2025.09.04 18:00

水瀬いのり「“楽しい”と“好き”に呼ばれて10年を歩んできた」　音楽とファンと自分――今語る正直な気持ち

「ツラいな」「しんどいな」と思うのは、それだけ真剣に取り組んできたから

――ラストを飾る8曲目が「海踏みのスピカ」。最後にレコーディングしたのがこの曲だったそうですね。

水瀬：はい。曲自体は早めにできあがっていたんですが、レコーディングはオーラスになりました。歌詞には過去のライブタイトルが隠れているので、この曲を作ってくださった藤永（龍太郎）さんはライブを大切にしている方なんだなと、あらためて実感する曲にもなりました。藤永さんの曲は、「僕らは今」や「約束のアステリズム」といった、ライブ会場でみんなで完成させる曲が多いので。

――たしかに。どちらの曲も、ライブで生の音や歌声を浴びて盛り上がってこそ、という印象がありますね。

水瀬：「ライブ会場だからこそ感じられる音がある」ということを証明してくれるようなサウンドになっているというか。レコーディングでは、感情のままに歌いました。「なぜ歌うのか」という私の心情が歌詞に詰め込まれていたので、言葉が導く通りに歌えば、自ずといい歌が録れると思ったんです。だからか、すごくスムーズに録り終えることができました。自然と口から歌詞が紡がれるような感覚すらあったので、気を張って歌った感じもないですし。

――サビには〈ゴールはまだ見えないけれど／この先もずっと、って／そう思うんだ〉とあります。このインタビュー冒頭の水瀬さんのお話に通じるものがあります。

水瀬：こう言うと、なんだか上から目線な気がしてしまいますが……。どの作家さんも私への理解度がすごく高くて。

――いやいや、本当にそうなんだと思います。お話は、作家さんと水瀬さんが密に話し合って制作されたんだろうなと思っていたくらい、どの曲も水瀬さんそのものだなと感じますから。

水瀬：“自分から見た自分”と“他者から見た自分”に全然齟齬がなくて、自分が伝えている言葉や見せている面が、あまり歪むことなく相手に届いているんだなと感じました。もともとスタッフのみなさんとは雑談することが多いんですけど、それだけではなく「インタビュー記事を読んでくれているのかな？」と感じる瞬間まであって、そこまで理解しようとしてくれているんだと思うとすごくうれしいですし、あらためて「これからもよろしくお願いします！」という気持ちになりますね。

――今作の制作期間は、アーティストデビューしてからの10年間を振り返る場面が非常に多かったと思いますが、水瀬さんにとってこの10年はどんな10年でしたか？

水瀬：心身ともに、すごく強くなった10年でした。小さい頃は風邪を引きやすい体質だったんですが、今では体調を崩すことがぐっと減りましたし。それに、自分がやるべきことを見失わなくなりました。特に5年目以降は顕著で、自分で自分を褒めてあげたいくらいです（笑）。

――クリップ集『Inori Minase MUSIC CLIP BOX 2』のインタビュー（※1）の時、コロナ禍でじっくり考える時間ができたことで、意識が変わったと話してくださいましたが、5年目以降というとコロナ禍以降でもありますよね。

水瀬：そうですね。まさにそのあたりから変わることができたと思います。アーティスト活動をやめることは、簡単といえば簡単じゃないですか。「ツラい」と思うことは山ほどあったし、「やめたい」と思うタイミングも何度もあって。きっとそこで「やめます」と言えば、やめることもできたと思うんです。でも、そうしなかったのは、やっぱり「好きだから」「歌いたいから」「演じたいから」。「ツラいな」「しんどいな」と思うのは、それだけ真剣に取り組んできたからなんですよね。そう思えるようになって、内面から強くなれた気がします。

――今後の人生設計はどんなふうに考えていますか？　“アーティスト・水瀬いのり”のこの先を聞きたいです。

水瀬：“楽しい”を最優先に生きていきたいと思っています。その過程にはツラいことや頑張らなきゃいけないことがたくさんあると思いますが、それでもなるべく笑っていたい。「Turquoise」の歌詞に〈「楽しい」と「好き」が呼ぶ方へ〉とあるんですけど、まさに私は“楽しい”と“好き”に呼ばれて10年を歩んできたと思っているので。この先もこの嗅覚を保ちながら活動していきたいです。

