FRUITS ZIPPER 鎮西寿々歌&櫻井優衣が振り返る東京ドーム “邪道”から“王道”へ――見据える次のフェーズ

FRUITS ZIPPER 鎮西&櫻井が語る東京ドーム

東京ドーム公演中に気づいた“メンバーの表情”の変化

櫻井優衣

――東京ドームは、FRUITS ZIPPERとしても目標に掲げてきた場所だったと思います。前日に月足天音さんがX(旧Twitter)で「眠れるか危うい」(※2)と投稿していたので心配していたのですが、おふたりは前日どんなふうに過ごしていましたか?

櫻井:私は全然眠れなかったです。2時間くらいしか寝られなくて。

鎮西:え、やば……。

櫻井:いろいろ思い出しちゃって。デビュー当初、最初にアイドルを始めた頃のレッスン会場が水道橋で、東京ドームの横をよく通っていたんですよ。だから、まさか自分がずっと通っていた場所に立つ日が来ると思っていなかったですし、当時はラクーアでイベントができることですら、夢というか憧れのひとつだったので……。今回も、衣装を持って車で向かう道の途中で「ここ、レッスンで通ってたな」って、いろいろ思い出してしまって。今の状況がすごく幸せだな、って思ったら、どんどん記憶が連鎖してきちゃったんです。本番前日はちゃんと寝て、万全の状態で迎えたかったから、意識的に振り返るつもりはなかったんですけど……ひとつ思い出したら、もう止まらなくて。結果、全然眠れなかったです。

――櫻井さんは10年以上アイドルとして活動を続けてこられているからこそ、東京ドームという場所の重さも、より強く感じていたのかなと思います。

櫻井:東京ドームって、ただ会場が大きい、というだけではないじゃないですか。そこに立つことの重さは、これまでの経験のなかでも分かっていたので。キャパの大きさだけじゃなくて、応援してくれている皆さんの思いまで含めて、すごく感慨深かったです。

――鎮西さんはいかがでしたか?

鎮西:私はお好み焼きを食べて寝ました(笑)。前日もリハをして、整体に行って、お好み焼きを食べて、そのまますぐ寝ましたね。たくさん眠れました! ただ、翌朝、優衣ちゃんの話を聞いて「たしかに」と思ったんです。正直、私はまだ東京ドームをうまく振り返れていなくて……出来事をいったん胸のなかにしまっている感覚があるというか。だから、こういう機会があるとあらためて思い返せるんですけど、年々“思い出す”のが苦手になってきていて。ちゃんと振り返らないといけないなって思いました。

――当日の朝、メンバーの皆さんが東京ドームへの思いをXに綴っていましたよね。ひとつひとつ読んでいたら、皆さんの思いの強さが伝わってきて、こちらまで胸が熱くなりました。

鎮西:それを読んで、「私もちゃんと振り返らなきゃ」って思って。メイク中に「よし、一回整理しよう」って、FRUITS ZIPPERとしての最初の頃のことを思い出しながら、自分なりの“答え合わせ”を言葉にしておきたくて、書きました。

櫻井:打ち合わせしてないのに、みんなそれぞれ書いていたよね(笑)。私たちは空気で会話するところがあるから、「みんな振り返ってから来たんだろうな」って、なんとなく伝わるというか。

鎮西:そう、言葉じゃないんだよね。

――東京ドーム当日ですが、特に印象に残っている出来事や曲はありますか?

櫻井:最初からずっと泣きそうでした。気球の登場シーンの時点で危なくて、こらえながら本編を走り切ったんですけど、アンコールの最後に歌った「虹」で一気に崩れてしまって……本当はもっと気持ちを込めて歌いたかったのに、思うように声が出なかったのが悔しかったです。東京ドームは“ひとつステージアップする場所”だと思っていたからこそ、なおさらでした。公演後にCANDY TUNEのしーちゃん(宮野静)に「我慢と悔しさが混ざった表情が印象的だった」と言われて、自分では抑えているつもりでも表に出ていたんだなと思いました。

鎮西:私のなかでは大きくふたつあって。ひとつは「虹」で、円になって向かい合って歌う場面です。後半のソロパートでメンバーの顔を見ながら歌っていたら、初めて武道館で披露したときからの記憶が一気に重なってきて。いつも一緒にいるはずなのに、みんなが見たことのないくらい、次のステージに上がったような表情をしているのがわかったんです。あの瞬間、歌いながら「FRUITS ZIPPERって最高やな」って思っていました。もうひとつは終盤、「超めでたいソング〜こんなに幸せでいいのかな?〜」のタイトルコールをしたとき。最高にハッピーなはずなのに、そこに少しだけ寂しさが混ざっていて……あの感覚は初めてでした。

鎮西寿々歌

――ユニット曲も印象的でした。櫻井さんは松本さんと「大きくなったら何になる?」を披露しました。

櫻井:かれんの生誕祭で少しだけ一緒に歌ったことがあって、そのときに「いつかユニットできたらいいね」って話していたので、それがあんな大きな場所で叶ったのは特別でした。曲を最初に聴いたときは「いや、もう“おっきい”やんけ」ってツッコんだんですけど(笑)。歌詞がケーキ屋さんとかお花屋さんとか、かわいい言葉が続くから、正直どう表現しようって戸惑いもあって。私、アイドル12年目なので、いろいろ言われるかな……とも思いました。でも聴き込むうちに、かれんと出会ったときの気持ちが重なってきたんです。

 かれんはアイドルが初めてなので、その純粋な理想とか楽しさを、できるだけ汚したくないなって。デビューの頃から「この子のためにできることがあるなら、やってあげたい」って思ってきました。〈全部ほんとにしてあげる〉って歌詞があるんですけど、そこはかれんだけじゃなくて、メンバーみんなにも重なる部分があって。私が経験してきた“しんどさ”みたいなものは、できるだけみんなに背負わせたくない。そういう気持ちが自然と乗りました。

――本番でも、無意識に出ていた?

櫻井:そうかもしれないです。映像を見返したら、その〈全部ほんとにしてあげる〉のところで、私がかれんを見て歌っていて。記憶はないんですけど、無意識に出ていたんだろうなって思いました。この曲って、小さい子が「大きくなったらアイドルになりたい」って夢を見る入口にもなれると思うんです。私もそういう憧れのなかで育ってきたから、その感覚ともリンクしていて。だから東京ドームという節目の場所で、かれんと一緒にできたことが、すごく心に残りました。

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