The Smashing Pumpkinsは今も“生きている”ことを実感ーー往年のメンバーも揃った25年ぶり日本武道館公演

The Smashing Pumpkinsのジャパンツアー『ROCK INVASION 2025』が9月中旬から後半にかけて開催。このうち東京では2000年6月以来、実に25年ぶりとなる日本武道館でのライブが実現した。前回の武道館は同年末の解散を目前にした最後に日本公演となったが、2006年に再結成して以降も『SUMMER SONIC』出演を含む2度の来日(2010年、2013年)を果たしているものの、どちらもオリジナルメンバーはビリー・コーガン(Vo/Gt)のみ。しかし、今回はビリーに加えジェームス・イハ(Gt)、ジミー・チェンバレン(Dr)という解散時まで在籍した2人も名を連ねている。かつ、本格的なジャパンツアーも先の2000年以来ということもあり、リアルタイムで彼らに触れてきたオールドリスナーから後追いの若い世代まで多くのロックファンがツアーに参加。結果、今回の武道館公演は早い段階でソールドアウトという快挙を成し遂げた。



当日武道館に入場すると場内ではJudas Priestの名盤『Killing Machine』(1978年)が流れており、否が応でも気分がアガる。そして19時の定刻通りに暗転すると、オーディエンスの拍手と声援に導かれるようにジェームスやジミー、ジャック・ベイツ(Ba)や紅一点のキキ・ウォン(Gt)といったサポートメンバーが入場し、最後にビリーが姿を現すと観客の拍手はより一層大きくなる。そんな日本のファンを前に、時に笑みを浮かべるビリーはギターをかき鳴らすと両手を大きく広げて、観客を煽っていく。そのままライブのオープニングナンバーに突入するのだが、この日の1曲目に選ばれたのはCD化もサブスク配信もされていない「Glass Theme」だった。2000年の解散目前、バンド6枚目のアルバムとしてネット上に無料公開された『Machina II / The Friends & Enemies Of Modern Music』収録の、パンキッシュなファストチューンから勢いよくライブをスタートさせると、最初こそキョトンとした表情だったオーディエンスもビリーの「Rock'n Roll!」の連呼とともに熱気を高めていった。


続く「Heavy Metal Machine」では一転して、重々しくメタリックなミディアムテンポで会場を独特な空気で包み込んでいく。ステージ上手でスペーシーなギタープレイを奏でるジェームス、下手で髪を振り乱しながら激しくギターを弾き続けるキキ、シンプルな演奏でバンドの土台を支えるジャック、バンドの“心臓”という表現がぴったりな躍動感溢れるドラミングでライブを引っ張るジミー、そして独特な歌声は90年代のまま、卓越したギタープレイにもさらに磨きがかかったビリー……個性的な面々が繰り出すアンサンブルは“あの頃”のままのようで、実はしっかりとアップデートされていることも随所から感じ取ることができ、単なる「往年のメンバーによる再結成」だけではないことを証明してみせた。

この日のステージは非常にシンプルなセットで、LEDスクリーンなどのモニター類は皆無。「ロックの侵略」という意味を持つツアータイトルも関係しているのだろう、照明とバンドの音、メンバーのアクションのみで名曲たちを表現するという潔いものだった。実際、こうした試みはバンドの歌や演奏への没入感を非常に強める結果につながり、気付いたらライブが終了していた……と感じるほど時間が短く感じられた。
ジェームスの「コンバンワ、トキオ。アリガトウゴザイマス。Let's Rock!」という挨拶に続いて披露されたのは、名曲中の名曲「Today」。ここからは観客の熱気も一気に高まり、盛大なシンガロングでバンドの好演に応えていく。以降も「Bullet With Butterfly Wings」「Muzzle」「1979」と、代表作のひとつ『Mellon Collie And The Infinite Sadness』(1995年)からの楽曲を連発。途中ビリーが発言していたが、今年で同作リリースから30年という大きな節目もあってか、この日のセットリストにはヒットシングルを含む同作からの楽曲が数多く含まれていた。これは往年のファンにとって嬉しいサプライズだったのではないだろうか。

と同時に、今回のセットリストは単なるグレイテストヒッツでは終わっていない。先に「単なる『往年のメンバーによる再結成』だけではない」と触れたが、この日は「Edin」や「Pentagrams」「Sighommi」「999」と昨年発表の最新アルバム『Aghori Mhori Mei』(2024年)からの楽曲も多数用意。90年代の諸作品とのつながりを強く感じさせた同作だっただけに、この日も往年の名曲の中に混じってもまったく違和感を感じさることはなかった。むしろ、ビリーやジェームス、ジミーが過去の楽曲をプレイするとき以上にいきいきとした表情を浮かべているように見えた……のは筆者の偏見だろうか。それくらいの躍動感が伝わる、良曲たちだったと強く記しておく。
























