Juice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」が圧倒的な支持を獲得 2025年版ハロプロ楽曲大賞を振り返る

 ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)を愛する者たちの間で毎年恒例のファンイベントとなっているのが「ハロプロ楽曲大賞」。インターネット上で投票を募り、1年間に発表された楽曲に順位を付けてみんなで楽しく盛り上がろうという趣旨の催しである。昨年末も『第24回ハロプロ楽曲大賞'25』と銘打って開催され、大きな盛り上がりを見せた。

(総順位などの結果は告知サイトをご覧ください。https://www.esrp2.jp/hpma/2025/)

 リアルサウンドには毎年順位に関する分析記事を寄稿しているが、今回もまた2025年版記事をここにお送りする。それでは早速順位を振り返っていこう。

 なお、以下の論考は、下記URLのランキングと併せてお読みください。(https://www.esrp2.jp/hpma/2025/comment/result/song.html)

楽曲部門1位:Juice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」

Juice=Juice『盛れ!ミ・アモーレ』Promotion Edit

 2025年度の「ハロプロ楽曲大賞」はJuice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」が受賞した。昨年8月に開催された千葉·LaLa arena TOKYO-BAYでの『ハロ!コン 2025』でライブ初披露後、9月には“隙アモ”(「盛れ!ミ・アモーレ」のフレーズを振り付け込みで口ずさんだりするおふざけ=“隙あらばアモーレ”の略)というファン用語が生まれ、10月のシングルCDリリースの頃にはすでに人気の楽曲となっていた(※1)。同年11月の日本武道館でのコンサート、および同日の「THE FIRST TAKE」出演によりその人気は決定的なものとなった。

Juice=Juice - 盛れ!ミ・アモーレ / THE FIRST TAKE

 年が明けて以降も、2月には異例の再リリースイベント(通称:追いリリイベ)が開催されたり、3月にはマクドナルドのWeb CM「盛れ!てりたまーレ」の楽曲として起用、4月には『ミュージックステーション DREAM LIVE 春の3時間30分スペシャル』(テレビ朝日系)ほかテレビ音楽番組に多数出演と、その勢いが留まる気配はない。「盛れ!ミ・アモーレ」がきっかけでJuice=Juice、あるいはハロプロに興味を示し始める層を指す“盛れミ新規”というファン用語も散見されるようになった。

 「ハロプロ楽曲大賞」と銘打っている以上、もちろん投票者の意識としては楽曲の完成度に着目することが多いのかもしれない。しかし過去の結果から見ても、その年に一番ファンの支持を集めた楽曲が1位になっているため、今回「盛れ!ミ・アモーレ」が首位を獲得したのも至極当然の結果と言えるのではないだろうか。

 サウンド的な面から見てみれば、この曲のようなラテンテイストを前面に押し出したものは過去のハロプロ楽曲でも多数あり、ココナッツ娘。「ハレーションサマー」から始まり、モーニング娘。「色っぽい じれったい」、松浦亜弥「The 美学」、℃-ute「涙の色」など、ひとつの王道路線とも言える。Juice=Juiceに限っても「裸の裸の裸のKISS」、そして「Fiesta! Fiesta!」があった。しかしいずれも年間首位になったことはなく、その意味でも今回は意義深い功績なのではないだろうか。

楽曲部門2位:BEYOOOOONDS「Do-Did-Done」/3位:Juice=Juice「四の五の言わず颯(さっ)と別れてあげた」

BEYOOOOONDS『Do-Did-Done』Promotion Edit
Juice=Juice『四の五の言わず颯(さっ)と別れてあげた』Promotion Edit

 第2位はBEYOOOOONDS「Do-Did-Done」。前回2024年度の第1位が同グループの「灰toダイヤモンド」(※2)で、その余韻が冷めやらぬ2025年1月にこの曲を収録したシングルがリリースされたため、2年連続でBEYOOOOONDSが1位なのでは、と予想していた人も少なからずいたのではないだろうか。実際、キャッチーで耳に残るそのサウンドは、年間1位でもまったくおかしくない完成度だったと個人的には思っている。

 3位は、Juice=Juice「四の五の言わず颯(さっ)と別れてあげた」。ジャジーで大人っぽい雰囲気の曲で、こういったテイストもJuice=Juiceが得意とするところであり、人気を集めるのもよくわかる。前述の「盛れ!ミ・アモーレ」との両A面シングルとして昨年10月にリリースされた楽曲で、タイトル表記順で言えばこちらの方が前にきていたのだ。しかし2025年は、「盛れミ」が強すぎたと言わざるを得ない。

