CASCADEはマニアックかつポップであり続ける 怒涛のデビュー、初武道館……30年間の紆余曲折と“新しい衝動”

CASCADE、30年の紆余曲折と新しい衝動

想像もできなかったCASCADEの現在地――デビューからの30年を振り返る

――話は変わって、30年前のことは覚えてますか?

全員:覚えてます覚えてます。

HIROSHI:まだビクターが原宿にありましたよね?

――明治神宮前と表参道の中間くらいにあった(原宿)ピアザビルですね。『えびす温泉』で勝ち抜いてからデビューまでどれくらい?

TAMA:けっこう早かった気が。3カ月とかそんなんでした。『VIVA!』(1995年のデビューミニアルバム)は3日くらいで録った。

CASCADE - 30th Anniv. AL『ネブラマクラ』発売記念“えびす温泉”トレーラー

――当時のコンテストってやらせや八百長のイメージもありましたけど、あの番組はガチだったでしょう。

HIROSHI:2回目か3回目に出た後に、まだ西新宿にあったロフトでライブやったときすごいことになった。対バンの人たちがすごいのかと思ったら自分たち(を観にきたお客さん)だった。

――ロフトの外に人があふれてて、どんなスターが来るのかと思ったら自分たちだったと。

MASASHI:入りきれなくてステージの上にもお客さんがいましたからね。

――そしてあっという間にビクターからデビューが決まるなんて、親御さんにしてみれば何やってるのかよくわからないフリーターだった息子がいきなり大企業に就職したみたいなものでしょう。

TAMA:(笑)。うちのオカンとか初めは信じてへんかったもんなぁ。

HIROSHI:うちもそう。岡山だから『えびす温泉』も放送されてない。だから「あんた騙されてんじゃないの?」って(笑)。

MASASHI:そうそうそう。

HIROSHI:何年もしてから倉敷でライブがあったときに親が観に来て、「本当だったんだね」って。それからはお正月の武道館とかも観に来るようになった。

CASCADE ライブ写真

――当時はこの30年後を予想していた?

全員:いや、まったく。

MASASHI:先のことなんて考えられなかったですね。

――売れると思ってました?

MASASHI:いやぁ……アマチュアのときデモテープを作るじゃないですか。本来は販売用だと思うんですけど、そのデモテープを売ることも何することもなく、自分らで聴いて「いいねいいね」って言ってましたからね。

――人に聴かせるのはもったいなかったと言ってたよね。

MASASHI:もったいないっていうか、自分らで聴いて楽しむって感じだったから、それが広がっていくことは想像できてなかったですね。

TAMA:前身バンドでは他にもメンバーがいて、MASASHIもいたんだけど曲作ってるっぽいのに聴かせてくれなかったですからね。聴いたら「チェルシー」とか「Kill Me Stop」とか「しゃかりきマセラー」とか入ってたんですよ。デビューする2年くらい前に。これはもうMASASHIがメインコンポーザーじゃなきゃいけないとそのとき思いましたね。だから「曲作ってえな!」「はよ聴きたいなぁ」とかよく言ってた気がします。

――女の子にキャーキャー言われることにはすぐ慣れた?

MASASHI:どうだったかなぁ……わからないですね。ライブのときはそんなに思わなかったですけど、キャンペーンとかで地方に行ってラジオとか出させてもらうとき、入口でわーって来るじゃないですか。ちょっと怖いなと思ってましたね(苦笑)。

TAMA:僕は単純に嬉しかったですね。こういう言い方はクサいですけど、「あぁ、自分たちのやってることは間違ってないんだな」って思いました。それは今も思ってます。

CASCADE アー写

――初武道館はデビューして3年後の1998年でした。

MASASHI:ですかね。わりと早かったですね。

――直前まで「チケットが全然売れてない」ってスタッフに騙されてたんでしょう?

HIROSHI:言われてた気がする。新聞にも「CASCADE武道館!無謀!」とか書いてあったし(笑)。

MASASHI:でも武道館は意外とお客さんの顔が見えるし、そんな緊張しなかったですね。その後にイベントで(日清)パワーステーション(新宿にあったライブハウス)に出たときのほうがすごい緊張した。武道館の空気感とは全然違うし、周りが全部見えるし。

――50歳過ぎてもバンドやってると思ってた?

