9mm Parabellum Bullet、一切の死角なし――轟音が鳴り響く極上の楽園 新宿FACEフロアライブ独占レポート!

9mm、新宿FACEフロアライブ独占レポ

 ようやく気温が下がり、秋めいた気候となった10月25日、26日に2日間開催された、9mm Parabellum Bulletのフロアライブ。その名も『新宿FACE、死角なし。』――。タイトル通り新宿FACEで行われたのは、秋めいた気候を真夏の暑さへと逆行させるような、凄まじいライブ。9mm Parabellum Bulletとオーディエンスのエネルギーが混じり合い、熱気が渦となってフロアを包み込む、そんな熱すぎる時間だった。

 霧雨が降りしきる、10月26日。新宿FACEの前ではオーディエンスが列を成している。会場に向かうエレベーターのなかでは、これから我々の眼前で起こる最高の事象について熱く語るオーディエンスの姿。開演前だが、すでに彼らのボルテージは最高潮のようだった。フロアにたどり着くと、すぐにこのイベントのタイトル“死角なし”の意味に気づいた。四方八方をオーディエンスが埋め尽くし、その中心に設けられたライブステージ。まさに死角なし。これから9mmの面々は、どんなライブパフォーマンスを繰り広げるのだろうか、胸の高鳴りを感じながら、開演の時を待つ。

 フロアが暗転すると、歓声とクラップがフロアに響き渡る。フロアの中心へ続々と歩を進める9mm Parabellum Bullet。菅原卓郎(Vo/Gt)はフロアを見渡し、両手を上げて、その声援に応える。「9mmです、こんばんは」と言葉にすると、ついにライブは幕を開けた。フロアに鳴り響く轟音、まるでセッションのように音を奏でる9mmは、そのまま「Fuel On The Fire!!」からライブの口火を切った。心地好さそうに体を揺らすオーディエンスを横目に、彼らは重厚なバンドアンサンブルを轟かせている。「これぞロックバンドのライブだな」と思った、冒頭から凄まじい音圧が耳を刺激するこの感じ、最高である。オーディエンスはそんな熱気に包まれながら自由に腕を上げ、首を振り、声を出す。スタートから疾走感溢れるステージングを魅せる9mm。「パンパンパン」とクラップが決まれば、フロアの一体感はさらに増し、「オイ! オイ!」とオーディエンスが声を上げれば熱気は上昇する。「All We Need Is Summer Day」で巻き起こる〈All we need is summer day〉の大合唱、死角なしのフロアの旨味を理解しすぎている滝 善充(Gt)の豪快に動き回る立ち振る舞いも含めて、一切の死角なし。完璧な立ち上がりだった。

菅原卓郎(Vo/Gt)
菅原卓郎(Vo/Gt)
滝 善充(Gt)(撮影=新倉映見<えみだむ>)
滝 善充(Gt)

 「新宿、すごい空間ですね。昨日も体験したけど、アドレナリンってこんな感じで出るんだなって。みんなはどうですか?」と口を開く菅原。すると大きな歓声がフロアを包む。死角なしのフロアについて、古代ローマのコロッセオに喩えて笑いを取ると、「東西南北で楽しんでよ! 普段はなかなか見られないセトリでやるから。じゃあ、やるか、新宿!」と、「名もなきヒーロー」を投下。さらなる熱を帯びるフロアで自由に動き回りながら、彼らは極上のサウンドを鳴り響かせる。そんなバンドにオーディエンスからの力強いクラップ。最高潮の盛り上がりのなか、間髪を入れず「Cold Edge」へと曲を繋ぐ。この繋ぎ方が鳥肌ものだった。きっと多くのオーディエンスが同じことを感じたのだろう。その証拠にフロアでは大歓声が巻き起こり、四方八方からフロアの中心に大きな声が届く。手を高く突き上げ、9mmに呼応するオーディエンス。地震かと錯覚するほど、フロアは揺れている。それだけ凄まじいライブが眼前で繰り広げられているのだ。熱々のフロアで彼らは次々と曲を投下していく、まるでジェットコースターのようなライブメイク。振り落とされないようにオーディエンスは彼らの音に呼応する。