楽曲部門TOPICS

 以下はグループ別に見ていこう。

モーニング娘。'25

モーニング娘。'25『気になるその気の歌』Promotion Edit

 モーニング娘。'25の2025年度のノミネート曲は、シングルは『気になるその気の歌/明るく良い子』の両A面が1タイトルのみ。次作『てか HAPPYのHAPPY!/私のラミンタッチオーネ(Lamentazione)』は12月発売のため、「ハロプロ楽曲大賞」のルールとしては2026年度のノミネートとなる。

 2025年はアルバムのリリースがなく、ほかのノミネート楽曲は卒業メンバーの記念CD『Graduation Memorial CD』収録曲となるため、実質「気になるその気の歌」「明るく良い子」の2曲で戦うことになった。より票数を集めたのは「気になるその気の歌」の6位(「明るく良い子」は16位)。「気になるその気の歌」はつんく♂のユニークな感性が全開となりつつも、明るく元気な雰囲気は保持しているという、近年では珍しいタイプのシングル曲だ。曲終盤の唐突な音頭パートを聴いていると、「こういうのがハロプロっぽいよなあ」と嬉しくなる。

アンジュルム

アンジュルム『光のうた』Promotion Edit

 アンジュルムのグループ最高位は「光のうた」の4位。堂島孝平が作詞作曲したナンバーで、ゴスペル風味な曲調が感動を呼ぶ1曲だ。

 昨年11月にはアルバム『Keep Your Smile!』がリリースされており、そこから「FAST PASS」「プリズンブレイカー」「トラブルメーカー」の3曲が28~30位に固まってランクインした。「ハロプロ楽曲大賞」のランクアクションは発売時期の影響も大きく、これらの曲がもし夏頃にリリースされ、ライブでの印象も加味されていれば、もう少し上位にランクインしていたのかもしれない。

Juice=Juice

Juice=Juice『初恋の亡霊』Promotion Edit
「8月の空」段原瑠々×Mebius

 1位と3位にランクインしたJuice=Juiceだが、2月リリースのシングル曲「初恋の亡霊」は14位だった(この曲との両A面だった「今夜はHearty Party」は前回ノミネート済み)。また、YouTubeでの歌唱動画のみで音源リリースが未定のため今年度のノミネートとなった段原瑠々×Mebius「8月の空」は42位にランクイン。現Juice=Juiceリーダーでアクターズスクール広島出身の段原と、同スクール出身の姉妹デュオ·Mebiusの楽曲を共演でカバー。平和への祈りが込められた段原の歌唱が、聴く者の心に染み込むような仕上がりだ。

つばきファクトリー

つばきファクトリー『大好きなのに、大好きだから』(Music Video)

 つばきファクトリーは昨年6月に両A面シングル『My Days for You/悲しみがとまらない』をリリースし、2曲それぞれ真野恵里菜、杏里のカバー楽曲となっている。「ハロプロ楽曲大賞」にて上位にランクインしたのはこのシングルのアディショナルトラックとして収録されていた「大好きなのに、大好きだから」「月夜のパ・ド・ドゥ」で、それぞれ9、10位だった。特に前者は中島卓偉の作曲で熱いシンガロングも印象深く、つばきファクトリーの名曲と言えば“卓偉提供曲”というジンクスがまた補強されることとなった。

BEYOOOOONDS

BEYOOOOONDS『あゝ君に転生』Promotion Edit

 2位「Do-Did-Done」との両A面シングルとしてリリースされた「あゝ君に転生」は7位にランクイン。このシングルのアディショナルトラックだった「ディスコ・カーニバル」も18位と上位に食い込んだ。10月には、以前からグループと交流のあったDJ KOOとのコラボレーションシングル『最KOO DE DANCE』がリリースされており、12位を記録。小室哲哉サウンド=“TKサウンド”へのオマージュを、TKファミリーの一員であるDJ KOOが加わった状態でやってしまうという越境的で楽しい1曲だった。

OCHA NORMA

OCHA NORMA『女の愛想は武器じゃない』Promotion Edit

 OCHA NORMAの2025年は、両A面シングル『女の愛想は武器じゃない/学校では教えてくれないこと』1タイトルのみのリリースだったが、同作より表題の2曲、アディショナルトラックの2曲、計4曲がノミネート。最上位は、5位の「女の愛想は武器じゃない」だ。

