藤井 風、Mrs. GREEN APPLE、緑黄色社会、Ado……それぞれの“角度”から届ける珠玉の夏ソング

 少し視点を変えて、原曲を夏バージョンにアレンジした例も挙げてみたい。藤井 風は昨年8月、日産スタジアムでワンマンライブ『Fujii Kaze Stadium Live “Feelin' Good”』を開催した。ライブのオープニングで、彼が披露したのが「summer grace」だった。2021年に日産スタジアムで無観客配信ライブをした際にも「罪の香り」が「夏の香り」として演奏されたが、同じように、この曲は原曲「grace」をピアノのインストゥルメンタルにアレンジしたものである。藤井の繊細なタッチによって奏でられるピアノの一音一音が、夏の日差しを浴びてキラキラと輝いているようで美しい。ノスタルジックでありながら、そっと涼しい風を運んできてくれるようなアレンジで、夏の特別な一日をさらに豊かなものにしてくれる。

summer grace (Fujii Kaze Stadium Live "Feelin' Good")

 TVドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系/2023年)の主題歌でもあったAdoの「向日葵」は、燦々と輝く明るい太陽と、青空の下で凛と咲く向日葵が思い浮かぶような楽曲だ。優しいメロディに乗せて描かれているのは、〈夏の日の海〉〈夏の大三角〉といった夏の情景。さらに、〈向日葵のように咲いて/天を仰いで笑って/ただ真っ直ぐな/あなたのようになりたい〉と、相手への真っ直ぐな愛や憧れといった感情が歌われている。聴き手の背中をそっと押すようなエールソングで、Adoのあたたかみのあるボーカルを堪能できる楽曲でもある。

【Ado】向日葵

 同じ“夏”を描いた楽曲でも、そこに込められたメッセージは曲によって異なる。今年はどんな夏ソングがさまざまなシチュエーションに寄り添い、私たちの夏を彩ってくれるのだろう。

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