THE ALFEEの“祭り”は2026年も続く 『君が生きる意味』に刻まれた50年以上続くバンドの生き様

THE ALFEE、最新ALに刻む生き様

アルバム1枚を聴いて、ライブ1本分見終わったような感覚になってほしい(坂崎)

ーーアルバムのオープニングを飾る「月光譚 - Moonlight Rhapsody -」も、1曲目に相応しい強烈なハードロックナンバーです。

高見沢:これは完成するまでが大変でした。

桜井:歌詞がなかなか上がってこなくて、何回も「今日は(歌入れは)なし」って日も続いて。でも、完成したものを読んだときは、その言葉数の多さに「これは苦しんだだけのことはあるな。よくこれだけ書けたな」と思いましたよ。最初、「譚」が読めませんでしたから(笑)。

ーー終盤の〈だから… 孤独は無駄じゃない〉というフレーズ含め、「月光譚 - Moonlight Rhapsody -」の歌詞は本当に響くものがありました。

高見沢:ありがとうございます。僕が歌詞を書くときは自分が歌うとか考えず、まず3人の声が混ざり合ったときの質感とかそれぞれの魅力的な部分をどうやったら引き出せるかとか、全体を俯瞰で見ることが多くて。この曲に関しては桜井のいいところを引き出そうと思って作り始めたんですけど、気づくと自分が桜井になって歌っているんですよ。そういう意味では、僕が曲を作るときって多重人格になっているんですよね。そうなると、歌詞においても自分の考え以上のものがふと湧き出てくることが多くて。桜井のいい声、一番いい部分を引き出すためのメロディをまず作って、そこに付随するように歌詞も桜井が歌うに相応しいものが生まれるわけです。

 この曲では月がテーマになっていますが、「月光譚 - Moonlight Rhapsody -」という曲が生まれたことで、今度は月との対比で太陽をテーマにした「孤独の太陽」が生まれた。その月と太陽の対比の中から生まれる孤独感……それが「君が生きる意味」へとつながり、「疾風怒濤 - Mind Riot -」のように今を表す。そういう感じで、ひとつ完成したことで、どんどん次へとつながっていくんです。これも、3人いるから「こういうこともできるかもしれない」とか「これもありえるかもしれない」とかいろいろ発想が膨らむわけで、自分だけのために作ろうとするとなかなかうまくいかないんですよ。

桜井:すごいよね、そういう作り方ができるのって。

高見沢:それが自分の使命でもありますからね。だから、小説を書いていても一緒。「この人はどうなんだろう」みたいな感じで書き始めると、その登場人物が自分の中に現れて、どんどん物語を進めてくれる。で、あとから「ええっ、こんな人だったの?」と驚かされるわけです(笑)。そういうことを踏まえると、作詞作曲はすべて僕が担当しているものの、バンドであることの強みがこのアルバムにはちゃんと出ていると思います。それが“君が生きる意味”であり、“僕らが生きる意味”や“生きる価値”なんでしょうね。もちろん、ライブ活動もALFEEにとっては“生きる意味”のひとつなわけで。“ライブ(Live)”には“生きる”って意味も含まれているじゃないですか。だから、“君が生きる意味”=“ライブ”でもある。そういういろんな側面を包括しているという理由で、アルバムタイトルも『君が生きる意味』にしましたし、今の僕らにできる最大限が詰まったアルバムになっていると思います。

ーー今のお話の中で、「月光譚 - Moonlight Rhapsody -」「孤独の太陽」「君が生きる意味」「疾風怒濤 - Mind Riot -」というアルバム冒頭の並びにはしっかり意味が込められていることがわかりましたが、こういう曲順って楽曲を制作している時点でなんとなくイメージできているものなんでしょうか。

