豆粒「みじんこらっくっぽいと言われるバンドに」ーーTikTokでの出会い、ミニアルバムの制作秘話に迫る

みじんこらっく 豆粒、アルバム制作秘話

〈比べるもんじゃない〉が「もんじゃ」に? 偶然と遊び心を形にする制作術

ーー曲作りはどんな流れで進むことが多いですか?

豆粒:まず私が弾き語りをボイスメモに録音して、それを2人に送って聴いてもらってから、スタジオに入って合わせてみるって感じです。

ーーバンドで音を出しながら、キメやブレイクのタイミングなどが決まっていく?

豆粒:いえ、基本的に私が送る弾き語りの中にすでにブレイクとかは入ってるのでそれはあまりないですね。合わせていく中で、「ここはジャッジャッて切ったほうがいいよね」と調整することはありますけど。

ーーそれはちょっと意外でした。みじんこらっくの曲は単なる弾き語りの延長とは明確に違う感じがするので、「バンドとしてどう聴かせるか」の部分は3人でアイデアを出し合っているのかと思っていました。

豆粒:元は弾き語りなんですけど、それをバンドに持っていったら自然にバンドっぽくなると私は思っていて。

ーー何か特別「“弾き語りにリズム隊がついてるだけ”に聴こえないように」と心がけているわけではない?

豆粒:一切ないです。

ーーそうなんですね。では、「曲を作ろう」となる最初のところはどう始まることが多いですか?

豆粒:感情の変化、ですね。たとえば「今日は電車の中で嫌なことがあった」とかをその都度メモするんですけど、そのメモが元になって曲ができるんです。具体例でいうと、人と比べられて落ち込んだときに「比べるもんじゃないけどね」みたいなことを延々と書いていたものが「もんじゃ」(1stミニアルバム収録)という曲になったりとか。

みじんこらっく「もんじゃ」Live Movie

ーーなるほど。ちなみにその「もんじゃ」ですけど、〈比べるもんじゃないけど〉と歌う曲のタイトルを「もんじゃ」にするセンスが素晴らしいなと思っていまして。極めて音楽的というか。

豆粒:実はこれ、最初は「比べるもんじゃ」ってタイトルだったんです。それが、とあるライブで私がタイトルコールをする時に「もんじゃ!」って言ってしまったことがあって(笑)。そしたら「それいい!」ということになり、「もんじゃ」になったっていう。

ーーうっかり言っちゃったってことですか?

豆粒:適当に言ったんだと思う(笑)。もともとちょっと長いなと思ってはいたのと、実は最初のメモを書いた時にもんじゃのお菓子を食べていたので、もんじゃが起源でもあるんですよ。それが脳裏にあったんだと思います。

ーーみじんこらっくの曲には全般的にその感じがありますよね。言葉を意味だけで捉えるのではなく、音として発せられるものという意識が高い印象があります。

豆粒:それはあるかもしれない。メモする時は、日記として書くのではなく、あくまで「歌にしたい」という気持ちが絶対的にあるので。すべての言葉を歌になる前提で選んでいるところはある気がしますね。

ーー「ラックミュージック」(2025年)の〈サンキューベリーマッチ!〉もそうですが、普通はもっと意味に囚われちゃうので、意外とこれが書ける人は限られると思います。この感覚は、聴いてきた音楽の影響だったりするんですかね?

豆粒:どうだろう。最近、自分の元になっている音楽がなんなのかっていうのをすごく考えていて……直接の影響かどうかはわからないですけど、マカロニえんぴつさんの存在が大きいかもしれないですね。はっとりさん(Vo/Gt)って、日常にある身近な気持ちとかをちょっと面白い言い回しで歌詞にしたりするじゃないですか。その感覚が染みついているところはあるのかな、と思っています。

みじんこらっく「ラックミュージック」Official Music Video

0thアルバムと1stアルバムをリリース、“エピソード0”を届けたかった理由とは?

ーー3月25日に1stミニアルバムのリリースを控える中、ほぼ同タイミングに“0thミニアルバム”もリリースされます。

豆粒:0thのほうは完全自主制作で、私が弾き語りで作っていた頃の曲が多いんです。「チケット」という曲が入ってるんですけど、これが最初にお話ししたTikTokに載せて2人が聴いてくれた曲で。対して1stは、ちゃんと3人でバンドとしてやっていくことが定まってから作った曲が中心になっています。

ーーつまり0thはその名のとおり“エピソード0”ってことですね。第1章が始まる前のプロローグ的な。

豆粒:そうです。だから0thの曲はいい意味で「誰かに伝えたい」というわけではなく、自分の気持ちをただ純粋に歌ってるだけのものが多い。1stのほうは、全部ではないにしても聴いてくれる相手の存在を意識した曲が多くなってるかな、と思います。

ーーなかなか珍しい形ですけど、なぜこういうリリースの仕方をしようと思ったんですか?

豆粒:私たち、曲が短いうえに数が多いんですよ。どんどん曲が増えるので、0thの曲は最近ライブであまりやっていなくて。それがもったいないなという気持ちがあったのと、これを出さずに1stを最初に出してしまったら辻褄が合わないよなと思って。この曲たちがなければバンドは始まっていないから、ちゃんとアルバムの形として残したかったんです。

みじんこらっく 豆粒(撮影=篠田理恵)

ーー普段、そんなにたくさん曲ができるんですか?

豆粒:もう、半端ないです(笑)。先ほどメモの話をしましたけど、たとえば今日の帰りに「取材楽しかったな」って書くと、寝る前とかに絶対曲にしたくなるんです。それをほぼ毎日続けてるから。

ーー息をするように曲ができると。おそらくその段階では断片的なものですよね?

豆粒:はい。「いい曲を作ろう」とかは考えずに、「とりあえずこの気持ちを歌にしたい」という衝動だけでやっている感じです。

ーーそのラフスケッチ的なものが溜まっていく中で、「フル尺の1曲にまとめよう」となるものとならないものがあると思うんですが、どういう基準で選別されるんでしょう?

豆粒:たしかに全部が曲になるわけではないですけど……なんだろう? (しばし考えてから)何か言葉を書いて、次の日もその次の日も書いていって、あとから見返してみると同じようなことが何回も書いてあったりするんですよ。それを繋ぎ合わせることが多いので、決め手は“忘れられない気持ちが重なった数”なのかもしれないですね。

ーーたしかに、そういうものほど曲にする意味もありそうですし。

豆粒:うん、おっしゃるとおりです。

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