Sound Horizon、20年の物語音楽が交差する映像体験 唯一無二の世界を示す『Revo’s Halloween Party 2024』

『Revo’s Halloween Party 2024』がついにBlu-rayとしてリリースされた。2024年11月23日、24日の2日間にわたり、神奈川・ぴあアリーナMMで開催されたライブの、およそ1年越しとなる待望の映像作品化である。
2025年3月には、Sound Horizonのメジャーデビュー20周年記念作品として、『ハロウィンと朝の物語』がリリース。“Beyond Story Maxi”という独自の形態を銘打ったこの作品に収録されている全8曲は、パッケージでのリリースに先立って『Revo’s Halloween Party 2024』で披露されていたものだ。言わずもがな、“物語音楽”を掲げるSound Horizonの、音楽だけにとどまらない情報量の多さは途方もない。『Revo’s Halloween Party 2024』のライブを経た『ハロウィンと朝の物語』のリリースの流れ、そして今回『Revo’s Halloween Party 2024』が映像化されたことで、より深くSound Horizonの創り上げた世界観に没入することができ、さまざまな張られた伏線の考察もできるはずだ。
本作は通常盤と完全受注生産の特装盤で展開されているが、本稿では通常盤の見どころをレビューしていきたい。
Sound Horizonメジャーデビュー20周年に再び催された生者も死者も集う祝祭 『Revo’s Halloween Party 2024』1日目
2024年11月23日・24日、横浜・ぴあアリーナMMで、『Revo’s Halloween Party 2024』が開催された…Sound Horizon、20年の年月をかけた物語音楽による人間礼賛 『Revo’s Halloween Party 2024』2日目完全レポ
2024年11月23日・24日、横浜・ぴあアリーナMMで、『Revo’s Halloween Party 2024』が開催された…名曲と豪演が連鎖する怒涛の20年史、映像化で立ち上がる“現実×幻想”
本公演は、冒頭から『ハロウィンと朝の物語』の世界が繰り広げられていく。様々な幻想世界を物語音楽として描いてきたSound Horizonが記念すべき20周年作品の舞台として選んだのは、信州松本の温泉街。そう、この『ハロウィンと朝の物語』は、“現実世界”が舞台なのである。
そのまま「物語」をタイトルとした楽曲を歌う“kawamikoto”が、“物語音楽”に対して自問自答しているようにも思えてくる。続く「小生の地獄」は『ハロウィンと朝の物語』のクレジットによれば“kawamikoto”、彼の半生を描いている楽曲だ。この人物はかつてRevoの個人サイトで連載をしていた“革命先生”なのか? という深読みも捗るが、なんといっても臨場感に溢れたダイナミックな演奏が最高だ。
YUKI(Gt.)、西山毅(Gt.)のシュレッドなツインギターが華麗に舞い、精確なドラミングで魅了するKen☆Ken(Dr.)と、長谷川淳(Ba.)のどっしりとしたグルーヴがうねりをあげる。河合英史(Key.)が楽曲に彩りを与え、吉田篤貴 EMO stringsの流麗な弦の響きがバンドサウンドを荘厳に仕立てていく。Sound Horizonらしいシンフォニックメタルの真骨頂をのっけから魅せつけてくる展開で、スペクタルな“物語音楽”は幕を開ける。ライブの空気感をそのままパッケージしつつも、細部まで丁寧にミックスされたサウンドに映像作品としてのこだわりを感じる。
温泉旅館の若女将を演じる灰野優子が歌う「あずさ55号」では、電車の車窓から景色が移り変わっていき、「《光冠状感染症狂詩曲》」の情熱的なラテンのリズムのバックに流れるビジョン映像……といったライブ当日の舞台装飾に加えて、映像作品ならではの、加えられたエフェクト処理で新たな世界を切り拓いているのも見どころだ。灰野とkawamikotoのデュエットは、歌声のみならず動きに合わせた映像処理によって、ふたりの歌声とキャラクター性のコントラストがさらに強まって描かれていた。kawamikotoが山崎杏演じる皐月とコミカルなパフォーマンスを見せる「皐月の箱庭」での、kawamikotoの演者としての懐の大きさにも注目だ。続いての「Halloween ジャパネスク ’24」は、映像作品ならではの二次元キャラクターとのファンタジックな融合を果たしている。
「縦糸は紡がれ・・・」——ローラン(Sound Horizonファンの総称の一つ)にはお馴染みの一節で本作品は紡がれていく。「約束の夜」で『ハロウィンと朝の物語』のセクションが締め括られると、勇敢なパフォーマンスで魅せる鈴木結女による「愛の放浪者[Vocalized Version]」(2012年)へ。圧倒的なハンサムオーラに薙ぎ倒される。そして会場全体が黄金色に染まる中、黒沢ともよが〈奴隷ではないわ〉〈道具ではない〉と歌う「聖なる詩人の島 -Λεσβος-」(2008年)、炎に包まれながらMIKIが熱唱する「彼女が魔女になった理由」(2010年)と続き、シルクハット姿のJIMANGがステッキを振り回し「黄昏の賢者」(2006年)で〈幸福の最大公約数を求めてみようか?〉と問いかける。さらに、栗林みなみが“少女の声色で囁く”「Ark」(2005年)、満天の星空の下、まさかの“鮮やかな真紅(Scarlet)”を纏ったピコが美声で無双する「StarDust」(2005年)など、Sound Horizonの名曲をあのアーティストが!? という、Sound Horizonの20年を凝縮した情景が目まぐるしく展開されていく。

