 「盛れ!ミ・アモーレ」と同じく山崎あおいの作詞作曲で、OCHA NORMAの近年定着してきた“強い女”路線(「ちはやぶる」や「ウットーシー!」「わかってるっつーの!」「黙ってついてこい!」の3部作など)の最高到達点を示すようなエッジの効いたロックサウンドだ。個人的には、MVを初めて観たときに「今年の『楽曲大賞』はこの曲なんだろうな」と思ったものだ。前作シングルから11カ月後という長いスパン、その間に2人卒業という窮地からの逆襲という物語性、歌い出しの〈かわいいだけなんて 言わせない〉という昨今のカワイイ系アイドルトレンドへのアンチテーゼとも解釈できる歌詞、そし何より楽曲パフォーマンスの高い完成度。この曲が年間1位でもなんら遜色がない、そんな格の強さを今でも感じる。

ロージークロニクル

ロージークロニクル『ウブとズル』Promotion Edit

 ロージークロニクルは2025年にメジャーデビューを果たし、春と夏にシングル2タイトルをリリース。それぞれ5曲収録で、計10曲がノミネートされた。その中で最高位だったのは「ウブとズル」の11位だ。

 1st両A面シングルの表題曲のひとつである「ウブとズル」は、ゴシックロック的な曲調と〈傷跡になる恋をしたいの〉とか〈血が出るほどに刺せ〉といった歌詞が特徴。まだフレッシュさの残るハロプロ末っ子グループが、これらのギョッとするような強い歌詞を歌うギャップが新鮮だったのかもしれない。曲調こそ違うが、Berryz工房の1stシングル曲「あなたなしでは生きてゆけない」を想起させるものだろう。つまり、十数年後には成長したメンバーがこの曲を歌いこなす姿を見ることができるかもしれない、未来への可能性を感じさせるのだ。

 なお、インバウンドをモチーフにした「へいらっしゃい!~ニッポンで会いましょう~」は22位、TVアニメ『かいじゅうせかいせいふく』(テレビ東京系)主題歌の「ガオガオガオ」は34位だった。

ハロプロ研修生

ハロプロ研修生『あるべきキミであれ』LIVE(ハロ!コン 2025 2025.8.17 LaLa arena TOKYO-BAY)

 ハロプロ研修生のノミネートは、配信シングルである「あるべきキミであれ」1曲のみで、31位だった。中島卓偉の作詞作曲によるもので、デビュー前の研修生たちのまっすぐな歌唱とロックサウンドがベストマッチしている。

その他

【MV】ShyなDestiny(Song by 林仁愛(Juice=Juice))(フル音源Ver.)【メメントモリ】
「泡沫ライラック feat. 島倉りか(BEYOOOOONDS / CHICA # TETSU)」

 15位「ShyなDestiny」は、ゲームアプリ『メメントモリ』のキャラクターソングで、2024年12月のYouTube公開時にはハロプロ研修生だった林仁愛が歌唱を担当。高い歌唱力を要求されるR&B曲を見事に歌いこなしている。林は、翌年6月にJuice=Juiceへの加入が決定した。

 17位「泡沫ライラック feat. 島倉りか(BEYOOOOONDS / CHICA#TETSU)」は、アイドル×ミュージシャン×イラストレーターのコラボによるオリジナル楽曲をリリースしていくプロジェクト「月刊偶像」の第8弾シングル。BEYOOOOONDSの島倉りかによるソロ曲であり、グループ卒業直前でのリリースとなった。昭和歌謡好きの島倉と、1980年代に実際に女性アイドルへ数々の名曲を提供していた山川恵津子の作編曲という組み合わせが高い支持を得た。

 その他、ハロプロ卒業後にソロ歌手として活動しているメンバーたちの楽曲も多数ランクインしている。8月に芸能界引退となった道重さゆみのラストシングル「YES!最幸でしょ♡」は19位。盟友・大森靖子による作詞が、彼女の最終曲としてふさわしい内容だった。

道重さゆみ『YES!最幸でしょ♡』(Music Video)

 佐藤優樹は、ソロとしては初のアルバム『now rise』を10月にリリースしており、その中から「右肩の蝶」のカバーが23位で本人最高位。同曲は、2025年5月にYouTubeチャンネル「ぼくわたチャンネル」に投稿された動画をきっかけにリバイバルヒットしたことでも知られているが、佐藤は2025年5月のバースデーイベントでこの曲をすでにカバーしており、同時期に偶然取り上げていたのだ。この曲と佐藤の歌唱スタイルの相性は良く、ライブでも盛り上がるキラーチューンとして後押しした。

 宮本佳林「キケンな魔法」は30位、稲場愛香「星屑のエスケープ」は32位、譜久村聖「アニバーサリーはいらない」は33位で、それぞれ本人最高位となった。

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