEROQUE自身のDNAに流れるポップセンスを存分に活かしつつ、現代的なポップソングへと昇華されている。そのハイブリッドなセンスこそが、「初恋って事にしてくれないか」の求心力の源泉になっているのだと思う。爽やかさと哀愁をたっぷりと含ませたボーカル、昭和歌謡的な女性コーラスのバランスも絶妙だ。

【MV】 初恋って事にしてくれないか / SUKEROQUE

 “この人こそが運命の相手だ”という出会いがあり、相手の過去を知るなかで生じる、この恋愛を「初恋って事にしてくれないか」という切ない感情を描いた歌詞も魅力的。「もっと早く知り合いたかった」「一体どこに隠れていたの?」「この人の過去の恋愛をすべて消し去り、自分との思い出で埋め尽くしたい」ーーもちろんそんなことは叶わないのだが、どうしてもそんな想いを抱いてしまうのが人間の性であり、恋愛の魔力。〈雨上がりには町は生まれ変わる/僕らもそうなればいいのに〉という妄想に不思議なリアリティを与え、自分にもそんなことがあった気がするという郷愁に包み込んでくれる効果は、まさにポップスだけが持ち得るマジックだ。

「METRO」:進化したサウンド&シリアスな歌詞のコントラスト

 一方、「METRO」はSUKEROQUEの“グルーヴィ”サイドの魅力が凝縮された楽曲に仕上がっている。透明感と鋭さを併せ持ったギターのカッティング、濃密なファンクネスを受け持つベースライン、ミラーボールの光を想起させる弦楽器とソウルフルな女性コーラス。ファンク、ソウル、ディスコミュージックへの愛情と、“リスナーの身体を揺らしたい”という純粋な欲望が一気に伝わってきて、鬱屈とした気分も一瞬で解放されてしまう。間奏パートにおけるチョッパーベース、アナログシンセのソロ演奏、楽曲の後半に進むにつれて心地よい高揚感へとつながっていく構成を含め、プレイヤーたちの凄腕ぶりにも瞠目させられる。この曲の共同アレンジャーは佐々木聡作。オーセンティックな音楽の要素を現代的なダンストラックへと結びつける佐々木とSHOHEIのケミストリーは、ここにきてさらなる進化を遂げているようだ。

【MV】 METRO / SUKEROQUE

 そんなサウンドと絶妙なコントラストを成す、とことんシリアスな歌詞もこの曲のチャームポイントだろう。〈大した意味などない日々を脳死で生きていたい〉という冒頭のフレーズからもわかるように、出口も行き先もまったく見えないのに、大きな力によって動かされている(気がする)現代社会がこのリリックの背景。どうにかしたいがどうしようもない、そんな閉塞感をファンキーなリズムに乗せる皮肉なアプローチにもSUKEROQUEの美意識が反映されているのだと思う。考えてみればブルースもファンクもヒップホップも、耐え難い現実に抗い、何とかして楽しむために生まれた音楽。そういう文脈で捉えれば「METRO」はきわめて伝統的なマナーに則っているとも言えそうだ。

 “メロウ&ポップ”な「初恋って事にしてくれないか」、“グルーヴィ”な「METRO」を経て、2026年のSUKEROQUEはどうなっていくのだろうか。きっと、繊細な感情を映し出すメロディ、華やかなポップネス、身体を心地よく刺激するグルーヴ――そういった音楽的な振り幅を活かして独創的なスタイルを提示してくれるはず。まずは「初恋って事にしてくれないか」「METRO」を聴きながら、ポップミュージックという愉悦を心ゆくまで堪能したいと思う。

◾️リリース情報
SUKEROQUE「初恋って事にしてくれないか」
配信中:https://big-up.style/nfyurBta29

SUKEROQUE「METRO」
配信中:https://big-up.style/jowpucV64I

SUKEROQUE 公式HP

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