STUTS、旅の果てに辿り着いた境地 Kアリーナ横浜を熱狂で包んだキャリア最大公演『Odyssey』

ステージの転換を経て『Odyssey』も後半へ。ここでSTUTSはバンドメンバーを紹介し、須原杏(Vl)、町田匡(Vl)、大嶋世菜(Va)、林田順平(Vc)と今回のライブでの新たな試みである生のストリングスとして参加するメンバーも紹介。ストリングスの調整も兼ねたゆるやかな演奏からインスト曲「Conflicted」へ繋げる。ちなみにこのときストリングスのマイクにトラブルがあったようで、「繋げと指示が来たんで」とSTUTSは予定になかったMCで物販のコーヒーを紹介(彼のMCの軽妙さや丁寧さはもっと評価されていいと思っている)。会場が和む中、ストリングスのフレーズが印象的な「One」ではtofubeatsが登場し、「Rock The Bells」では熱いKMCのマイクに同調するようにステージから炎が吹き出してフロアは再度熱狂に。

台湾から駆けつけたJulia Wuと先日地元板橋でワンマンライブを成功させたばかりの5lackが登場して、フルメンバー揃った初演奏となる「World's End」で会場をゆったりと震わせ、タイからはるばる来日したPhum Viphuritもステージに現れ、Julia Wuと昨日ミックスしたばかりという新曲まで披露。さらにPhum Viphuritとの「Dream Away」を続け、STUTSの旅がキャリアの起点にあるNYや日本だけでなく、世界各地と繋がっていることが示される。
長岡亮介と昨年タッグを組んだ“いろどりのうた”ではSTUTSも含めた2人の声がカラフルに舞い、ペトロールズのトリビュートアルバム『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?』に収録されたKID FRESINOとの「アンバー」では長岡も歌う特別なバージョンに歓声が上がる。

ライブも終盤へ。OMSBとJJJがラップする「心」、BIMとJJJがラップする「Voyage」には今年4月に早世したSTUTSの良き友人であり理解者だったJJJの声が、まるでステージにいるかのように響き、会場からはすすり泣くような声も聞こえた。
Daichi Yamamoto、Campanella、Ryugo Isida、北里彰久、SANTAWORLDVIEW、NENE、仙人掌、鎮座DOPENESSというフルメンバーのマイクリレーが圧巻の「Expressions」に、PUNPEEによる横浜の偉大な先達、OZROSAURUSへのリスペクトを感じる気の利いたアレンジも飛び出した名曲「夜を使いはたして」でライブはついにクライマックスへ。
そしてKID FRESINOが再度登場し「hikari」。STUTSは「Odyssey」というコンセプトについて説明した際に、「(旅には)悲しいこともある」という旨の発言をさりげなく口にしていたが、この曲で悲しみの先にも旅は続いていくことを、それでも前向きに生きていくことを、最後に力強く示したのだと思う。ラストに披露された「Changes」のスクリーンに映し出された映像には、JJJのオフショットとSTUTSの元に昨年誕生した子どもの姿もMVを再編集される形で挿入されていた(なお、このときの映像は「Changes」を担当したBanri Kobayashiが手がけている)。JJJがSTUTSの子に乳母車を渡したように、バトンは受け継がれ、旅は続いていく。

Kohjiyaと映像でHana Hopeが現れた「99 Steps」に、5人の参加ラッパー全員が揃った「Presence Remix」、PUNPEE、SANTAWORLDVIEW、鎮座DOPENESS、Ryugo Ishida、仙人掌、KMC、Zeebra、それにPUNPEEとZeebraにMPCを奪われた(?)STUTSによるフリースタイルと見所ばかりのアンコールを届け、「Seasons Pass」で3時間に及ぶライブを締めくくった。〈秋の風のよう名残惜しさ残して/次の季節へ〉(「Seasons Pass」)。そんなリリックを表すように、STUTSは来年3月に全国4都市を巡る『STUTS “90 Degrees” TOUR 2026』の開催を発表した。
アンダー/オーバーグラウンドから40人近くの豪華ゲストが出演したSTUTSのスペシャルなステージ。当日会場に足を運べなかった人も、再びあの興奮を映像で味わいたい人も、CS日テレプラスのアンコール放送で目撃してもらいたい。
▼番組情報
『STUTS "Odyssey" at K-Arena Yokohama』
放送日時:2025年9月27(土)21時〜
放送局:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
番組ページ:https://www.nitteleplus.com/program/stuts_odyssey/























