TOMOO「ソナーレ」は『違国日記』と呼応し“孤独”を包み込むーー表現者として次章へ踏み出した現在地

TOMOO「ソナーレ」が紡ぐあたたかさ

 2025年、シンガーソングライターのTOMOOはアーティストとして大きな節目を迎えた。5月に開催された日本武道館での初ワンマンライブを起点に、11月には2ndアルバム『DEAR MYSTERIES』をリリース。そして自身最大規模ツアー『TOMOO HALL TOUR 2025-2026 “DEAR MYSTERIES”』の最中に届けられたのが、新曲「ソナーレ」だ。本稿では、2026年1月より放送のTVアニメ『違国日記』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマに起用された本楽曲を深掘りしつつ、2025年のTOMOOの歩みを振り返り、2026年に向けた展望を綴ってみたい。

「ソナーレ」が紡ぐ“誰かと生きること”のあたたかさ

 「ソナーレ」というタイトルはイタリア語で“奏でる”、“鳴り響く”を意味する。その名の通り、曲全体に物語と心情が共鳴し合う響きが宿っている。ヤマシタトモコによる原作漫画『違国日記』は、人見知りな女性小説家・高代槙生と、両親を事故で亡くした姪・田汲朝が一つ屋根の下で共同生活を始める物語。繊細な心理描写と淡い情感の揺らぎが魅力の人気作で、アニメ第1話も原作の持つ“淡さ”を丁寧に再現している。

 TOMOOは公式コメントの中で、この物語の人々の言葉や眼差しから静かで深いインパクトを受けたと語っており、長年親しんできた原作への深い共感を滲ませている。さらに、「風でノートのページが捲られ、過去へ、未来へひらかれていくようなメロディが聴こえて、「ソナーレ」という曲を書きました。この物語と共に響くことができたら幸いです」(※1)とも綴り、原作『違国日記』から得た感動を、自身の音楽表現として丁寧に昇華させたことを示している。

TVアニメ『違国日記』ノンクレジットオープニング映像|TOMOO「ソナーレ」

 楽曲は、流麗なピアノのイントロから静かに幕を開ける。リバーブを抑えたTOMOOの歌声は、耳元でそっと語りかけるように響き、楽曲全体に繊細な親密さを宿す。アレンジを手がけたのは、今や“盟友”とも言える小西遼(CRCK/LCKS/象眠舎)。TOMOOの奏でるピアノを主軸に、ハープやホルン、ストリングス、ハンドクラップが織り重なり合い、あたたかなアンサンブルを形成する。その響きは楽曲が進むにつれ、じわじわと熱を帯びて広がっていく。

 歌詞には、ふと“孤独”に気づいた姪・朝の不安や、“違国の住人”にその名を呼ばれることで新たな一歩を踏み出す姿など、第1話の情景が丁寧に映し出されている。〈世界がほどける音がかけてくる かけてくる 朝がくる〉と歌うサビでは、閉ざされていた心の世界が音とともに静かにほどけ、新しい朝が訪れる風景がまざまざと浮かび上がるようだ。中でも、TOMOOの温かなアルトボイスと、全編にわたって鳴り続けるピアノのアルペジオは、まるで木漏れ日のように優しく差し込み、聴く者の胸にそっと明かりを灯す。夜明けの空気をそのまま封じ込めたかのようなこの楽曲は、物語と静かに呼応しながら、誰かと生きることのかけがえのなさを、穏やかに伝えてくれるのだ。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる