『VOCAROCK PARTY!』開催記念対談 Vol.2:みきとP×てにをは×伊根、ボカロシーンの今と絆を語り合う!

ロックとライブに懸ける3人の思い
――お互いのいちばん好きな楽曲は何ですか?
てにをは:伊根くんだと「イデアル」という曲ですね。かっこいいし、歌メロがいい。単純に自分にないリズムで、全体的に抑制が効いている感じもある。自分がやろうとすると結局カタルシスを求めがちなので、上下に引っ張られることから逃れられない。でも伊根くん楽曲は、暗いほうを向いていつつ、いい具合にクールさも保てていますよね。みきとさんの曲は、ずっと言ってるんですけど「ガールズインターハイ」っていう曲が好きです。ライブに行った時も伝えたんですけど、ただただシンプルに歌メロが大好きで、聴く度に胸が熱くなる。
みきとP:熱くなるよね、あの曲(笑)。そっか、じゃあライブでもっとやっていこうかな。
――みきとさんはどうですか?
みきとP:伊根くんの曲は、伊根くんを最初に知った「ナイトフォール」が衝撃的でした。「出てきたな」って感じがしましたね。てにさんはVTuberのロボ子さんに書き下ろしていた「リルビ」が好きです。
てにをは:意外! 結構前だよね。
みきとP:あと最近Adoさんに書いた大バラードの「エルフ」もめっちゃよかった。新しい曲がいいってすごいことですよ。あの曲がドラマのCMか何かで流れてきた時は驚きました。
――伊根さんは?
伊根:2人とも僕が聴き手専門だった時期に聴いていたんですけど、てにをはさんで好きな曲は「ブラッドベリ」ですね。
てにをは:渋いね。
伊根:個人的な話で恐縮なんですけど、当時職場で心が折れてしまって、読書に耽っていた時期に「ブラッドベリ」の短編集を読んでいたので、自分の中では大きな出会いでした。何より音がすごい格好よかったのと、ムードが当時の自分の状態に嵌って、曲の醸し出す夜の雰囲気やMVの描写も相まって、印象に強く残っています。みきとさんの曲だと「しゃったーちゃんす」が好きですね。
みきとP:おお!
伊根:公開当時はボカロ自体あまり追っていない時期で、数年後にほかの歌い手さんのアルバムに収録されていた“歌ってみた”で知ったんです。ギターのコード感とか展開があまり聴いたことがない感じで、「なんだこの曲は」って驚いて、聴いていくうちにどんどん嵌って、通勤バスとか運転中に何度もループして聴いていました。2人の曲はどちらも自分の中に抑圧と反発みたいな感情があった時期に聴いていたので、今聴くと当時の自分を思い出しますね。
――てにをはさんは今回の『VOCAROCK PARTY!』が自身の楽曲をライブで披露する初の機会になるんですよね。なぜ出演しようと思ったんですか?
てにをは:僕はあまりにも昔からのファンに恩返ししていないなと思って、リスナーさんへの恩返しと思って出ることに決めました。こういうことって自発的にやろうと思うと、ライブを主軸に置いていない身としては現実のものと思えない場なんですよね。でも、これだけ出てくださいと言ってもらえて、しかもそこには勝手知ったるみきとさんがいて、これで断ったらここまでお膳立てが揃うことは「もうこの先ないじゃん」って思ったんです。
――今までリスナーさんからライブの要望はあったんですか?
てにをは:あったりもしました。けど、いつしか(ライブを)しない人なんだと。古いファンからしたら、この人は小説も書く人だし、「ただ作って出す人なんだ」と思われているんじゃないのかなと思います。
みきとP:てにさんは何をするの? ギター?
てにをは:いやもう割り切って歌を歌います。
みきとP:マジかすげえ! それは楽しみだ。
てにをは:自分はギタリストじゃないし、ボカロ流しながらDJもできない。何もできないから、せめて頑張って歌おうと。
みきとP:伊根くんも歌うの?
伊根:歌おうと思っています。僕はギターを担ごうかなと考えています。未知数ですけど。
――伊根さんも今回が初ライブですよね。なぜ出ようと思ったんですか?
伊根:個人的な理由としてはこの機会を逃したら、リスナーさんの前に出ることなくずるずると進んでいくのかなと思って。人前に出ることは子供の時は好きだったんですけど、大人になったら全然できなくなっちゃったので、その壁を乗り越えてみようかなっていうのが一つあります。共演する人たちも勇気を貰えるような方々なので、「だったら出るしかないな」ということで踏み切りました。
――今回のセットリストはどのように決めましたか? 披露する予定の曲もいくつか教えてください。
みきとP:僕はみんなが知っていそうな有名どころを中心に、ただイベント名が『VOCAROCK PARTY!』という名前なのでロック色の強いもの中心に披露します。たとえば「Who are」は書き下ろしの曲なんですけど、自分でもやってみたいと思って今回やる予定です。「ロキ」みたいな楽曲とは違ったバンド色の強い曲で、4人編成でも成り立つ曲なので、今の活動スタンスとも合っているところがあるので、あまり知名度は高くないんだけど、歌いたいと思っています。
てにをは:僕は新旧織り交ぜて、ちゃんとご挨拶できる代表曲だったり、古くからのリスナーさんが会場に来てくれたら、その人も懐かしんでもらえるような曲だったり、多くない曲数の中で候補を立てて絞りました。その中で「古書屋敷殺人事件」という曲をやるんですけど、これは昔からの人だったら「それをやってくれないと話にならないよ」という曲だと思います。逆にやらなかったら「ああもうあの頃の魂は置いてきちゃったんですね」「アンタ、あの曲にどれだけお世話になってるのよ」ってきっと言われると思うんです。だから蔑ろにできない。当時、小説も趣味で書いていて、せっかくだから新人賞に応募しようと思って書き始めたはいいものの、いつまでたっても書き終わらなくて、「曲にしたほうが早くないか?」と思って作ったのが「古書屋敷殺人事件」なんです。だから小説を曲にした、いわゆるセルフメディアミックスみたいな曲なんです。しかもその小説は世に出ているものじゃなくて、勝手に自分が書きかけてるだけの小説(笑)。そういう変なことをやったんですけど、当時の自分の名刺代わりの曲で、サウンドもロックだし今回にちょうどいいんじゃないかと思います。
伊根:僕は「僕の音楽はこんな感じです」という自己紹介的な楽曲をやります。「リスナーの方に届けたいのはどれか」という視点で選んだのと、あとはギターを弾こうと思っているので「今弾きたいギターの曲」という視点でも選びました。たとえば、活動する前に作っていた「ナイトフォール」という曲は、趣味で個人的に作っていただけの曲で、個人的にはいちばん古い曲なんですけど、ロックなので選びました。古い曲から新曲まで、一連の自分の活動の振り返りみたいなセットリストになっていると思います。
――ライブのどんなところが楽しみですか?
伊根:リスナーさんの顔が見えるところまで出ていくのも初めてなので、それが楽しみです。準備しなきゃ不安は消えないので、当日は楽しむことに集中できるように、たくさん準備しようと思っています。
てにをは:僕は正直、楽しみにしている余裕もなくて、受け入れてもらえるんだろうかというレベルからのスタートですね。そもそもスポットライトを当てられて、どういう風に人から見えるんだろうっていうのも分からない中で、どのくらい動けばいいのか、どのくらい声を張ればいいのか、そういうところがちょっとずつ分かってきた時に、楽しむ余地を発見できるのかなと思うので、楽しみを発見できることを楽しみに、これから準備をちゃんとしておこうと思います。
みきとP:このメンツでライブができるのが楽しみすぎて、最近エフェクターボードばかり弄っているんですよ。どんな音でやろうかなって。そういう意味では、自分も楽しませてもらっている側だと思っているので、こういうイベントに呼んでいただいて感謝していますし、当日は変にかっこつけず一生懸命やれたら、みんなも楽しめるのかなと思うので、何卒よろしくお願いいたします。
『VOCAROCK PARTY!』開催記念対談 Vol.1:キツネリ×Δ、次世代を担うべき存在――シーンに示す新たな挑戦!
『VOCAROCK PARTY!』が10月12日に開催。伊根、小ノ寺 空 / Δ(デルタ)、キツネリ、てにをは、みきとPの5組が…■番組情報
VOCAROCK PARTY生配信ラジオ特番『VOCAROCK LOUNGE』
日程:2025年10月6日(月)19:00〜20:00
出演:伊根/小ノ寺 空 / Δ/キツネリ/てにをは/みきとP
音声配信プラットフォーム「AWAラウンジ」で生配信
https://mf.awa.fm/open_vocarock_1006
■イベント情報
『VOCAROCK PARTY!』
2025年10月12日(日)大手町三井ホール
OPEN 16:00/START 17:00
<出演>
伊根/小ノ寺 空 / Δ/キツネリ/てにをは/みきとP
<チケット>
チケット料金:全席指定/前売 8,000円(税込/ドリンク代別)
※未就学児入場不可
チケット販売:https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=759399



















