GANG PARADE、終わりへ向かう日々に今何を思う? 10年間の嘘偽りのない感謝と『KIMI☆NO☆OKAGE』を語る

GANG PARADEが小文字の“i”を使わない理由、〈いかないで〉と歌う意味

月ノウサギ

――そういう紆余曲折を経て迎えた10周年イヤーへの想いが伝わってくるのが、新曲「KIMI☆NO☆OKAGE」です。リリースは、Zepp Shinjukuでの解散発表の翌日ということになりますね(取材実施は11月下旬)。

月ノ:はい。解散発表に合わせてこの曲を発表するというのは、前々から聞いていて。そういう意味も含めて、草野華余子さんと渡辺さんが作ってくださいました。解散というものに向き合いながら歌詞を噛み砕くなかで、いろいろ考えましたね。渡辺さんはメンバーに対して思っていること、グループの現状について思っていること、あるいは世のなかに対して思っていることを歌詞にすることが多いんですけど、この歌詞はそういうものではないと思うんですよ。「誰に対して書いたんだろう?」と考えた時に、遊び人がGANG PARADEに思う気持ちなのかもと思って。それがいちばんしっくりきました。メンバーに当てはまる言葉もあるんですけど、「この機会に渡辺さんが遊び人に寄り添ってくれたのかな」って。それがすごく嬉しかったです。

――ギャンパレから遊び人への気持ちとしてとらえるとしっくりくるという結論に、いろいろ考えた末にたどり着いたんですね。

月ノ:〈ずっとずっとずっとそばに〉も、最初は「もうずっとはそばにいられないから、解散を発表するこのタイミングでこの言葉を言うんだな」と思ったんです。でも、これはきっと遊び人がGANG PARADEに対して願う気持ちなのかも、と。ずっとそばにいたい気持ちは、私たちにとっても嘘偽りのない気持ちですし、遊び人もそう思ってくれるんだろうなと思っています。遊び人の顔をたくさん観ながら歌いたいですね。

GANG PARADE「KIMI☆NO☆OKAGE」Music Video

――ナルハさんは、この曲をどのように感じていますか?

ナルハ:私は「遊び人のおかげです」と伝える曲のように感じています。遊び人のおかげでできたことがたくさんあったし、「ギャンパレであり続けよう」と思えたのも遊び人のおかげなので。「ありがとう」の気持ちを歌に込めて伝えたいなと思っています。

――ナスさんは、どうですか。

アイナスター:熱量を持って応援してくれていた人ほど、いい思い出ばかりでもなかったとも思うんです。メンバーがやめてしまって寂しかった時もあったはずなので。好きでいてくれたからこそ、悲しかったこと、寂しかったこととかも全部抱きしめて、「全部が愛しいものだよね」というのがこの曲には詰まっていると思っています。〈でもいつまでも好きなのは本当なんだ/ほら 脳みそ見せてあげる〉というフレーズが私は好きで、こういうことを本当に思うんですよ。遊び人に対して思っている感情を明確に言い表せる言葉なんて正直なところなくて、言葉以上のものがあるから、頭をパカッと開けて「こんぐらい好きなんだよ!」って伝えたい(笑)。でも、そういうことができるのがライブでもあって。言葉なんてなくても通じ合えるのが遊び場(ライブ)だと思いますし、一つひとつのフレーズに心を覗かれるみたいな照れくささもある曲ですね。

――ユアさんは、いかがですか?

ユア:草野さんに書いていただいたこれまでの2曲(「グッドラック・マイフューチャー」と「Doubters」)のかっこいい感じとは違った雰囲気を、デモを聴いた時に感じました。明るい雰囲気ですよね。

――草野さん、ギャンパレを好きでいてくれていますよね。札幌のライブにきてくださったこともあったじゃないですか。

ユア:東京のライブには、予定が合う時にいつもきてくださるんです。11人の個性を理解するためにたくさんコミュニケーションを取ってくださるから、草野さんとの絆がどんどん深まっていて、それがこの曲に繋がっている気がします。サビはふたりずつで歌っていくんですけど、この感じは珍しいですよね。「シグナル」とかもふたりで歌ってはいましたけど、ここまでふたり組で連鎖していくのはなかったので、パフォーマンスも新しい雰囲気になると思います。今、マイカが一生懸命考えてくれています。

――ココさんは、この曲にどんな想いがありますか?

ココ:渡辺さんは『GANG RISE』で「無理無理きもい」を書いてくださったんですけど、表題曲の歌詞を書いていただくのは久々で。そう思って歌詞を見た時、10年間の想いが流れてくるようでしたね。随所にGANG PARADEの「LAST」の歌詞のフレーズが入っているし、〈いかないで〉って言葉もあるんですよね。WACKの曲には〈いかなくちゃ〉というワードがよく出てきますけど、〈いかないで〉なので「おおーっ!」と思って。

――ギャンパレで〈いかなくちゃ〉って歌っている曲は、ありましたっけ?