中村和彦(Ba)(撮影=新倉映見<えみだむ>)
中村和彦(Ba)
かみじょうちひろ(Dr)(撮影=新倉映見<えみだむ>)
かみじょうちひろ(Dr)

 「昨日はアンコールでOasisを歌ったんだけど」と、同じ時に東京ドームで来日公演をしているOasisの「Champagne Supernova」を歌い始める菅原。オーディエンスがそんな菅原に熱い視線を送ると、これまた素晴らしい繋ぎで始まる「Supernova」へ。〈満月の向こうに何を見ていたの?〉と歌い奏でるバンドに贈られるクラップ。眼前に広がる光景を見ていると、音楽の素晴らしさに気づくのだ。9mmが生み出すこの雰囲気は、東京ドームに負けずとも劣らない、彼らの音楽の底力をまざまざと感じるのだった。そんな最高な空間で、勢いを止めることなく、立て続けに曲を投下していく9mm。「Finder」で魅せた滝のセクシーなギタープレイ。ムーディーな照明のなかで暴れ狂う彼の姿はこの日のハイライトのひとつではないだろうか。

9mm Parabellum Bullet(撮影=新倉映見<えみだむ>)

 ライブは中盤戦、菅原はアコースティックギターに持ち替えて口を開く。「アコギでやらないとクールダウンできないんじゃないかと思って。口では『落ち着いて』と言っているけど、みんなは好きなようにリアクションしてください」と「夏が続くから」へと続けた。菅原の言葉とは裏腹に、むしろボルテージはさらに上昇しているように見える。そんなオーディエンスの姿に嬉しそうに音を奏でる。好きに自由に踊るオーディエンスとソリッドなサウンド。続けて「幻の光」では“歌”を聴かせる菅原。多角的に9mm Parabellum Bulletの魅力を我々に魅せつける彼らの死角なしのフロアライブは、すでにエンディングに向けて走り出していた。

 「普段は僕らがステージからライブをぶつけているけど、今日はみんなのほうからリアクションが降ってくる。何年かに一度はこのスタイルでやりたいですね。ありがとうございました!」と感謝を述べる菅原。「あとはやるだけですから! 俺たちのグラディエーターぶりを見せる。なあ、9mmのみんな!」とメンバーに声を掛けると、すかさず四方八方から声が届いた。すると菅原は笑いながら、「違う違う、メンバーに言ったんだけど(笑)。いや、でも今日は全員がフロアにいるもんな! みんなも9mmだ! いけるか! いけるか!」――そう口にし、最高の盛り上がりと熱狂のなか、「踊る星屑」を投下。フロアは再び揺れる。東西南北、自由に動き回りながら轟音を鳴らす9mm。〈命を燃やし尽くせ/終わらない夜の狭間で〉と「インフェルノ」が放たれると、このまま最後まで天井知らずの盛り上がりは続いていった。

9mm Parabellum Bullet(撮影=新倉映見<えみだむ>)

 「叫び -The Freedom You Need-」では、菅原と滝の極上のハーモニーが駆け抜けていく。中村和彦(Ba)のベースは地を這うような低音を鳴らし、かみじょうちひろ(Dr)のドラムは鋭くリスナーの耳と胸を震わせる。もちろん、サポートギターである武田将幸(HERE)のギターもバンドとの相性抜群。さすがは9mm MOBILE名誉会長、阿吽の呼吸で9mm Parabellum Bulletの魅力を増幅させている。

 轟音鳴り響く、新宿FACE。「ありがとう! 最後の曲です!」と奏でられたのは、「(teenage)disaster」。より自由に死角なしのフロアを最大限に使ったパフォーマンス。揺れ続けるフロアを動き回り、極上のバンドアンサンブルを生み出すと、オーディエンスもその熱に呼応して拳を突き上げ、声を上げる。この日いちばんのエネルギーの交歓を終えると、9mm Parabellum Bulletはフロアの中心に集結し、その轟音に終止符を打ったのだった。

9mm Parabellum Bullet(撮影=新倉映見<えみだむ>)

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