佐藤健主演『グラスハート』劇中歌がバイラル首位獲得 TENBLANKが集める作品世界を超えた共感

Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの8月6日付のTOP10は以下の通り。

1位:TENBLANK「旋律と結晶」
2位:TAKUMI & KYOSKE(INI)「So You Can Shine」
3位:ディエゴ・マイター「To the Infinity Castle - Muzan vs Hashira Theme (from "Demon Slayer")」
4位:琳子「中華料理屋の酢豚が食べたい」
5位:Sena Kiryuin & Justen Kuwabatake「III (Sena x Justen Cover)」
6位:HUNTR/X・EJAE・AUDREY NUNA・REI AMI・KPop Demon Hunters Cast「Golden」
7位:TOMORROW X TOGETHER「Beautiful Strangers」
8位:椎名豪「猗窩座 出現」
9位:篠澤 広「サンフェーデッド」
10位:はてな「夢?」

 今週のSpotifyバイラルチャートは、先週のラインナップからガラッと様変わりしている。先週首位だったINIの尾崎匠海&藤牧京介(TAKUMI & KYOSKE)による「So You Can Shine」は2位に後退し、代わってNetflixシリーズ『グラスハート』発の劇中バンド・TENBLANKによる「旋律と結晶」が初登場で1位を獲得した。ディエゴ・マイターの『鬼滅の刃』サウンドトラックカバー「To the Infinity Castle - Muzan vs Hashira Theme」も先週2位から今週3位に踏みとどまり、琳子「中華料理屋の酢豚が食べたい」も4位と健闘。一方で先週トップ10入りしていたHANA「Blue Jeans」やBLACKPINK「JUMP」などはTOP10からランクを落とし、代わりにTOMORROW X TOGETHERの新曲「Beautiful Strangers」(7位)や『学園アイドルマスター』初星学園の篠澤 広「サンフェーデッド」(9位)といった新顔がチャートインしている。バイラルチャートの浮き沈みの激しさを象徴するように、約半数の楽曲が入れ替わる結果となった。

TENBLANK – 旋律と結晶 / Crystalline Echo [Official Music Video]

 今回は、そうしたなかで初登場首位に輝いた「旋律と結晶」をピックアップする。本楽曲は『グラスハート』(Netflix)の劇中に登場する4人組ロックバンド、TENBLANKによるデビュー曲だ。佐藤健が演じる孤高の天才音楽家・藤谷直季を中心に結成されたバンドで、作詞をRADWIMPSの野田洋次郎、作曲を飛内将大が手がけた壮大なバラードナンバーに仕上がっている。劇中ではTENBLANKが初めて観客の前で演奏する楽曲として描かれ、主人公・藤谷の才能とバンドの存在が世に知られるきっかけとなる重要なナンバーである。キーボードとボーカルが紡ぐ繊細で美しい旋律にギターとドラムが加わることで力強さが生まれ、有無を言わせぬ圧倒的な才能の煌めきを感じさせる楽曲だ。

『グラスハート』予告編 - Netflix

 歌詞にもドラマのテーマが色濃く反映されていて〈雨粒たちが  僕らの理解などはるか/ゆうゆうと超える旋律で〉といったフレーズは、降りしきる雨をモチーフに、傷つきやすく繊細な心を抱えた登場人物たちの物語とリンクしているように聴こえる。そして本曲のMVでも降りしきる雨が象徴的なモチーフとなっており、ドラマの劇中でも土砂降りの雨のシーンが印象的に描かれていることから、“雨”をキーワードに楽曲とドラマ、MVが共鳴するような仕上がりになっている。

 また、TENBLANKはドラマ内の架空バンドでありながら、現実世界でも本格的にデビューを果たしたユニークな存在である。7月31日にリリースされた劇中歌を収めたアルバム『Glass Heart』には、メンバーを演じる佐藤、宮﨑優、町田啓太、志尊淳という豪華俳優陣はもちろん、楽曲制作陣にも「旋律と結晶」を手がけた野田を筆頭に、ONE OK ROCKのTaka[Alexandros]の川上洋平、清 竜人、Yaffleといった日本の音楽シーン第一線のミュージシャンが名を連ねている。こうしたクロスオーバーな展開と楽曲のクオリティの高さが相まって、「旋律と結晶」はドラマの配信開始とともに急速に注目を集めた。そんなドラマと音楽の融合から生まれた「旋律と結晶」は、まさに物語の感動と楽曲の魅力がシナジーを生み出した例と言えよう。

 今回のバイラルチャート首位という結果は、作品世界を飛び越えて幅広いリスナーの共感を呼んだ証だろう。TENBLANKが見せるこの現象は2025年の音楽シーンにおけるトピックのひとつであり、ストーリーと音楽が互いに高め合うことで生まれるヒットの可能性を強く印象付けている。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-08-06

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