f5ve「信じて進んできた道は間違っていなかった」 「30 UNDER 30」受賞、海外フェス出演……世界で愛されるグループを目指して

KAEDE、SAYAKA、RURI、MIYUU、RUIの5人から成る東京発の異次元ドリームグループ・f5ve(ファイビー)。LDH JAPANとThree Six Zeroがタッグを組み、日本のポップカルチャー~サブカルチャーを世界へ発信するべく2024年5月にデビュー。エグゼクティブプロデューサーにBloodPop®を迎えたエッジーな感性が光る楽曲、様々なコンセプトを変幻自在に乗りこなすメンバーたちの表現力が国境を越えて熱狂を生み出している。
今回リアルサウンドでは、デビューから2年目にして世界的評価を高めつつあるf5veのメンバーにインタビュー。先日受賞した“世界を変える30歳未満の30人”を選出する「FORBES JAPAN 30 UNDER 30 2025」の話題から、海外でのライブ経験、さらには9月14日に初出演が控えるダンスミュージックフェスティバル『ULTRA JAPAN』への意気込みなど話を聞いた。(編集部)
f5veの活動を通して新しい自分に出会うことが増えた

――「FORBES JAPAN 30 UNDER 30 2025」に選出された時の率直な感想をお聞かせください。
RURI:名誉ある賞だということは知っていましたが、受賞したと聞いた時は正直ピンと来ませんでした。でも友達や家族、会社の方々から「本当にすごいことだよ」と言っていただけたことで、実感が湧くようになりました。特に受賞式のパーティーに参加した時にそのことをより実感しましたね。
SAYAKA:今年30歳になる年なので、早生まれじゃなくて本当に良かったです(笑)。それに(LDH JAPAN代表の)HIROさんにトロフィーをお渡した時に「会社に飾ってください!」と伝えられたことも嬉しかったです。
MIYUU:私も最初は「なぜ私たちが?」という気持ちでしたが、あとから実感が湧いてきました。それとグループに箔がついたなという嬉しさもありましたが、個人的には両親が喜んでくれたことが一番嬉しかったです。
RUI:f5veは王道というよりは、さまざまなサブカルチャーの要素を取り入れた意外性のあるガールズグループです。だから、フォーマルなイメージの「Forbes」とはあまり接点がないと思っていました。でも、そんな私たちをちゃんと評価していただけただけでなく、f5veとして初めていただいた賞なのでとても光栄でした。
KAEDE:RUIが言ったように私たちは新しい形のガールズグループとして、新しい音楽や表現、SNSの発信方法を切り開いてきた部分があると思っていて。正直、茨の道のようでもあったのですが、今回、名誉ある賞をいただいたことで、自分たちが信じて進んできた道が間違っていなかったことを再認識しました。
――選出時のコメントでKAEDEさんが「f5veらしさを大切に、メインストリームとサブカルチャーの境界線を走り続けて、唯一無二のグループになっていけるように」とおっしゃっていましたが、この“f5veらしさ”について、みなさんはどのように捉えていますか?
KAEDE:私たちはそれぞれが完璧でもないし、好きなものも違えば、キャラクターも違います。でも、それを型にはめずにそのまま、それぞれがなりたい自分、好きな自分でいる。例えば、SNSでは完璧な姿だけではなくて、ちょっとふざけたりもするんですけど、そういう飾りすぎていない、カッコつけていない、リアルな自分でいることがf5veらしさだと思っています。
――自分らしいリアルな姿を追求していくことを決めたきっかけは?
MIYUU:以前は、自分自身に「ファンのみなさんの前に立つ時の自分こそが本当の自分だ」と思い込ませていた気がします。でもf5veのメンバーになってから、スタッフのみなさんに「もっとオープンにやってみたら?」と言っていただいたことで、それまで知らなかった自分に出会えたというか、「これが本当の自分なのかな」と思えるようになりました。やっぱり意識して自分を作っていると疲れる瞬間が絶対出てくるんですよね。でも、今は自然体でいられていますし、f5veとしてこれまでの自分とは違う姿を見せた時に、ファンのみなさんや周りの方々が「それめっちゃいいじゃん」と言ってくださることで自信がつきましたし、「これも本当の自分なんだ」と思えるようになりました。それにf5veの作品を作るたびに自分だけでなく、長く知っているメンバーの新しい一面も見つかります。その面白さがf5veの活動にはあります。
――ちなみに最近、どんなメンバーの一面を知りましたか?
MIYUU:RURIとSAYAKAは、すごく自分を持っている人なんです。特にRURIはこれと決めたら、絶対に貫く。それが彼女の良さです。でも、f5veの活動になると、今まで「こういうことしかしません」と言っていたRURIが「f5veだったら、そんな私も面白いのでやってみます」と言うようになったんです。気持ちに変化があらわれて、それをきっかけに性格がもっと明るくなったり、ファンのみなさんの前でもっといろいろな一面を出してもいいと思えるようになったそうなんです。f5veをきっかけに本当に心の幅が広がったんだなと思いますね。
RURI:以前は確かに「自分はこれが似合うからこれを貫き通す」みたいなこだわりがずっとあったけど、f5veの活動を通していろいろなメイクや髪型、ファッションをするようになって、自分じゃない自分に気づけたというか。レコーディングの時にも、例えば自分はこういう声が好きだと思ったとしても、違う意見をいただいて取り入れたらそれが良く思えたとすると、また新しい自分に出会うことができる。そんな風にf5veの活動を通して、本当に新しい自分に出会うことが増えたので、今はいい意味で殻を破り続けています。