ココ:「Are you kidding?」で 〈行かなくちゃ〉はありましたけど、渡辺さんの作詞ではなかったと思います。うちらの曲は、小文字の“i”も使わないんですよ。渡辺さんのなかで“カミヤサキが作ったグループ”というところでの線引きがあるのを、私は勝手に昔からなんとなく感じてはいたんですけど、「ここのタイミングできたか」と思いました。「どういう気持ちで誰に向けて歌うのか?」と問われたら、もちろん何よりも遊び人に向けてなんですけど――月ノも言っていた通り、渡辺さんの歌詞は、私たちに向けて書いているところもある気がしていて。だから、私もこのメッセージを届ける相手についてすごく考えました。遊び人から私たちに対してというのもあるし、渡辺さんから私たちへのメッセージにも感じたし、自分が渡辺さんに対して思っていたことも含まれているし、いろんな方向に向けてこの10年のことが当てはまった感じがしています。いろんな気持ちで聴いていただけると思いますし、すごくいい歌ですよね。

ナルハワールド

――初披露は12月16日のZepp Shinjukuでのライブ?

ココ:はい。「ラビバアソビバ!!」もZepp Shinjukuで初披露です。

――「ラビバアソビバ!!」の作詞は9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎さん、作曲は滝 善充さん。クレジットを見なくても、聴けば「9mmだ!」ってなる要素が満載ですね。

月ノ:イントロから「9mmさん!」という感じですからね。

ユア:対バンさせていただいたり、ご縁もあったんですけど、まさか曲を書いていただけるとは思ってもみなかったです。デモをいただいた時、すごく嬉しかったです。早く友だちに言いたいです(笑)。

――9mmのおふたりは、この曲についてどのようにおっしゃっていましたか?

月ノ:卓郎さんと滝さんがレコーディングでディレクションもしてくださって、その時にお話をさせていただいたんですけど、ギャンパレのたくさんの曲があるなかで、“アソビバ”というワードを使ったタイトルがないと気づいて、それで作ってくださったということをおっしゃっていました。ギャンパレのことをたくさん調べてくださったんですよ。

GANG PARADE「ラビバアソビバ!!」Behind The Scenes feat. 9mm Parabellum Bullet

――アルバム『GANG RISE』がまさにそうでしたが、10年の活動は音楽を通じてたくさんのクリエイター、ミュージシャンと繋がり合えた日々でもありましたよね。

月ノ:そうですね。『GANG RISE』の時も思いましたけど、曲を作ってくださったみなさんのパワーをいただいているというか。どの曲もものすごい力を持っていて、そこに私たちがGANG PARADEらしさを足すことで最大限にかっこよくお届けできたらいいなと、曲をいただくたびに感じていました。

ユア:「ラビバアソビバ!!」も、そういう曲にしたいです。みんなで歌いたいですね! 9mmのおふたりも「遊び人に歌ってほしい」とおっしゃっていました。

ナルハ:かっこよさのなかに遊び心もある曲なんですよね。ライブで遊び人と楽しめる曲になりそうだなと思っています。〈ラ‼ビバ‼アソビバ‼〉って一緒に叫びたいです。

ユア:この部分、レコーディングではみんなはどんな感じで録ったの? こういうのはメンバーによって違うじゃん。

ナルハ:私は、全然叫んでないです(笑)。普通に録りました。

ユア:メンバー全員が叫ぶと大変なことになっちゃうからね(笑)。こういうまっすぐな娘もいるからいいんです。

アイナスター:レコーディングの時、私はめっちゃ緊張していたんですけど、卓郎さんと滝さんにとても優しくしていただきました。初日の最初が私とココで、ココのあとに私が録ったんですけど、スタジオに着いたら「おはよー!」と卓郎さんが優しく出迎えてくださって、滝さんもユーモアにあふれた方でした。ライブではあんなにかっこいいのに、普段は優しいんですよ。

――この曲、生バンドで歌ったら、最高にかっこいいと思います。

ユア:いつかやりたいです!

月ノ:超わがままな願望ですけど、いつか9mmさんにセルフカバーをしていただきたいとか思ったりもしています(笑)。そういえば、ギャンパレのセトリを見た人が「疑似フェスやってるみたい。めっちゃ豪華!」って言っているのをX(旧Twitter)で見かけたことがあるんですよ。たくさんのバンド、アーティストのみなさんに提供していただいた曲が並んでいますからね。「ラビバアソビバ!!」も、そう感じていただける曲だと思います。

ココ:『GANG RISE』の収録曲は、提供してくださった方々を知らない状態で聴くと、「WANIMAっぽくない?」「めっちゃthe telephonesっぽい!」というふうに感じるみたいなんです。バンドが好きな方々にもギャンパレを聴いていただきたいですね。解散するけれど、こういうきっかけを通じてGANG PARADEの音楽がひとつでも広がっていったら嬉しいです。

アイナスター

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