かりゆし58、結成20周年記念トリビュートアルバム対バンツアー最終公演レポ ORANGE RANGEと繰り広げた“夢みたいな時間”

2005年に沖縄で結成されたロックバンド・かりゆし58による対バンツアー『かりゆし58 20th TRIBUTE ALBUM -Solo-solo HA!touch- TOUR』。その最終日となる大阪公演が3月29日、Zepp Osaka Baysideにて開催された。
同ツアーは、デビュー20周年を記念したトリビュートアルバム『かりゆし58 20th TRIBUTE ALBUM -Solo-solo HA!touch-』のリリースに合わせて行われたもの。20日の東京・Zepp DiverCityではMONGOL800、27日の福岡・Zepp Fukuokaでは04 Limited Sazabysが共演者として登場。そして大阪公演では、2026年で結成25周年のORANGE RANGEが対バン相手として迎えられた。
ORANGE RANGE は、25周年イヤーの幕開けを告げた楽曲「メンソーレ feat.ソイソース」に乗ってステージに登場。「やってまいりました、ORANGE RANGEです」との挨拶から、「以心電信」や「ロコローション」で盛り上げ、フロアの熱量は一気に最高潮に。MCではHIROKIは、かりゆし58について「大好きな先輩でもありますので、盛大に祝って今日は泣かしにいきたいと思いま…泣ける曲がない、俺たちには!」とハッとした表情を浮かべ、「DANCE2 feat.ソイソース」「おしゃれ番長」をメドレースタイルで披露するなどした。一方で、ライブの雰囲気をガラッと変えたのが「ミチシルベ 〜a road home〜」。ギターの美しい旋律に溶け合う、3MCのエモーショナルなボーカル。「ライブではあまりやらない」ということだが、RYOは「『ミチシルベ 〜a road home〜』は、かりゆしのメンバーからのリクエストだったんです。(かりゆし58は)すごい先輩。いつも『レンジのこういうところがいいんだよ』って言ってくれて、自信をもらっていて。ORANGE RANGEも、かりゆしを追っかける感じで沖縄のいいところをみんなに届けていきたいな」と、かりゆしの存在がまさに“道標”だと語った。沖縄というルーツを共有する両者の関係性が、楽曲を通して浮かび上がった瞬間でもあった。
そんなORANGE RANNGEのセットリストで特別感を放ったのが、トリビュートアルバム参加曲「アガリミナギル効果」だろう。聴き手の脳裏に刷り込まれる言葉とメロディのリフレイン。沖縄民謡のテイストが“サブリミナル的”に挿しこまれたニューレトロなサウンドに、オーディエンスもカチャーシー(沖縄手踊り)で呼応。かりゆし58の楽曲を、ORANGE RANGEが独自解釈した同曲に会場中が酔いしれた。

「かりゆしに熱いバトンを渡したい」というORANGE RANGEの思いを受け、かりゆし58は序盤から気持ちを前面に出した。前川真悟(Vo&Ba)の「かりゆし58、おかげさまでハタチになりました!」というお礼から、まず響かせたのが「電照菊」。中村洋貴のパーカッションとサポートメンバーの柳原和也のドラムが弾けるように立ち上がり、前川による芯のある歌声が届けられる。



次いで「ナナ」では、新屋行裕の印象的なギターリフが聴こえると「おぉ!」とオーディエンスがどよめき、前川のベースが追走するとテンションがヒートアップ。同曲のリリースから17年。日常的な出来事の愛おしさが綴られた普遍的な楽曲性に、客席を埋めた幅広い世代が引き込まれていくのが分かった。

2曲をプレイ後、前川は「はいさーい、かりゆし58です。おかげさまで20周年。長い思い出話になってしまうんですけど」と話し始める。
「東京でモンパチ先輩とやって。モンパチは俺が高校生のときから知り合いで、対バンもやったりして。でも高校を卒業したら(当時のバンドの)仲間は散り散りになって、ハタチの頃に楽器も全部手放して岐阜の方でトラックの運転手さんになったんです。そのときラジオから一日中、モンパチがかかっていたんです。そんなとき、(職場の)先輩と居酒屋へ行ったら隣の女子大生がみんなでモンパチを熱唱する一幕があって。先輩が女子大生と喋りたいから、僕を指さして『モンパチの友だちなんだよ』って。そのなかの一人の女の子に『今も音楽やってるんですか』と聞かれて『はい…』と言ってしまい、『今度聴きたいです』って。そこから部屋で録音できる機械を買って、『モンパチみたいな曲ってどうやるんだろう』と生まれて初めて日本語の歌詞の曲を作って、その曲が今から20年前の2月22日に僕らのデビュー曲(『恋人よ』)としてリリースされました」。
前川が一度は諦めた音楽の道。しかし、トラック運転中に流れてきたMONGOL800の曲。それをきっかけに、ミュージシャンとして再起の一歩を踏み出した。なにかを始めるのに「遅すぎる」ということはない。その勇気を歌った「心に太陽」が披露され、終盤パートの歌唱をオーディエンスに託すと、会場中から〈心に太陽 それぞれの旅路を照らし続けるでかい太陽〉と歌声が重なり合い、空間全体が一つのコーラスとなった。同曲のメッセージがオーディエンスの心にしっかり届いていることが伝わった。