海外と日本、ライブで盛り上がる曲にも違いが
―― 今年5月にデビューアルバム『SEQUENCE 01』をリリース後、6月にはNYで開催されているLGBTQ×エレクトロポップの大型フェスティバル『LadyLand Festival』に出演されました。アルバムを携えての海外フェス出演はいかがでしたか?
KAEDE:NYでのパフォーマンスも、アメリカのフェス出演も初めての経験でしたが、事前にSNSで海外のファンから「見に行くよ」というメッセージをいただいていたので、期待と緊張が半々といったところでした。でも、現地では出番前から「f5ve!f5ve!」というファンコールが起こり、初めて私たちを見る方も音楽に合わせて盛り上がってくださいました。それにアメリカで日本語の曲を披露しているにも関わらず、ファンの方が一緒に日本語で歌ってくれる姿を見て、嬉しかったと同時に「私たちも世界で勝負できるかもしれない」という自信につながりました。
――海外と日本のオーディエンスでは、どんな盛り上がりの違いを感じましたか?
RUI:例えば、アメリカのみなさんは気持ちを行動や声で表に出す文化があるので、盛り上がりが目に見えてわかりやすいと思います。実際に初めてLAで単独ライブをした時も、本当に耳がジリジリするほどの大歓声で一緒に歌ってくださって。しかも日本語の曲なのに完璧に歌える方がたくさんいらっしゃったので、私たちへの愛の深さを感じました。そういう方々のおかげですごく救われましたし、自分たちがf5veとして叶えたい夢や目標として思い描いていた光景を見ることができました。
一方、深夜に行った日本のクラブツアーでは、私たちがf5veになる前からずっと応援してくださっているファンの方々にもたくさん来ていただけましたし、サブカルチャーや音楽通の方々にも遊びに来ていただけました。その時に嬉しかったのは、普段は昼間のライブで見かける方にも、夜のクラブイベントに参加していただけたことです。
MIYUU:東京での最初のクラブイベントでは、まだみなさん慣れていなくて、メンバーを見ることに集中していました。でも、東京、大阪、名古屋とツアーを重ねるうちにどんどん音楽を楽しむことに慣れていく様子がわかったというか。私たちの前後に出演していただいたDJの方々の音楽も含めて楽しんでいただけていたので、f5veのライブが音楽を楽しむきっかけになっていることを実感できて嬉しかったです。
それと印象的だったのは、日本のイベントにも関わらず海外の方が多かったことですね。ある会場では客席の右側に海外の方、左側に日本の方という構図になっていて、ファンコールをお願いすると左側からは掛け声が、右側からはメンバーと同じ歌声が聞こえてくるという面白い現象が起きました。その時に国によってファンの音楽の楽しみ方や感情の表現方法が全く違うことを実感しましたね。





――海外と日本では、ライブで盛り上がる曲も違うのですか?
MIYUU:日本ではキャッチーで乗りやすい曲が人気です。特に「Underground」は、TikTokでたくさん聴いていただいたおかげで、私たちのライブを初めて観る方が多い大規模フェスで披露する時に心強い曲になりました。
KAEDE:アメリカだと「Bow Chika Wow Wow」や「リア女 (Real Girl)」がすごく盛り上がります。特に「Bow Chika Wow Wow」は、楽曲自体は知らなくても、タイトルがアメリカの方にも馴染みのあるワードなので覚えやすいみたいです。気づいたら大きな"Bow Chika Wow Wow"という叫び声が観客席から上がっていました。
それと去年ロンドンでA.G. Cook主催のPC Musicのイベントに出演させていただいた時は、彼が制作に参加した「UFO」がすごく人気でした。当時はまだ公開直後だったのにも関わらず、イントロから盛り上がってもらえただけでなく、最後まで一緒に歌ってくれたんです。本当に国や地域で盛り上がり方も盛り上がる曲も違うなと思います。





――『LadyLand Festival』には、カーディ・BやFKAツイッグスを筆頭にさまざまなLGBTQシーンで支持されるアーティストが出演していました。その中で特に印象的だったことは?
MIYUU:『LadyLand Festival』の雰囲気というか、アーティストもファンのみなさんも、それぞれ自分らしく自由に楽しんでいる姿が印象的でした。どのアーティストのパフォーマンスでもじっくり見るというより、そこで自分が踊っている姿を撮影して楽しんでいる人の方が多いんじゃないかと思うくらい、独特の盛り上がり方でした。その様子を見ていると、このフェスに来るお客さん自体が、そういう風に楽しめるライブをしてくれるアーティストを求めていることを実感しましたし、私たちもその環境にいることで新鮮な刺激を受けました。
KAEDE:あるドラァグクイーンのダンスパフォーマンスを袖から見させていただいたのですが、アメリカの方って熱狂的だけど割とシビアなんですよ。だから、その場が盛り上がっていないと本当に盛り上がらない。でも一発、いいムーブをかました瞬間に全員が「ウォー!」みたいな。そこからどんどんパフォーマンスする側も火がついて、一気に会場が盛り上がり、最後は拍手喝采でした。それを見た時に、盛り上がっていようがいなかろうが、まずは自信を持って堂々と100%のパフォーマンスをやることの大事さを改めて感じたというか。そういうエネルギーは、ちゃんと観ている側に伝わることを教わりました。



