高見沢:それが、最初はなかなかできないんですよね。やっぱり歌詞が出来上がったり、実際に歌を入れてみて「こういうふうに聴こえるのか」とイメージできたところで、徐々に固まっていくわけです。それこそアルバムタイトル曲(「君が生きる意味」)を1曲目に持ってくることも多いとは思うんですけど、いざ歌を入れてみると「なんか違うな。1曲目という感じではないな」と感じましたし、「やっぱりドカン!と始まるほうがいいよな」と思って「月光譚 - Moonlight Rhapsody -」を1曲目に選ぶと、そこから自然と物語が繋がっていくと。ある意味、ライブのセットリストを組み立てるのに似ているんですよ。

坂崎:アルバムも起承転結のある、ひとつのステージみたいなものですからね。アルバム1枚を聴いて、ライブ1本分見終わったような感覚になってほしいですし、ファンの皆さんなんて自然と「この曲のここは、照明はこんな感じかな?」って思い浮かべながら聴いているんじゃないかな。

高見沢:「桜井さんがこんな格好で、大汗かきながら歌ってる」みたいなね(笑)。

ーー実際、このアルバムの楽曲って歌詞から受ける印象はもちろんですけど、演奏や歌い方から受けるイメージによってその曲の中の情景であったり、色や匂いみたいなものを思い浮かべやすい。イマジネーションを掻き立てられる、余白を残した音楽なんだなと思いました。

高見沢:それは嬉しいお言葉ですね。

坂崎:そりゃあね、これだけイントロが長いんだから、いろいろイメージしちゃうでしょう(笑)。今やイントロなんていらないと言われている時代ですからね。

高見沢:「孤独の太陽」なんて、間奏ではいきなりアコースティックギターのソロから入って、キーボードソロに繋がっていきますし。70年代のハードロックやプログレッシヴロックにありがちな展開ですけど、最近の曲にはこういう構成も少ないですから、聴いた人がそれぞれいろんなイメージを自分の中で作り上げてくれるんじゃないかな。この曲のハモンドオルガンは武部聡志(音楽プロデューサー)で、70年代からの友人に弾いてもらったんですよ。実は彼、ハードロッカーなんですよ。

桜井:ハモンド(オルガン)、めっちゃうまいもんな。

坂崎:ああいう70年代サウンドを出させたら、彼が一番ですから。

高見沢:今や大先生になりましたけど、20歳ぐらいからの友達なんでね(笑)。

ーー曲順の話に戻りますが、「君が生きる意味」は派手で激しい「月光譚 - Moonlight Rhapsody -」「孤独の太陽」のあとに来るからこそ、より存在感が増した印象を受けました。

高見沢:あれだけドン! ドン! と激しく鳴らしたあとに、坂崎の高価なギターの音が聴こえてくるという(笑)。

ーー前回のインタビューでも「坂崎も高いギターをずいぶん買ったみたいですし、どんな音がするのか、せっかくならレコーディングで使ってみたいじゃないですか」とおっしゃっていましたものね。

高見沢:やっぱりね、高いギターには高いなりの理由があるんだなと。(バイオリンの)ストラディバリウスほど高額ではないんだけど、68年のマーティンD-45の音はアコギの最高峰だと改めて実感しました。

坂崎:最近はヴィンテージものの高騰ぶりが、さらにすごいからね。

高見沢:せっかく身近にあるんだから、どんどん使わないとね(笑)。

坂崎:宝の持ち腐れになってもしょうがないですから、惜しみなく使いました。ただ、「管理が大変なので、さすがにツアーには持ってこないでくれ」とスタッフに釘を刺されましたけど(笑)。

高見沢:今回は僕も1959年のレスポールをメインで使っていて、パッキングはほぼそれを弾いたんじゃないかな。

桜井:このアルバム、楽器だけで相当高額だな(笑)。

坂崎:でも、そのおかげで今までの作品の中で一番納得できる音になりましたよね。

高見沢:そうだね。いつもは制作期間に何度も聴いているから、完成した頃には飽きてくるんですけど、今回に関してはなかなか飽きがこないんですよ。

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