MASASHI:いやぁ……。

HIROSHI:僕らが中高生くらいのときって、好きだったバンドは早くて30代中盤、遅くて40代でみんな解散してもう表立って音楽やらなくなったじゃないですか。昔はそれが当たり前だと思ってたから、30代中盤くらいでのんびりしてるんだろうなとは思ってました。だから当時で考えると、今の僕は想像できなかった。だって50歳過ぎてドラム叩いてるんですよ(笑)?

MASASHI:今はみなさんいますからね、60歳過ぎてもできるんだなと思ってますけどね。

TAMA:僕もまったく想像してなかったですね。でも自分で言うのもあれなんですけど、今すごい声が出てるなって。自分は出てるつもり、出てる気がするので、楽しく歌える。

――ボイトレとかしてる?

TAMA:まったくしてないです。朝起きてシャワー浴びるときに喉にもシャワー当てて、あとは……いや本当に基本何にもしてないです。ボイトレも機会があればやりたいですけどね。

――定期的にツアーをやってるのがいいのかな。

TAMA:そうかもしれないですね。

CASCADE ライブ写真

――年2回のツアーを続けてきたからこそアルバムもできたわけですし。

MASASHI:そうですね。はいはい。今回っていうかここ最近ちょっとセッションっぽいこと、アルバムにも入ってない曲をサポートのベーシストを入れた楽器3人でセッションみたいなこともしてるんで、そういうところでまた新しい衝動が出てるのかもしれない。でも今はとにかくいいものができたんでワクワクしてますね。ツアーも突っ走っていきたいです。

――90年代リバイバルの波が来てるという話もありますよね。

MASASHI:ありますね、うんうん。90年代も面白いですけど、今もっと新しいもので面白いものもあるんじゃないかな。リバイバルより新しいもののほうがいいと思いますよ。

◾️リリース情報
CASCADE ニューアルバム『ネブラマクラ』
・配信:https://jvcmusic.lnk.to/CASCADE_NEBULAMACULA
・通常盤(CD)3,300円(税込)
購入:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VICL-66089.html

CASCADE『ネブラマクラ ~30th Anniv. Special Edition~』
・初回限定盤(CD+DVD)6,600円(税込)
購入:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIZL-2466.html

<収録曲>
01. Meta Nova
02. BILLY
03. Midnight Runner
04. 絶叫ノ廻聲
05. ネブラマクラ
06. 0と1の黙示録
07. プレイバック16
08. ヘッチャラッチャ・クラッシュ
All Music & Lyrics by MASASHI
Produced by CASCADE

<初回限定盤DVD>
Special Video Clips 1995-1999
<Studio Live on TV “えびす温泉”>
・Kill Me Stop(1995.6.4 OA)
・いるかな(1995.6.25 OA)
・VIVA NICE TASTE(1995.7.9 OA)
・アナログ少年(1995.7.16 OA)
・家出街ブルース(1995.7.30 OA)
・しゃかりきマセラー(1995.8.6 OA)
・死んだビーチ(1995.8.13 OA)
<Music Video in Victor Years>
・なりきりボニー&クライド(1996.9.21 1st Single)
・OH YEAH BABY(1997.3.21 2nd Single)
・YELLOW YELLOW FIRE(1997.6.21 3rd Single)
・スーパーカー(1997.11.21 4th Single)
・S.O.S ロマンティック(1998.4.22 5th Single)
・FLOWERS OF ROMANCE(1998.8.12 6th Single)
・cuckoo(1998.11.11 7th Single)
・メモリーズ(1999.1.27 8th Single)
・アザヤカナキセキ(1999.2.24 9th Single)

◾️ツアー情報
『CASCADE Debut 30th Anniversary Tour 2025「ネブラマクラ」』
11/1(土)盛岡 club change
11/2(日)仙台Space Zero
11/3(月・祝)水戸SONIC
11/23(日)KOBE BLUEPORT
11/24(月・祝)心斎橋CLAPPER
11/29(土)今池CLUB 3STAR
11/30(日)金沢 vanvan V4
※終了公演は割愛。

CASCADE Official Website

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