――10月からは、ライブツアーがスタートします。前回のインタビューの時にはまだ内容が決まっていないタイミングでしたが、そろそろセットリストが固まってきたでしょうか？

水瀬：はい！　今回はベストアルバムと2ndハーフアルバムの曲を中心にやるので、聴けない曲が多くなってしまうんですけど……でも、すべてを叶えるようなツアーだとそれこそみんなゴールだと思ってしまうと思うので。「今回歌わなかった曲は次のライブで聴けるかな？」と、次を楽しみにしてもらえるくらい、今回のツアーを楽しいライブにするのが今の私の目標です。セットリストは、例年のツアーよりも日替わりの枠が増えると思うので、そこも楽しみにして遊びにきてほしいですね。チームいのりで作る今の私のベストライブを、ぜひ体感してほしいです！

※1：https://realsound.jp/2025/06/post-2058084.html

■リリース情報
ベストアルバム『Travel Record』
発売中

配信URL：https://inoriminase.lnk.to/Travel-Record
購入URL：https://inoriminase.lnk.to/Travel-Record_shop

初回限定盤（CD2枚組＋Blu-ray）
・KICS-94217～8
・9,900円（税込）
・初回限定盤特典：特製BOX＋デジパック仕様／別冊64P写真集／ミニポスター／特製トレカ3種／ポストカード3種／ステッカー3種

通常盤（CD2枚組）
・KICS-4217～8
・3,850円（税込）
・通常盤初回封入特典：特製トレカ

＜CD収録内容＞（初回限定盤／通常盤共通）
Disc1
01. 夢のつぼみ
02. harmony ribbon
03. Starry Wish
04. 春空
05. Innocent flower
06. アイマイモコ
07. Ready Steady Go!
08. Million Futures
09. BLUE COMPASS
10. TRUST IN ETERNITY
11. Wonder Caravan!
12. Catch the Rainbow!

Disc2
01. まっすぐに、トウメイに。
02. ココロソマリ
03. 僕らは今
04. Starlight Museum
05. HELLO HORIZON
06. REAL-EYES
07. glow
08. アイオライト
09. スクラップアート
10. フラーグム
11. heart bookmark

＜Blu-ray＞（初回限定盤のみ）
・10周年記念ドキュメントムービー
・ビジュアル撮影メイキングムービー

2ndハーフアルバム『Turquoise』
発売中

配信URL：https://inoriminase.lnk.to/Turquoise
購入URL：https://inoriminase.lnk.to/Turquoise_shop

初回限定盤（CD＋Blu-ray）
・KICS-94219
・3,850円（税込）
・初回限定盤特典：特製 BOX／別冊 40Pフォトブック
・初回限定盤特典：特製トレカ

通常盤（CD only）
・KICS-4219
・2,750円（税込）
・通常盤初回封入特典：特製トレカ

＜CD収録内容＞（初回限定盤／通常盤共通）
01. Calling Blue（overture）
02. Turquoise
03. 夢のつづき
04. まだ、言わないで。
05. アニバーサリー
06. NEXT DECADE
07. My Orchestra
08. 海踏みのスピカ

＜Blu-ray＞（初回限定盤のみ）
「夢のつづき」Music Video
「夢のつづき」メイキングムービー

■ツアー情報
『Inori Minase 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR Travel Record』
10月12日（日）兵庫・ワールド記念ホール
10月18日（土）静岡・富士市文化会館ロゼシアター大ホール
10月25日（土）福岡・福岡サンパレスホテル＆ホール
11月1日（土）岡山・倉敷市民会館
11月9日（日）北海道・カナモトホール（札幌市民ホール）
11月24日（月・祝）愛知・刈谷市総合文化センター（大ホール）
11月29日（土）神奈川・横浜アリーナ
11月30日（日）神奈川・横浜アリーナ

ツアー特設サイト：https://www.inoriminase.com/special/2025/TR/

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