蒼井翔太×七海ひろき、コラボライブで『METEORA』の世界を具現化 声を重ねて描いた〈ひとりでは見れない夢〉

蒼井翔太×七海ひろき、コラボライブレポ

 昨年開催されたキングレコード主催の音楽フェス『KING SUPER LIVE 2024』で実現した「Preserved Roses」での蒼井翔太と七海ひろきのコラボレーション。そこで得た大きな手ごたえと反響は、今年8月27日にリリースされたコラボミニアルバム『METEORA』へと導かれていった。そして、その作品に込められていたひとつの大きなストーリーをより鮮やかに具現化するために開催されたのが、『蒼井翔太×七海ひろき DRAMATIC LIVE “METEORA”』だ。

 9月6日、東京・Kanadevia Hall。ライブは演劇パートからスタートした。砂漠化し、花が咲かなくなってしまった地の星で暮らす青年・アオ(蒼井)と、事故により宇宙船メーティオにひとり取り残された風の星出身の青年・ウミ(七海)が、通信を通じて出会うところから物語は幕を開ける。ともに孤独な時間を過ごしていたふたりはすぐに意気投合し、親交を深めていく。ミニアルバムのリード曲であった「CosmoS」を導入とし、生バンドのBGMをバックに演技を見せながら、「Stella」「砂漠の花」と楽曲を挟んでいくことで物語の解像度をぐんぐんと鮮明にしていく。

 表現者としてのスキルを存分に発揮し、見る者を釘付けにするふたりの演技。それぞれの個性を放ちつつ、極上のハーモニーによって場面にふさわしい表情を紡ぎ出していく歌声。時にアドリブかと思わせるような、自由でコミカルなシーンも盛り込まれていた。舞台上のアオとウミ、ふたりのキャラクターや関係性を通して、生身の蒼井翔太と七海ひろきの姿が浮かび上がってくるのがおもしろい。これはまさに蒼井と七海だからこそ実現し得た、最高のコラボレーションと言えるだろう。

 穏やかだった物語は急転直下、不穏なムードを見せ始める。メーティオの目的が、アオの住む地の星の破壊であることを知り、苦悶するウミ。そのことを知ったアオは風の星政府に通信を繋いで歌うことを提案する。歌の力と奇跡を信じたふたりによって再び熱唱された「CosmoS」。すると環境の変化で花という存在が消えていた風の星に一輪のコスモスが花開き、風の星政府は作戦を中止したのだった。

蒼井翔太×七海ひろき DRAMATIC LIVE “METEORA”

 枯れた地にさえ花を咲かせることができる歌の力。それはアオとウミーー蒼井翔太と七海ひろきの歌声によって客席に美しいペンライトの光が満ちていく様子に重なっていく。引いては、彼らの歌が聴き手一人ひとりの心にかけがえのないさまざまな感情を灯していくこととも同義だろう。歌を愛し、歌の力を信じる蒼井と七海が渾身の思いを注いで表現し尽くした奇跡の物語は、割れんばかりの拍手を呼び起こすなか、幕を閉じたのだった。

蒼井翔太×七海ひろき DRAMATIC LIVE “METEORA”

 すべてのオーディエンスが舞台パートの余韻に浸るなか、ステージには黒い衣装を身に纏った蒼井と七海が登場する。今度はライブパートのスタートだ。蒼井の「いくよー!」の声と七海の「いくぞ、おら!」の声を合図にスタートしたのは、水樹奈々×T.M.Revolution「革命デュアリズム」のカバー。ふたりの熱いボーカルの掛け合いに会場のボルテージが一気に上がる。曲が終わり、がっしりと握手を交わしたあとに蒼井が一度ステージからはけると、七海がソロで自身の楽曲「Not Over」、蒼井の楽曲「give me ♡ me」のカバー、自身の楽曲「Knock down night」を披露していく。自らの持ち曲では見る者を一瞬で惹きつける華麗なパフォーマンスが炸裂。MCでは親しみのある言動を見せ、客席からは「かわいい!」の声が飛ぶ。そのギャップが大きな魅力だ。そして、七海らしいカラーに染め上げた蒼井楽曲のカバーでは、「かーいちゃん、フー!」のコール&レスポンスが巻き起こり、最高の盛り上がりを見せた。

 その後、再び蒼井がステージに登場すると、七海の1st SINGLE表題曲「It’s My Soul」をデュエットするというレアなシーンが届けられた。アグレッシブなロックサウンドをバックに、ふたりの歌声が会場を激しく揺さぶる。客席から熱い歓声が沸き起こるなか、七海は一旦、退場。今度は蒼井のソロパートへ。圧巻のロングトーンで幕を開けた自身の楽曲「零」で自らの世界に一気に引き込む。七海楽曲のカバーである「ポラリス」では、大切な人に語り掛けるように感情たっぷりのボーカルを響かせた。そしてもう1曲、舞台パートのストーリーと紐づけるかのように、自身の楽曲「flower」を。曲中の〈たったひとりでは 見れない 夢を/一緒に 彩ろう〉というフレーズは、会場に集まったファンたちへの思いであると同時に、この日のライブをともに実現させた七海へのメッセージでもあったのではないだろうか。

蒼井翔太×七海ひろき DRAMATIC LIVE “METEORA”

 ライブのラストは、蒼井の楽曲である「BAD END」を七海とともに歌ってくれた。ハッピーエンドであった舞台パートに対し、ライブパートをこのタイトルの曲で締めるのが心憎いところ。客席からの「ハイ、ハイ!」のコールに負けじと、力強いボーカルが響き渡る。〈太陽のような 君の存在が〉と七海が歌い、向かい合ったふたりが〈そばにあるからさ〉と声を重ねた瞬間は本当に感動的な光景だった。

 お互いをリスペクトし合うふたりの絆は今回の濃いコラボレーションを通して、より強固なものになったはずだ。ここからはお互いに刺激し合いながら、また自らの音楽道を突き進んでいくことになるのだろう。その道の先で再びコラボレーションが実現することに期待したい。そのときはどんな景色を見せてくれるのだろう――。

蒼井翔太×七海ひろき DRAMATIC LIVE “METEORA”

蒼井翔太「ストーリーはここからが本番」 5年ぶり声出し解禁ツアーファイナルに響いた未来に繋ぐための歌

蒼井翔太が、昨年11月リリースの約6年ぶりのアルバム『DETONATOR』を引っ提げ、1月からスタートしたツアー『蒼井翔太 LI…

蒼井翔太、観客と愛と感謝を伝え合ったライブツアー『WONDER lab. Garden』 これからの飛躍も誓った公演に

今年でアーティストデビュー10周年を迎える蒼井翔太が、2月18日に東京・両国国技館で全国ライブツアー『蒼井翔太 LIVE 202…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる