LAUSBUB、地元・札幌で見せた“攻め”と“深化” 『ゴールデン・ツアー』ファイナル公演&公演後インタビュー

LAUSBUB、地元で見せた“攻め”と“深化”

 9月27日、札幌・SPIRITUAL LOUNGEにて、テクノポップバンド・LAUSBUBのワンマンツアー『ゴールデン・ツアー』ファイナル公演が行われた。

 今回のツアーは、1年2カ月ぶりの新曲「golden lighter」を携えて行われたもの。大阪、名古屋、東京、そして地元・札幌の全4都市をまわり、各地で確実にオーディエンスを増やしながら駆け抜けた。映像演出には、これまでもLAUSBUBのMVなどを手がけてきたクリエイティブユニット・tsuchifumazuをゲストVJとして迎え、視覚的な仕掛けも強化。彼女たちにとっての“転換点”を強く印象づける内容となった。

LAUSBUB(撮影=Mai Kimura)

幅広い世代が集う満員の会場

 開演前から会場はすでに熱気を帯びていた。この日は学生から社会人、さらに年配のリスナーまで、実に幅広い層が集まり、立錐の余地がないほど。テクノやエレクトロのライブではファンの年齢層が高い印象があったが、LAUSBUBの音楽が持つ“堅実なテクノサウンド”と“ニューウェイブ的なサウンド構成”の両立が、ここまで幅広い客層を呼び込んでいることを実感させる。

 ジングルが鳴り響き二人が姿を現すと、大きな歓声が上がる。オープニングを飾ったのは「Solaris」。冷たい青の照明が妖艶に揺れ、ズシンと重たい低音がフロアを支配する。ボーカル・Meiの透明感ある声は硬質なサウンドに鋭い輪郭を与え、観客は自然と体を揺らし始めた。続く「Dancer in the Snow」は、昨年の『札幌国際芸術祭』公式テーマソング。ドラマチックで緻密な展開で、会場の空気を一気に熱くしていく。

LAUSBUB(撮影=Mai Kimura)

LAUSBUB(撮影=Mai Kimura)

 さらに「Sweet Surprise」の特徴的なシンセリフで観客から歓声が漏れ、「Wind City」の都会的でエモーショナルなサウンドがオーディエンスの胸を揺さぶる。静かに耳を澄ませる者、ゆらゆらと体を揺らす者、それぞれのスタイルで楽しむ姿が印象的だ。

 ライブ序盤のハイライトとなったのが「80+1 Hardy Ones」。ハードコアテクノのビートにギターのカッティングが重なり、ゆったりと横に揺れていた観客が一斉に縦ノリへと転じると、クラブ的な没入感とライブバンド的な熱量を絶妙に織り交ぜる。畳みかける展開でフロアが熱狂に包まれる中、突然の「休憩です!」。予想外の一言に観客から笑いが漏れ、前半30分が終了した。

ステージのセットチェンジとともに後半戦へ

 約10分のインターバルを挟んだのち、二人の機材たちが中央にドッキングされたようなステージセットに。Meiはヴェールをあしらったキャップ、Ricoは黒のハットでシックにまとめた装いでステージに舞い戻る。後半戦は「playglound」から始まり、予測不能な音の変化に観客は固唾をのんで見守る。

LAUSBUB(撮影=Mai Kimura)

 そして、この夜の目玉である新曲「golden lighter」がついに披露された。多彩なSEと攻撃的な展開が連続し、これまでのLAUSBUBの楽曲群とは明らかに異なる実験的なサウンド。フロアでは驚きと高揚が入り混じり、無意識に体を揺らす観客が続出。演奏を終えた瞬間、この日一番の歓声が響き渡った。

LAUSBUB(撮影=Mai Kimura)

クラブ的な深みに誘う

 その後は「Michi-tono-Sogu」「yesey」「I SYNC」と続き、曲間にはロングプレイが挟まれる。普段のLAUSBUBではあまり見られないプレイスタイルで、まるでディープタイムのクラブを再現するかのよう。音のレイヤーが重なり合い、聞き入るほどの没入感を生み出していた。

 続いて琴奏者・LEO との共作「音の頃」。エレクトロニクスの融合を客席は納得の表情で楽しみ、LAUSBUBの音楽的な広がりを印象づけた。後半を締めくくったのは「TINGLING!」。しなやかで澄み渡るMeiの歌声が、クラブ的な緊張をほどき、会場全体を多幸感で包み込む。本編は大きな拍手とともに終了した。

LAUSBUB(撮影=Mai Kimura)

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