Maverick Momが「儚夏」で切り開いた2025年 制作やライブの進化、大きな変化を実感した1年を振り返る

ポピュラリティを意識したEP『COMPASS』を通して、バンドの個性と大衆性を鮮やかに溶け合わせてみせた、Maverick Mom。彼らにとって2025年は、そのカオスポップな音楽性が、国内外でひとつの評価を得た年となった。
春頃には、国内のInstagramがきっかけで「儚夏」が話題に。その反響を受けて、夏頃に「ジーニアス」を投下すると、今度は海外にも火がついた。最近ではSNSのみならず、ライブ会場にも海外からのファンが駆け付けているという。
いったいメンバーは、この1年をどのような気持ちで受け止めているのだろうか――。いつだって素直で、謙虚で、真剣な4人に、胸のうちをありのままに語ってもらった。(坂井彩花)
数字も感覚も更新された一年、制作現場と“バズ”のリアルな手応え
――Maverick Momにとって、2025年はどのような年でしたか。
ON:間違いなく大飛躍の年ではあったと思います。やっぱりSNSの数字が、一昨年と比べると何倍にもなっているので。
中野武瑠(以下、中野):数字が出てるっていうのは、SNSもそうですし、ライブ動員も。全部が右肩上がりだったのが、よかったですね。
南出大史(以下、南出):ありがたいことに、自分たちの予期せぬところから入ってくる新しいイベントやいいニュースがすごく増えて。その一つひとつに夢中になっていたら、気づいたときには年末のワンマンライブだったというか。一昨年以上に、時間が経つのが早く感じました。
タイゾー:いい意味で忙しい1年だったんじゃないかな。一昨年以上にいろんな番組に出たり、東京や滋賀などいろんなところでレコーディングしたりして。
南出:僕らより大人の人たちがよくいう「年を取ると、時間が経つのが早く感じる」を、嬉しい形で経験できつつあるので。それを年々更新していければいいなと思います。

