shallm、音楽は世界を変える革命の手段――初のツアー『一揆』ファイナル、弾ける衝動のすべて

アンコール、ツアーグッズの黒いおにんぎょうバンドTシャツをアレンジした衣装に着替えて再登場したliaは、「新曲やります!」と告げると、本ツアーのために制作した新曲「ゾンビ」を披露。シャープかつ疾走感のあるバンドサウンドと攻撃的な歌詞が聴く者の耳に襲いかかり、衝動の熱を感染させていく。アルバムのために制作した「暴動」から始まって今回のツアーまでの約一年、自分は「なぜ音楽をしたいのだろう?」と考え続けてきたという彼女。「私は音楽でみんなの傷だったり孤独だったりに寄り添いたいと思うけど、でも私が代弁者になりたいわけじゃなくて。『明日も頑張ろう』っていう衝動に噛み付いて、蘇らせられるようなアーティストになりたいなと、そんな音楽をし続けていたいなと。これが私が一年かけて出した答えです」。「ゾンビ」の歌詞にある〈私はアウトサイダー あんたの代弁者ではなく/ノイズに消された衝動に噛み付いてまた蘇らせる〉という言葉は、まさに彼女が音楽を届ける意味を投影した言葉なのだろう。
このツアー恒例となっている、夏にまつわる楽曲のカバーコーナーでは、神聖かまってちゃんの楽曲「フロントメモリー」の鈴木瑛美子×亀田誠治バージョンを熱唱。この曲のみliaはギターを置き、ハンドマイクでステージを自由に動き回りながら歌い、終盤はお立ち台に上って吠えまくる情熱的なパフォーマンスで、8月の最高の景色を作り上げた。
そしてついにツアーの最後の楽曲、彼女が高校3年生の頃に作ったという初のオリジナル曲「夢幻ホログラム」へ。だが、liaにとっては、次の楽曲がツアーのラストナンバー以上に大きな意味を持つ。liaのことを活動当初から支えてきたマネージャーがこのツアーをもって卒業し、彼女のもとを離れるのだという。彼女にとって「姉妹のような友達のような、いちばん大切な存在」であり、この3年間の活動をともに歩んできたマネージャーとの別れ。それを知った時はとても落ち込んだが、こうして歩き出せているのは自分に衝動を与えてくれた人たちのおかげであり、この先も何かを与える側になりたいと、liaは気丈に語る。
「すべての人たちに感謝を込めて。ラスト、魂を込めて歌って帰りたいと思います。またライブハウスで必ず会いましょう!」。そう約束した彼女は、憧れの大きなステージへの想いを形にした「夢幻ホログラム」を歌い始める。冒頭のワンブロックをしっとりと歌い上げると、「ありがとう!」と叫んだ。〈挫けそうな一瞬も忘れないで〉と歌ったあとも「忘れんなよ!」と口にし、親愛なる人に向けて心からの言葉を贈る。憧れの“あのステージ”へと少しずつ近づいている今、liaはマネージャーとともに悩みながら作った「夢幻ホログラム」で、自身の大きな夢をあらためて高らかと宣言し、初のツアーを締め括ったのだ。
その後、マネージャーからの手紙がサプライズでliaに渡され、涙声になりながらそれを読み上げる場面も。だが、「(マネージャーは)私から離れたら、寂しくなって私の曲が聴けなくなると言っていましたが、もう聴きたくなくても聴こえるくらいガンガン届けていくつもりなので。皆さん、どうぞよろしくお願いします!」と頼もしく挨拶。彼女のまっすぐな歌は、音楽に対するまっすぐな想いは、きっとこの先、さらに広く伝播して、我々に胸が鳴ったあんな世界を見せてくれることだろう。


























