Official髭男dism、「Make Me Wonder」で歌う“異なる”ことの面白さ 『ダーウィン事変』への好奇心を加速させる主題歌に

ものすごい多層構造を持ちながら一撃で喰らわす、久々にガツンと来るヤツがきた。それがOfficial髭男dism「Make Me Wonder」に抱いた第一印象だ。メンバー4人のみで回る『OFFICIAL HIGE DANDISM one-man tour FOUR-RE:ISM』初日、昨年12月10日の福岡・Zepp Fukuokaでライブ初披露。12月29日にデジタルリリースされた同曲は、今年1月からOAスタートしたTVアニメ『ダーウィン事変』(テレビ東京系)オープニング主題歌として書き下ろされた新曲だ。その第一印象はOfficial髭男dismファンのみならずインパクトを与えたようで、Billboard JAPAN 2026年第一週の急上昇ソング・チャート「JAPAN Hot Shot Songs」で首位を獲得。『NHK紅白歌合戦』出演者楽曲が優位な時期に楽曲の強度を証明した。
シリアスな『ダーウィン事変』における「Make Me Wonder」の役割
メンバーが原作のファンとはいえ、人間とチンパンジーの間に生まれた“ヒューマンジー”が主人公であるところからして、『ダーウィン事変』が描くものはなかなか難しくアンタッチャブルなテーマではある。だがそこで企画書を前にフツフツと面白いものを生み出そうとしている藤原聡(Vo/Pf)の顔が浮かぶのも事実なのだ。自身の新曲とアニメタイアップ作品のコラボレーションの意義を立体的なパズルを組み上げるような緻密さで、細部に拘って制作するアーティストという意味では、アニメソングが群雄割拠を展開する中でも、際立った解像度を誇ると言っていいだろう。
現在TVアニメは第4話までOAされたが、初回のエピソードは「動物解放」を掲げるテロ組織ALAが実験動物のチンパンジーを救出するところから始まる。ヒトの能力を超える知能とチンパンジーを超える身体能力を併せ持つ主人公チャーリーと彼を狙うALA、また、人見知りだが頭脳明晰なルーシーとの出会いや義父母との関係など、フィクションとノンフィクションがないまぜになりつつ、テロ、差別、人権、炎上といった現代社会のイシューが盛り込まれていく。このなかなかシリアスなドラマの冒頭で好奇心を加速させる重要な役割を「Make Me Wonder」は担っているのだ。
意味だけを前景化させない、巧みなアレンジと怒涛の押韻
セクションごとの音色やビート感の変化はありつつ、楽曲の印象を決定づけているのは歪んだギターリフ。ベースもユニゾンする形で4つ打ちのタイトなキックとともに進んでいく体感はロック志向時代のマイケル・ジャクソン(「Beat it」)や、INXSやロバート・パーマーといった白人ミュージシャンのファンク×ロックを直感的に思い出した。80年代的なグラマラスな上モノと生音ブレイクビーツが融合し、現代の音像で昇華している感じだ。管やコーラスを盛り込んだ大きなアレンジから4人のサウンド重視のアレンジは前作「Sanitizer」に続くものだが、曲調は正反対。印象的なギターリフとともに藤原のボーカルもBPMの速さじゃないスピード感を生み出し、膨大な言葉数を乗りこなしていく。そこで歌われるのは平たく言えば、未知の部分が多すぎるがゆえに不安になる恋愛初期の感情と、その乗り越えのプロセスだ。
一旦、恋愛と仮定してみたが、アニメのストーリーとのリンクで聴いていくと新たな発見がある。〈君と僕にはどんなルールやヒントが存在するんだろう?/LとRのようにモノ同士で混ざりたいステレオ〉という歌詞には異なる社会的なバックボーンを持つ者が浮かび上がるし(LとR、モノ、ステレオといったワードはオーディオ的な遊び心ではあるけれど)、〈知ってくほどイコールじゃない/イコールになれないところがまた最高にFunだ〉には異なることの面白さや寛容性が窺える。それは『ダーウィン事変』の主人公チャーリーと、彼とは不思議と気が合う人見知りのルーシーの関係とリンクするし、物語が伝えようとする大きなテーマの一つでもあるだろう。
また、歌い出しの〈X Yかなんか 偉い人が探し出した 法則〉は人間の男女の染色体を指すが、そのあとに続く〈法則よりこれは確か〉というのはもっとシンプルに“生き物”として響き合う何かを示唆する。そんなワンダーな体感をAメロでは〈なんか〉〈出した〉〈確か〉、サビでは〈くらい〉〈Why〉〈知られたい〉と押韻してフロウを生み出し、意味だけが前景化することを避けている。さらに畳み掛けるような前半から〈僕らの関係値は? 僕らの限界値とは?〉のあと、答えに窮するように演奏が萎むアレンジは少しコミカルだし、消滅しそうなスリルを孕みつつラスサビに向かってファルセットも使い明るく高揚していくあたりは〈君を知りたい 知られたい 知られ合った結末がどうでも構わない〉と、開き直る歌詞と相まって展望が開けていく。これは今後、アニメのストーリーとのリンクを見ていきたいところだ。
これまでも「ミックスナッツ」(TVアニメ『SPY ×FAMILY』オープニング主題歌)では赤の他人で構成された家族をミックスナッツに喩えたり、一つのことを続けてきたがゆえに心の中の2人の自分が語り合う「らしさ」(映画『ひゃくえむ。』)、孤独な公園のブランコも自分の宇宙だと表現した「Universe」(映画『ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スターウォーズ)2021』主題歌)など、原作の読み込みの深さが歌詞に反映された楽曲を生み出してきたOfficial髭男dism。「Make Me Wonder」はそのクロニクルに加わる大きな一曲になるだろう。

■リリース情報
Official髭男dism「Make Me Wonder」
2025年12月29日(月)配信リリース
配信URL:https://HGDN.lnk.to/Make_Me_Wonder
■Official髭男dism「Make Me Wonder」特設サイト
https://makemewonder.ponycanyon.co.jp
■関連リンク
Official髭男dism 公式サイト
Official髭男dism 公式X
Official髭男dism公式Instagram
Official髭男dism 公式YouTube Channel
Official髭男dism 公式TikTok






















