The Ravens『BAND-AID』全曲解説:すべての“生”への肯定ーー第一線に立ち続けるロックバンドの誇りと慈愛

6. 「スカーレットムーン」
「天国レイヴンズ」が生み出した狂騒に続いて聴こえてくるのは、センチメンタルな雰囲気を帯びたこの曲。一人で迎えた夜、空に浮かぶ「スカーレットムーン」に過去の記憶を重ねる主人公。寝つけない中で、君のことを思い出し、〈あなたが目覚める次の朝が 希望で溢れています様に〉と願う。ラブソングのようにも受け取れる楽曲だが、ここで歌われる“君”と主人公の関係を、我々リスナーとThe Ravensに置き換えたらどうだろう。この、どこまでも穏やかな眼差しをもった曲は、もしかしたら孤独な夜を照らし出す赤い月のように音を鳴らし続けるという、バンドの意思表明なのかもしれない。
7. 「不文律」
今作で唯一、PABLOが作曲を手掛けているのがこの「不文律」。ピアノが軽やかなフレーズを奏で、ダンスビートとギターのコードがそれを追う。メロディの構造も、転調の仕方も現代的なJ-POPのニュアンスを感じさせる、さすがPABLOといったテイストの楽曲である。そんな他の楽曲とは違う雰囲気が、2分ちょっとの短い曲とはいえ、アルバムの中でアクセントとして効果を発揮している。だが、そんな曲でもKjの書く歌詞はどこまでもシリアス。この曲が訴えているのは、目に見えない不文律に囚われてそれに従うのではなく、そんなものを吹き飛ばして目の前の景色を変えていけという信念だ。
8. 「Death Roll」
タイトル“デスロール”というのは、ワニが獲物に噛みついて体を回転させて、その肉を引きちぎるという技のこと。楽曲の前半で聴こえてくるジャジーに跳ねるリズムとブルージーなギターのサウンドだけを切り取ればとても渋い大人のテイストを感じさせる楽曲だが、そこに込められたエモーションはどこまでも熱い。忍び寄ってくる“厄介者”に、クロコダイルのようにデスロールを仕掛け、引きちぎって突き進んでいく。そんな強烈な意志が楽曲の後半、サウンドが加速していくに従ってどんどんあらわになる。パワフルにグルーヴする武史のベースラインも聴きどころだ。
9. 「大人のたしなみ」
「大人のたしなみ」というThe Ravensらしからぬタイトルを見て曲を聴き始めると、聴こえてくるのはしっとりとアダルトなピアノとウッドベース、そしてKjが歌う〈Oh Baby〉の声。そのあまりにも意外なムードは、ファンにとってもひときわ新鮮なはずだ。だが曲を通して聴いた時、この曲が伝えようとしていることが、今回バンドがアルバムを通して表現するテーマを真正面から捉えたものであることに気づく。〈こっちに来てよ 僕らと笑い飛ばしてやろうぜ〉〈お互い様だろ 今夜くらいは 好きなだけ 付き合うから〉。ほかのどの曲よりも直接的に、親身に、この曲は僕たちの傷ついた心に寄り添ってくれる。
10. 「ゲイラカイト」
「ゲイラカイト」というのは少し聞き慣れない言葉だが、三角形のビニール製凧のことである。少し変化球的な楽曲が続いてきた中で響き渡る、ストレートでアンセミックなロックチューンとなっているこの曲は、ライブでクライマックスのひとつとなりそうな存在感だ。夢や希望を込めて空に放ったカイトに繋がる〈ライン〉を手放すな、とこの曲は何度も繰り返す。どんなに暗くても、どんなに辺りが見えなくても、握りしめた一筋の糸が僕たちを導いて突き動かしていく、と。アルバムも終盤に近づき、The Ravensの放つメッセージはどんどんソリッドに、そしてたくましくなっていく。
11. 「One More Song」
アルバムを締めくくるのは、これぞロックバンドと言うべきエモーショナルな一曲。前作の「ミルフィーユ」がそうであったように、この曲もまたアルバムを聴き終えて、あるいはライブを終えて日常に帰っていく一人ひとりの背中を全力で押す“エンディングテーマ”である。The Ravensは何のために音を鳴らし、今日も板の上に立ち続けるのか。この曲の最後を飾る〈またこんな夜に出会えたらいいね 道導になれ〉というフレーズは、その理由をはっきりと指し示す。人が抱える傷や痛みを癒す――『BAND-AID』というアルバムタイトルに込めた願いを、彼らはこれからも続けていくと宣言しているのだ。きっとライブハウスでこの曲が鳴り響いた時には、美しい大合唱が巻き起こることだろう。
この4作目となるアルバムは、The Ravensというロックバンドの存在理由そのものである。ますます先行き不透明な時代だからこそ、彼らのように第一線で現場に立ち続けるロックバンドが、こんなメッセージを届けてくれることの意味はとても大きいと思う。このアルバムを携えて、5月9日からは再び新たなツアーが始まる。このアルバムに収められた曲たちが、ロックバンドが最も輝く場所で、そこに集まった人々の心を照らし出す瞬間を早く目撃したい。

■リリース情報
『BAND-AID』
4月29日(水)配信リリース
配信リンク:https://theravens.lnk.to/BAND-AID
<収録曲>
1. BAND-AID
2. 群像劇
3. The Catcher in the Mosh Pit
4. iPhoneとFRISK
5. 天国レイヴンズ
6. スカーレットムーン
7. 不文律
8. Death Roll
9. 大人のたしなみ
10. ゲイラカイト
11. One More Song
■関連リンク
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