KID PHENOMENONが追求し続ける“新しさ” バラエティ豊かな構成で7人の魅力を届けたファンミーティングレポ

7人組ダンスボーカルグループ KID PHENOMENONは、メンバー全員がマイクを持ってステージ上で躍動する。グループ名は、「世の中に新しい現象を起こして欲しい」という思いから名付けられた。彼らのライブは瑞々しい現象のようでありながら、スタイリッシュなステージングで観る者を圧倒する。開催中の全国ツアー『KID PHENOMENON LIVE & FAN MEETING TOUR 2025 〜D7SCOVER〜』(以下、『D7SCOVER』)追加公演から、ステラボールで行われた東京公演をレポートする。
7人全員でマイクを持つからこその活気
2023年デビュー当時、平均年齢17歳だったKID PHENOMENONメンバーだが、現在は平均年齢19歳になった。グループの歴史を着実に更新する中、今回の『D7SCOVER』はファンクラブを対象にしたツアーということもあり、ファンとの近い距離を大切にしている。客席のどの位置にいてもステージにかぶりつきで楽しめる。そのため会場全体が温まるのは早かった。

1曲目「Unstoppable」は、グループ史上最高の売上を記録した4thシングルのタイトル曲で、メンバーそれぞれの表現力が自然と活気付く。ステージ中央に凝縮されたアクトからは、山本光汰と遠藤翼空のツインボーカルの歌声が伸びやかにふるえ、耳をくすぐる。続く「存在証明」では、ツインボーカルとラップの掛け合いを堪能できる。トラックタイトルが象徴するように、序盤からメンバー7人全員がマイクを持つこのグループの魅力が一気呵成に華やぐ。

3曲目「Cinderella」ではトラック自体の疾走感に身を任せたくなる。はつらつとして瑞々しくもスタイリッシュ。ストレートだがエッジーでもある怒涛の勢い。グループ名に込められた「世の中に新しい現象を起こして欲しい」という願いをサウンドとしてもはっきり具体化した一曲だ。R&Bナンバー「Purple Dawn」は、歌物としての聞き応えをしっかりおさえながら、ビートに合わせて躍動するパフォーマーのフィジカルな表現が視覚的にも楽しめる。
EXILEの名曲を披露 「PERFECT YEAR 」への意気込みも
序盤からバラエティ豊かな音楽構成だが、MCコーナーでも彼らのバラエティ力は発揮される。リーダー・夫松健介の圧倒的なトークスキルが炸裂しながら、メンバーそれぞれのパーソナルな部分も垣間見え、SPINEL KIDS(KID PHENOMENONのファンネーム)の笑顔も溢れる。グループにとってもファンにとっても「新たな魅力を発見」することを目的にしている『D7SCOVER』は、アーティストとファンとのコールアンドレスポンスも含めて、KID PHENOMENONのステージングの大きな魅力だと示している。

MC後の5曲目「Black Flame」は今年12月3日にドロップされたばかりのシングルで、フルコーラスで披露された。彼らの表現力のさらなる可能性を広げるビート感をベースとして、〈I’m bout to kill my fears〉と歌うサビのフレーズにはループミュージック的中毒性があり、ツインボーカルとパフォーマーの一体感を感じる一曲でもある。縦型ショートドラマ『ときめき図鑑』での出演も話題になったパフォーマー・川口蒼真が「俺たちと一緒に右左できますか?」と客席に問いかけた9曲目「Snakebite」は、フレーズの語尾まで丁寧にビブラートをふるわせる遠藤と山本の高音がご機嫌なダンスナンバー。川口が予告した〈右左 右左〉のフレーズは一聴しただけで楽しい。そして踊っても楽しい。これまたクセになる。レトロな色合いがキャッチーなMVにも「新たな魅力」を追及するこだわりを感じる。

ライブは、10曲目のロック調ナンバー「Lemonade」から後半戦に突入した。メジャーデビュー曲「Wheelie」からグループ初の夏曲「Sparkle Summer」へとシームレスに流れる展開力は圧巻。お楽しみ尽くしのファンミーティングパート後、LDHの動画配信サービスであるCL内のKEY MUSICに出演した山本と遠藤がツインボーカルだけでスポットライトに照らされ、EXILEの名曲「O’ver」をしめやかに歌い上げた。

KID PHENOMENONは2026年に、「LDH PERFECT YEAR 2026」に初めて参加する。EXPG STUDIO在学時代にサポートダンサーとして参加していた夫松はMCで「感慨深い」と語った。2023年に開催されたLDH史上最大規模のオーディション『iCON Z〜Dreams For Children〜』からデビューしたNEO EXILE世代として“新たな魅力”を追及するKID PHENOMENONのグループ力を存分に体感できる公演だった。


























