TOMORROW X TOGETHERが“約束”の意味を探す旅 5大ドームツアー『ACT : TOMORROW』開幕――埼玉公演レポ

今年8月より、自身4度目のワールドツアーを開催中のTOMORROW X TOGETHER。その日本公演にあたる初の5大ドームツアー『TOMORROW X TOGETHER WORLD TOUR <ACT : TOMORROW> IN JAPAN』が、11月15日、16日に埼玉・ベルーナドームにて開幕した。
11月16日、17時の開演を前にしてすっかり日が落ちた会場を、MOA(ファンの呼称)が掲げる無数のペンライトが幻想的に彩っていた。オープニング映像を経た1曲目「LO$ER=LO♡ER」が流れ出すなか、メンバーが立っていたのはステージ左右から現れたトロッコの上だった。てっきりメインステージから登場するかと思いきや、なんともサプライズ好きな彼ららしい。

ツアータイトルの『ACT : TOMORROW』には、「約束した明日に向かって一緒に進む」という意味が込められている。トラックを模したトロッコはゆっくりとアリーナを一周していき、途中で楽曲は「きっとずっと (Kitto Zutto)」へと移っていく。〈約束するよ どんな時も きっとずっと すぐそばにいるよ〉――そのフレーズと、冒頭から会場一人ひとりのMOAに笑顔を見せる5人の姿は、自分たちがどんな時もMOAのすぐそばにいること、ツアータイトルの通り、一緒に進むことを伝えているようだった。
一方で、彼らの口から飛び出したのは、「事前に準備していたアンコールをなくします」という衝撃のひとこと。しかし、MOAが自分たちを呼んでくれたら、いつでも戻ってきてずっと一緒にいるという。そんな約束を交わしたのちに披露されたのは、日本3rdアルバム『Starkissed』のタイトル曲「Can’t Stop」。火花の演出もステージを華やかに染め上げ、5人はキレのあるダンスで魅了する。

ブラックの衣装にチェンジすると、「Danger」「Upside Down Kiss」をパフォーマンス。続いてロックテイストの衣装に身を包み、ハードロック調の「Growing Pain」でダンサーとともにアグレッシブに歌い踊る。そこに雷鳴が轟き、一転してしっとりと届けられたのは「ひとりの夜 (Hitori no Yoru)」。階段のセットに座り込みながら、5人は切ない歌声を紡いでいく。その儚い雰囲気をまとったまま「Farewell, Neverland」「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. 幾田りら [Japanese Ver.]」へと続いていき、多彩な表情で楽しませてくれた中盤ブロックだった。
ライブのハイライトは、7月にリリースされた4thフルアルバム『The Star Chapter: TOGETHER』に収録されたソロ曲を届けていくステージだろう。最初に登場したTAEHYUNは、マイクスタンドを操りながら「Bird of Night」を歌い上げる。彼の美しいハイトーンが響き、MOAが掲げるペンライトもキラキラと輝いている。最後にステージが一瞬にして暗くなり、彼はスクリーンに浮かぶ星空のなかへと消えていった。

イントロの演出を公演ごとに変えているというSOOBINのステージ。この日はバッグからネギを取り出し、「寒いからこれ(ブランケット)をかけて、このネギで鍋でも食べようか?」という台詞で幕を開けた。4人のダンサーと一緒に、「Sunday Driver」を軽やかに歌い踊る。最後はギャルピースと爽やかなスマイルを見せて歓声をさらう。

披露曲の「Dance With You」と書かれたレコードをまわす映像から始まった、HUENINGKAIのステージ。椅子を使ったパフォーマンスに、艶っぽい視線、ダンサーと繰り広げられるセクシーなダンスが会場を沸かす。普段の彼とはひと味異なる、クールで大人な魅力が際立つ一幕だった。

YEONJUNは「Ghost Girl」を繊細に歌い上げ、モノクロの映像とともに不思議な世界観を表現。続けて真っ赤なライトに染まったステージで届けられたのは、今月リリースされたばかりの1stソロアルバム『NO LABELS: PART 01』のタイトル曲「Talk To You」。エネルギッシュなパフォーマンスが、会場を大きく盛り上げた。

ソロステージのトリを飾ったのはBEOMGYU。陽だまりのなかで音楽を聴く彼の映像から始まり、「Take My Half」のパフォーマンスへと繋がっていく。メインステージから花道へと歩きながら優しい歌声を響かせ、会場にはあたたかな空気が生まれる。

TOMORROW X TOGETHERがこれまでにリリースしたタイトル曲は、日本と韓国をあわせて19曲に及ぶという。ライブの終盤、スクリーンにはデビュー初期の彼らと、時計の針が巻き戻っていくような映像が。そして、ナポレオンジャケットをまとった5人がステージに登場し、バラードバージョンにアレンジされたデビュー曲の「CROWN」が日本語バージョンで歌われた。そこからジャケットを脱ぎ捨て、最新作『Starkissed』に収録された「Beautiful Strangers [Japanese Ver.]」へ。始まりの楽曲から最新のナンバーへと、2曲を通して彼らの成長が描かれた。

本編ラストに歌われたのは「星の詩 [Japanese Ver.]」。「一緒に!」とメンバーは客席にマイクを向け、MOAのシンガロングも響きわたる。壮大な雰囲気をまとうこの曲は、ドームという広い会場で歌われるのによく似合っていた。
「ひとつの誓い (We'll Never Change)」を歌いながら、5人が戻ってくるのを待つMOAたち。その歌声を耳にした彼らは、ライブ冒頭で交わした約束通り、トロッコに乗って再びMOAのもとへとメンバーが帰ってきた。「永遠に光れ (Everlasting Shine)」、「Magic」を経て、MOAへ向けたファンソング「MOA Diary (Dubaddu Wari Wari) [Japanese Ver.]」が歌われる。〈Here for you/明日も一緒って言葉/Here for you/ここに約束して〉――。約束した明日に向かって一緒に進むことが、曲を通して何度も伝えられていく。

ここでメンバーはステージを去るも、まだMOAの歓声は止まない。「帰れないよ!」と、言葉とは裏腹に嬉しそうな表情を浮かべながら再登場した5人は、「Dear Sputnik」に続き、「Thursday's Child Has Far To Go」をパフォーマンス。運命に向き合いながら前に進むことを歌うこの曲を聴きながら、大切な人が一緒にいれば、人は何が起きるか分からない未来への恐怖を乗り越えられるのかもしれないと、ついそんなことを考えてしまう。TOMORROW X TOGETHERとMOAが寄り添いながら進んでいくことを示すような、明るさと力強さに満ちたクライマックスだった。
「次に会う時はもっとかっこいい姿で、MOAを幸せにします!」というSOOBINの言葉とともに一礼し、今度こそ本当にステージをあとにした5人。ツアーは来年2月まで、愛知・バンテリンドームナゴヤ、福岡・みずほPayPayドーム福岡、東京・東京ドーム、大阪・京セラドーム大阪と続いていく。初の5大ドームツアーを通して、彼らはまた成長を重ねながら、私たちを幸せな気持ちにさせてくれるだろう。TOMORROW X TOGETHERはいつだって、約束を果たしてくれるのだから。


