パーカッションの軽快なリズムと宮平直樹の抜けのいいカッティングギターが夏のような開放感を生む「JUMP UP!!」でボルテージを上げ、その勢いでなだれこむようにパフォーマンスされたのが「ア・モーレ ア・モーレ」。ウエスタン調のドラムビートで疾走するが、ここで前川が「我々の20年分の愛を少し形を変えて、みなさまの盛り下がる時間に変えたいと思います」とあえて熱量をトーンダウンさせる演出を強行。歌声や楽器音がどんどんしぼんでいき、前川や宮平はしゃがみこみ、新屋はステージ上に倒れ込んで“演奏放棄”。前川は「満員御礼の会場が今、最低気温を記録したところです。でも人間はバネのごとく、縮んだ後は伸び上がって、飛び上がれる。大阪の底力が見たい」と呼びかけると、客席からこれまで以上にパワフルな歌声が上げられた。まさに“最低気温”から“最高気温”へ。楽曲のテーマとライブの熱量が重なり合う象徴的な一幕となった。
以降「南に舵を取れ」「青春よ聴こえてるか」「愛を編む」「流星」を聴かせ、前川は「今日はうちの息子と奥さんも来ているんです。沖縄の海で、うちの息子に人生で最初に魚を釣らせてくれたのがORANGE RANGEのNAOTOなんです。そんなのもあるからかな、ここにいるみなさん全員が、僕にはおっきな家族に見えてます。お陰様で宝物に囲まれてます」と頭を下げた。そして「家族歌をやります、『アンマー』という曲です」と、バンドにとって初のシングル曲で日本有線大賞新人賞を受賞した代表曲「アンマー」を奏でる。20年前のリリース曲だが、きわめて新鮮な印象を受けるのは、バンドのルーツにして現在もなお彼らが沖縄音楽のメロディーを楽曲の根幹に置き鳴らし続けているからだろう。落ち着いたテンポの中に、ギュッと詰まった言葉。息継ぎが少ない前川の流れるような歌唱は、抑えきれない感謝の気持ちの表れにも感じられた。
「過去の自分に負けないように、ライブはあるんだと思います」と力強い思いを入れ込んだ「ウクイウタ」、そして本編のラストはデビュー曲「恋人よ」。同曲で見せるメンバーそれぞれの実直なプレイは、かりゆし58というバンドの性質をしっかり表している。彼らはきっと、デビュー当時から良い意味でなにも変わっていない。それがまっすぐなこのロックンロールナンバーから伝わってくる。
「恋人よ」の後、ほぼ間髪を入れずに前川が「逆アンコールしていいですか」と一言。「この曲を、あなたにあげます」と、20日の東京公演で同ツアーのトップを担ったMONGOL800が1発目に演奏した「オワリはじまり」を披露すると、オーディエンスも大熱狂。そして、メンバーとオーディエンスが垣根を越えて一緒に歌った。さらに曲終盤には、MONGOL800の「小さな恋の歌」の一節をアレンジして入れ込む心憎い演出も。一緒に音楽をやっている仲間へのリスペクトがあふれたものになった。

アンコールでは、宮平が「夢みたいな時間っていうのは、こういうことなんだなって」と感無量。サポートドラムを10年続けている柳原も「20周年、おめでとうございます。10年前、20年前の自分を考えてみたら、夢みたいなところにおるなって思うわけよ」と、かりゆし58と歩む音楽活動に喜びを得ていると口にした。
前川は、オーディエンスに向け「あなたが僕らに夢を見せ続けてくれています」と頭を下げ、「魚(UO)」を披露。前川が「我がふるさと、沖縄ではお祝い事のときはみんなで踊って、会を仕上げる風習があります。最後はみんなで沖縄のカチャーシーで終わりたい」と話すと、ORANGE RANGEも再登場。全員が“沖縄音楽のグルーヴ”に身を委ね、「結成25周年目のORANGE RANGE! お陰様のかりゆし58! 今日は本当にありがとうございました」と“宴”は幕を閉じた。



■関連リンク
【かりゆし58 20周年特設サイト】
https://kariyushi58.com/feature/20th
【かりゆし58 公式HP】
https://kariyushi58.com/
【かりゆし58 公式X(旧Twitter)】
https://x.com/kariyushi58info
【かりゆし58 公式Instagram】
https://www.instagram.com/kariyushi58_official/
























