Sound Horizon、20年の物語音楽が交差する映像体験 唯一無二の世界を示す『Revo’s Halloween Party 2024』

Sound Horizon 物語音楽が交差する映像体験

息つく暇もない情報量の嵐、声と光が紡ぐ没入の物語空間

 神々しいまばゆい光に包まれた「神の御業」(2017年)からは『進撃の巨人』の世界へ。勇敢に歌声を響かせるkawamikotoの「暁の鎮魂歌」(2018年)、『ハロウィンと朝の物語』では皐月を演じた山崎が「私が本当に欲しかったモノ」(2024年)へ。そして、石川由依の歌う「13の冬」(2019年)へと続いた。両腕に赤子の亡骸を抱えた灰野が歌う「ゆりかご」(2002年)は、『ハロウィンと朝の物語』セクションで演じた若女将とは違った趣を見せる。石川由依と山崎杏による「忘レモノハ在リマセンカ…」の語りの破壊力が凄まじい。

 オーディエンス一人ひとりが照らす光が創り出した「※《君が相応しいと想う題名》」(2019年)の幽玄な景色は、演者とともに観客もライブを創り上げていくSound HorizonやLinked Horizonらしい一幕。すずかけ児童合唱団による清らかなハーモニーに呼応するように、無数の眩い光が美しく揺れ動く。

 南里侑香がGUNSLINGER GIRL Image Album 『poca felicità』収録曲「Lui si chiama…」(2005年)で麗しい声を響かせ、Joelleが窓越しの月を背に「忘れな月夜」(2015年)を悲しさ、強さを秘めながら歌い、アコースティックな響きの中でCeuiが「美しきもの」(2006年)を優美に表現する。女性ボーカルの美しいセクションのあとは、皆がスコップ片手にファニーに踊る「人生は入れ子人形 -Матрёшка-」(2008年)と、楽しく愉快なミュージカル展開へ。かと思えば、『絵馬に願ひを!』の石長姫子(井坂泉月)×八島知美(ピコ)が繰り広げる怒涛の展開、「君私の心に一番近い指」(2023年)に突入する。ラストの「朝までハロウィン」(2013年)で大団円を迎えるまで、息つく暇もない情報量の嵐である。細かくチャプター分けがされていないのも、流れを含めた作品のこだわりを感じる部分だ。

 現地でライブを体験した者はもちろんのこと、これからSound Horizonに触れようとする者にとっても最適な映像作品だ。Sound Horizonの多彩すぎる楽曲と愉しい演出、Revoの類稀なるアーティスト性とプロデュース力、そこから生み出される徹底的な世界観構築による20年分の物語音楽が、ここにある。

『Revo’s Halloween Party 2024』
『Revo’s Halloween Party 2024』

■リリース情報
『Revo’s Halloween Party 2024』Blu-ray
2025年10月31日(金)リリース

【通常盤】
価格:16,500円(税込)

<商品内容>
・1 Blu-ray Disc Only

<収録曲>(順不同)
・物語
・小生の地獄
・あずさ55号
・《光冠状感染症狂詩曲》
・あの日の決断が奔る道
・皐月の箱庭
・Halloween ジャパネスク ’24
・約束の夜
・朝までハロウィン
・暁の鎮魂歌
・黄昏の賢者
・人生は入れ子人形 -Матрёшка-
・※《君が相応しいと想う題名》
・ゆりかご
・君私の心に一番近い指
・StarDust
・彼女が魔女になった理由
・愛の放浪者[Vocalized Version]
・聖なる詩人の島 -Λεσβος-
・神の御業
・美しきもの
・忘れな月夜
・13の冬
・Lui si chiama…
・Ark
・私が本当に欲しかったモノ

■関連リンク
Sound Horizon公式サイト:https://www.soundhorizon.com/

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