藤井 風、King Gnu、aespa、HANA、なにわ男子、キタニタツヤ……注目新譜6作をレビュー
HANA「BAD LOVE」
許したい、許せない、許してほしい、謝ってほしい、謝りたい、どうにかしたい、どうしたらいいかわからない。コントロールできない恋愛状況を生々しく描いた新曲「BAD LOVE」の作詞には、メンバーのJISOOとMOMOKAが参加。彼女たち自身のリアルな感情をよりダイレクトに投影した楽曲に仕上がっている。〈You〉〈I〉という単語が使われているが、属性やジェンダーは明示されておらず、あらゆる人が自身の体験や思い出と重ねられるのもこの楽曲の大きなポイントだ。現行のUS HIPHOP/R&Bのトレンドを取り入れつつ、MAHINAが中心となって奏でられるサビのメロディの開放感を含め、この国のポップフィールドにきちんと適応。プロデューサー・ちゃんみなの手腕も光る「BAD LOVE」もこれまで同様、大きな共感を生み出すことになりそうだ。(森)
なにわ男子「アシンメトリー」
メンバーの大橋和也主演ドラマ『リベンジ・スパイ』(テレビ朝日系)主題歌となる新曲。ドラムのキック音が気持ちいいダンスナンバーで、作曲は敬也と久保田真悟(Jazzin'park)。タイトル通りテーマは非対称であり、マイナーコードで始まる旋律がパッとメジャーコードに変わったり、明るい希望を求める歌詞の中にダークな過去がふと蘇ったり、随所に仕掛けられたコントラストが楽しめる。ハイライトは2番が終わったあとの展開。いわゆるCメロは大胆に背景を変え、曲をぐっとドラマチックに揺さぶっていく。再びサビに戻っていく時の安心感、さらに転調が加わる時の高揚感など、見事なまでのJ-POPプロ仕事である。(石井)
キタニタツヤ「カルチャー」
曲の中で何度も鳴る“ピー音”(本人曰く、「色々な事情があり伏せ字ばかりになってしまった」)(※1)までも楽しくポップに取り入れている新曲「カルチャー」は、大げさではなく、現在の音楽シーンに最も必要で、最も重要な楽曲の一つだと思う。楽曲リリース時のキタニ自身のステイトメントにもあるように、この曲の背景にあるのは、民主主義が揺らいでる現代において、「商業音楽に何ができるか?」という問い。あとはもう曲を聴いて、歌詞を読んで、あなた自身で確かめてほしいのだが、陰謀論や排他主義に対してここまでしっかりと反対を示している楽曲はきわめて稀だし、それをメジャーのど真ん中でやり切っていて、しかもびっくりするほど明るくポップに表現していることが心底かっこいい。すごいぞ、キタニタツヤ!(森)
※1:https://x.com/TatsuyaKitani/status/1962129904713208225


























