「全部が同じように大切」 THE SPELLBOUNDが刻んだ矜持、BOOM BOOM SATELLITESの“音楽は生き続ける”という証明

中野雅之と小林祐介が綴る感謝の言葉、川島道行への思い
そして、本編ラストに「KICK IT OUT」(2006年発表)を披露し終えると、オーディエンスから送られた温かな声援に応じて、中野が感謝のメッセージを届けてくれた。
「こういう素晴らしい時間があれば、僕は寂しさを感じません。現在はTHE SPELLBOUNDというバンドで新しい音楽を育んでいて、そこでの活動もとても大切にしている。自分の中では、どこからどこまでみたいに活動を区切ることはできなくて、全部が同じように大切で、一生懸命に活動したいという気持ちしかない。それをみんなと一緒に、こういう場所で一緒に味わえれば、僕にとっては最高の人生であり、またこの時間が君たち、あなたたちにとっても最高の人生を作る一部になればいいと思ってるので、これからも一緒に歩いていきましょう」


また、小林も「今回のライブに対するプレッシャーが相当なものだった」と、苦笑いを浮かべて続ける。
「でも、これは僕にとって大きな喜び。BBSの曲だけでワンマンをやるのは実は今日が初めてで、それはすごく特別なこと。僕や中野さんだけでなく、Yokoさんや関わるすべてのスタッフとチームにとっても、このショーを開催することに対して思いを持っていて、いろんなタイミングの巡り合わせで、今日ようやく実現しました。僕は、何度も言っていますがBBSの大ファンなので、これまで何回もライブ動画を擦り切れるほど観直してきました。それを観るたびに、新しい発見を与えてくれるのです。この瞬間、パフォーマンスのために細心の準備をして、みんなで呼吸を合わせて、いい演奏をしようとしてる瞬間が窺えたり、一瞬くじけそうになった川島さんが『何くそ』って頑張ってる姿や、無敵だって思えるくらいノリノリになっちゃっている様子とか。今回、そこに自分が関わらせていただいたことは、得がたい財産になったなと思います。また、このライブが僕個人だけでなく、みんなにとっても、世の中にとっても、音楽史においても良いことであってほしい。これからも一緒に良いことを思って、一緒に未来へ歩いていけたら嬉しいです」

小林の熱い思いに、中野は賞賛を贈る。
「僕と川島くんが必死になって作った楽曲を、200%の力で表現してくれる人って、小林くん以外世界に誰もいないと思う。彼はまた、THE NOVEMBERSという大切にしているバンドもあるので、それも応援してください」
会場が真摯な言葉に胸を打たれた状態のまま、彼らはステージを去らずにアンコールへと突入。「LIGHT MY FIRE」(2002年)や、魂を焼け焦がすような熱いギターリフが印象的な「DRESS LIKE AN ANGEL」(2002年)をパフォーマンス。約2時間に及ぶスペシャルなステージは怒涛のようにフィナーレを迎えたのだった。


終演後は、オーディエンスからの熱い声援に何度も感謝の言葉を伝えていた彼ら。「来年は川島くんが亡くなって10年を迎えるから、その時にはもっと大きいパーティを開催する予定」(中野)とのこと。この日も物販フロアではBBSを振り返る写真が数点展示されていたが、きっと来年はより派手に興奮と感動を噛み締められそうな気がする。それまで、BBSが歩いてきた時間を楽しみ愛おしむとともに、THE SPELLBOUNDが創造する未来へワクワクしながら、その瞬間を迎えたい。



























