矢沢永吉が東京ドームに刻んだロックスターの生き様 ソロ50周年、76歳で伝説を更新した熱狂のステージ

ロックバンド・キャロルでデビューして53年、ソロのロックシンガーとしては50年。76歳2カ月、日本人では最年長を更新した東京ドーム単独公演、『Do It!YAZAWA 2025』2daysの初日となる11月8日。2025年は音楽フェスや授賞式でのパフォーマンスはあったものの、単独ライブはこの日が初。それだけに矢沢ファッションでキメたファン、YAZAWAタオルを掲げて写真を撮るファン……会場前、開演前の熱気は凄まじい。昭和、平成、令和の3元号に東京ドームを実現したのは矢沢が初めて。筆者個人の感想としては2週間前この会場で開催されたOasisの盛り上がりの上をいっている気がした。ソールドアウトとなっているこのライブは、配信プラットフォームで生配信・生中継も行われた。

17時の開演15分前くらいから、会場の各所で「永ちゃんコール」の“声出し”が熱気を帯びていく。開演時間が少し過ぎ、SEが流れて客電が落ちる。ステージの照明と観客の腕時計型のペンライトが眩く光り、炎が上がる。万雷の拍手と歓声の中、濃紺の上下、サングラス姿の矢沢が登場。すぐさまサングラスを外して、代名詞である白のマイクスタンドを傾け、1986年にリリースされた「さまよい」からスタート。オープニングナンバーが終わったところで「ようこそいらっしゃい! 矢沢永吉ソロ50周年の東京ドーム、最後まで一緒にいこうぜ!」と客席に呼びかけ、ジャケットを脱いで気合いを見せる。シンプルながら強い照明が客席を光線のように照りつける中、「テレフォン」「ゴールドラッシュ」「世話がやけるぜ」といった長年のファンを熱くさせる初期の名曲を続けて放つ。


続くMCでは満員の客席を眺めながら、「ばっちり入ってない、これ? うれしいぞ!」と絶叫。今年3月に他界した盟友、NOBODYの木原敏雄が作詞した「世話がやけるぜ」を「木原の傑作と言っても過言ではない」と言及。「もう1曲、木原の曲を紹介します」と、1978年のアルバム『ゴールドラッシュ』からの「さめた肌」へ。客席からは思わず感嘆の声が漏れる。ステージ後ろには稲妻の音と映像が映し出され、スモークがたかれて始まったのが「SOMEBODY’S NIGHT」。華麗にセクシーにこの大ヒット曲を披露した後は、ゴールドとレッドの照明が瞬くなか、キャッチーなナンバー「“カサノバ”と囁いて」へと続いていく。

ここでしばしイメージ映像が流れ、その後アコースティックギターにスポットがあたって始まったのが「ラスト・シーン」。上手から白、下手から黒の、そろいの出立ちの大群が入ってきてステージを横切っていく。2つの軍が交差した後、中央から矢沢が現れてパワフルにステージを左右に移動しながら、熱くこの曲を歌い上げる。そしてグリーンのスポットライトがステージに降り注ぐ中での「共犯者」、間髪売入れずに美しい薔薇の映像が流れて「MARIA」へ。

MCでは2000人規模の会場のツアーから徐々にエンジンをかけ、最終的に大きな会場へと挑んでいくという例年の流れに反して、「今年は東京ドームからスタートして、ビビっている」と笑いを誘う。続いてツアーのリハーサルが始まるとステージのテンションに自分を持っていくためにホテルに滞在するエピソードなどを披露。会場がアットホームな雰囲気になった後は、矢沢が黒いアコースティックギターを持ち、それをかき鳴らす音と歌、ピアノだけで構成された「もうひとりの俺」、終わってすぐギターをおろして態勢を整えて、ハードなナンバー「ワン・ナイト・ショー」へ。炎が上がるステージでスタンドマイクを振り回して熱いパフォーマンスをくりひろげる。曲中のドラムスとギターのかけ合い中にモノクロの柄シャツに着替えた矢沢が再登場。オレンジ色の照明に縁取られたステージでバラードナンバー「古いラブレター」を披露した。