――2025年のリリースは、EP『COMPASS』の後だと「ジーニアス」と「徒花」のみでしたが、水面下ではたくさんレコーディングが進んでいたということですか。
南出:そうですね。ずっと金沢でレコーディングしていたんですけど、最近はディレクターさんが紹介してくれた、滋賀県にあるスタジオをお借りしていて。
タイゾー:楽器屋さんのなかに、録音機材とかが置いてあるんだよね。そこに泊まりこんで、曲の細かいところを詰めたりしました。
南出:結成当初は出来上がったデモを各々で詰めてきて、いきなり本番に入ることが多かったんですが、最近では楽曲が出来た瞬間にプリプロすることが増えてきたんです。
タイゾー:データのやり取りを中心とした制作から、実際に作曲者たちの意見を聞きながら作っていくスタイルに変わりました。
南出:生まれた熱を保ったまま歌えるようになったのは、僕としてすごく変化が大きかったですね。それに、プリプロでドラムやベース、ギターを入れていくのを見ながら「しっかりと詰めて作業をするって大事なんだな」って思いました。本当に今更ですけど(笑)。
――レコーディングの環境やスタイルが変わったことで、楽曲の精度も変化したと感じますか。
中野:たぶん変わっていると思いますね。スタジオの藤岡さんはギターテックでもあるので、ギターのサウンドも見てくれていて。去年からKOMAKIさんも、ドラムテックで入ってくれていますし、EP『unknown』の時と比べると自分たちが思った形で音が出せるようになりました。
ON:理想の音が作れるようになったよね。テックにふたりがいるおかげで、いろんな音を出せるようになったし、頭の中では鳴ってるけど自分では再現できなかった音を作れるようになったので。
タイゾー:選択肢が増えた、みたいなね。
ON:いろんなサウンドを作れるようになったことで、曲のバリエーションも増えていったというのはあると思います。
――結果的に、TikTokで2曲もバズりましたもんね。「儚夏」と「ジーニアス」は、リリース前から跳ねる予感がありましたか。
@maverick_mom “Mouka” - We wrote a song about the fleeting moment of summer. #jpop #newmusic #viral #fyp#foryou#foryoupage #music #singer邦ロック #オリジナル曲 #バンド #バズ#邦ロック ♬ 儚夏(イントロver.) - Maverick Mom
南出:正直なところ、僕らは「青く、春」が行くと思っていたんです。ONがポップスをたくさん聴いたうえで、自分たち色に昇華したような曲だったから。
タイゾー:わかりやすいしね。
南出:なので、『COMPASS』のリード曲も「青く、春」にしたんですよね。でも、ディレクターさんやチームの人たちは、最初から「『儚夏』でいきたい」って言ってて。実際に蓋を開けてみたら、「儚夏」のほうが反応よくて嬉しい悲鳴でした。
中野:「儚夏」はあれやろ? TikTokでバズらせるために作ったんやろ?
ON:意外とそんなこともなくて(笑)。俺はそんなにバズらないと思ったから「リードではないな」って思ったんですよ。『COMPASS』はポップスを突き詰めた作品であるものの、「儚夏」は2024年9月くらいからあった曲。その頃の僕は別にポップスを聴いていなかったし、実をいうと「儚夏」はよくわからない感じで出来たんです。だから、あまり自信がなかったんですよね。でも、予想外にポーンと跳ねた。『COMPASS』リリース前に「儚夏」を上げた時は、tuki.ちゃんが再投稿してくれたこともあって、日本でポッってバズって。それを受けて「こういうメロディアスで複雑な曲がいいのかな」と思って「ジーニアス」を作ったら、急に海外でドッって火がついたんですよね。そこから「ジーニアス」を上げ続けていて、久しぶりに「儚夏」を上げてみたら、今度は「儚夏」が海外で見つかって。1年間でバズの爆発が2回あったんです。「ジーニアス」を出したのがいつだっけ?
南出:7月23日くらいだね。ちゃんと夏に、夏の曲がバズったみたいな。
――海外でのバズが起きる予感はありましたか。
全員:びっくりです!
中野:微塵も思っていなかったので。
タイゾー:ある日突然、コメント欄が英語で埋まっていたんですよ。ぶわーって。
南出:DMもね。
ON:今も変わらず、日本よりも海外からのコメントが多くて。InstagramやTikTokはアメリカや南アメリカ、YouTubeは韓国って感じになっています。
――どんなコメントが届きましたか。
ON:「アニソンっぽい」って。
タイゾー:「なんのアニメだい?」みたいなね。
南出:勝手に答えとる人もおったもんね。「このアニメの主題歌じゃなかった?」って(笑)。海外にも広まったおかげで、日本旅行のプランに僕らのライブを入れてくれる方もいたんですよ。
タイゾー:東京にも金沢にも来てくれたよね。
南出:個人的には、世界陸上の棒高跳びで銀メダルを取ったギリシャの選手が、僕らの音源を使って投稿してくれたことに、すごく興奮しました。それだけじゃなく、UFCっていう総合格闘技のメジャー団体にいるデメトリアス・ジョンソンっていう僕の大好きな選手が、Maverick Momの動画をいくつか“いいね”してくれたりもして。「海外まで届いてる!」と思って、すごく感動しましたね。
――2曲のバズを通して、SNSでヒットするための秘策は見つかりましたか。
ON:人それぞれというか、アカウントで全然違いますよね。例をあげると、「青く、春」は僕の個人アカウントに載せたらめちゃくちゃバズったけど、Maverick Momのアカウントに載せたらバズらなかった。アカウントでの特性もけっこうあるっぽいなって。冒頭の何秒はどうこうとか、画質はどうとか、細かいところはいっぱいありますけどね(笑)。一方で、「儚夏」は何を上げても伸びるので、曲の力はすごくあると感じています。
南出:最後まで残しておく強さが、初めて聴いた時から「儚夏」にはあったもんね。歌っていても、頭にすごく残るし。僕らの楽曲って、客観的に見て難しくて歌いづらいけど、同時に「難しいけど歌いたくなるメロディだな」って感じています。
@on.music29 「青く、春」という曲です。#20歳 #オリジナル曲 #バンド #邦ロック #バズれ @Maverick Mom メイブリックマム ♬ オリジナル楽曲 - on.special - ON
――Da-iCEの「CITRUS」やバルーンの「シャルル」みたいなことですよね。
南出:そうですね。そういった曲と同じようなエネルギーが「儚夏」にはある。ちなみに僕は、難しいメロディーを課されているおかげで、この1年間で歌のキーが3つくらいあがりました(笑)。限界突破っていうんですかね。定期的にしている音域チェックを久しぶりにしてみたら、ぶわーってあがってて。ボイトレの先生も、すごくびっくりされていました。
中野:「これ無理かな」って思った曲を歌えたりするから、そういうところで「キーが上がったな」って感じるよね。昔は裏声だったところを、地声で歌えるようになっていたりもするし。



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