SKY-HI、20代の時に言われて嬉しかった言葉を参加者たちへ――『THE LAST PIECE』友情と愛情の3次審査後半

 BMSGの新たなボーイズグループ結成へ向けたオーディション『THE LAST PIECE』Ep.03が、7月11日に公開された。

 Ep.2に続き、Ep.3ではチームで課題曲をパフォーマンスする3次審査の模様に密着。4チーム目のメンバーは、RYOMA、GOICHI、RAIKI、ADAM、TAISEI。課題曲は、Dragon Ashの「Fantasista」だ。ロックなテイストに合わせて首を振るパートもあり、ダンスはかなりハードだ。実は、このチーム編成と楽曲のチョイス、そして激しい振り付けには、2次審査の段階で「パフォーマンスを頭で考えがち」に見えたTAISEI、RYOMA、ADAMに、パッションをぶつけて一皮剥けてほしいというSKY-HIの意図があった。

 激しいダンスを踊りながら歌うという高難易度のパフォーマンスに、案の定苦戦するメンバー。なかでも、これまで明るい曲調やバラードを得意としてきたRYOMAは歌に苦戦。また、ダンス歴が浅いADAMも、振りを覚える段階でつまずいてしまう。

 彼らにはもうひとつ大きな課題があった。それは、BMSG TRAINEEのRYOMA、GOICHI、RAIKIと、一般公募者であるTAISEI、ADAMの心の距離がなかなか縮まらないこと。レッスン中はBMSG TRAINEE同士の和気藹々とした会話にTAISEIとADAMが入っていけず、食事のテーブルも別々に。チーム最年少のTAISEIは、「『仲良くするにはどうしたらいいんだろう?』とか考えてて、精神的にもどっと疲れた感じがある」とカメラの前で本音を吐露することも。

 メンバーの心の距離は、早くも2日目からレッスンに影響。ほかのチームが全員で朝練するなか、「Fantasista」チームは3人だけ。さらに午後のレッスンでもフォーメーションミスが続き、徐々に険悪なムードが立ち込める。と、そこでTAISEIがレッスンを一時離脱。追いかけたRAIKIもなかなか戻ってこない。スタッフがふたりを探しに行くと、TAISEIとRAIKIは階段に座り込んでいた。朝練で全員が揃わなかったことに疑問を抱いたTAISEIは、その思いを抱えたままレッスンを続けられなかったと涙ながらに話す。そんなTAISEIにRAIKIは、「今までの合宿で、朝早く起きすぎると夕方にしんどくなった経験がある」と朝練不参加メンバーの意図を説明したうえで、「『今、僕はこういうこと思っているんですけど、どう思いますか?』って聞いてくれたら、俺も一緒に考えるから」と優しく寄り添った。初めて思いをぶつけたことがきっかけで、徐々に自分の意見を言えるようになっていったTAISEI。チーム内での話し合いも活発になり、少しずついい方向に。SKY-HIの差し入れたお菓子がきっかけで仲はさらに深まり、笑顔が増えて明るい雰囲気になっていく。それに伴いパフォーマンスの完成度も急速に上がっていき、振り付けを作ったコレオグラファーのKAITAも絶賛するほどの仕上がりに。

 しかし中間発表では、SKY-HIが表現の引き出しの少なさを指摘。それを受け、エネルギッシュなラップを得意とするGOICHIを中心に、「パッションの解放」を合言葉にエネルギーの高い表現を研究することに。すると、今までクールな印象だったADAMが覚醒し、感情を出すレッスンの一環で「バーカ!!」と絶叫したり、モノマネを披露したりと、新しい顔を覗かせる。チームメイトはそのたびに笑い転げ、まるで同級生の友達同士のような空気が広がる。

 このまま順調に本番へ……と思われたが、RAIKIが喉の炎症を起こしてしまい、普段通りの声が出ない状態に。ここぞというタイミングでのアクシデントに落ち込むRAIKI。メンバーの前でも弱音を吐き、レッスン場でも寝転んでしまう。そんなRAIKIを励ましたのは、SKY-HIの言葉だった。「60%のベストは手を抜いた100%には絶対勝てるから」――。その言葉を受け取ったRAIKIは、今までの自分の態度を反省し、「今から取り返す」と宣言し、全力で練習に打ち込むのだった。

 見違えるほどの成長を遂げ、仲も深まった5人が迎えた審査本番。GOICHIは圧倒的な勢いとロックな熱いパフォーマンスでチームを引っ張り、合宿序盤は涙を流していたTAISEIも自信溢れる表情で完璧なフォーメーションダンスを繰り広げる。ADAMとRYOMAもイキイキとした表情と躍動感に満ちた動きで会場を掌握。RAIKIは最後まで万全の状態ではなかったようだが、その鬼気迫る様子こそがパフォーマンス全体の熱量を猛烈に上げていた。燃えるような熱いパフォーマンスに、SKY-HIは「マジでフェスのヘッドライナーみたいで、めっちゃかっこよかった」と笑顔で賞賛。満身創痍のなかでステージを終えたRAIKIは、「この声で歌えるのは今しかないし、このタイプの僕は今しか見られないぞっていうのを見せられるように、パッション全開で練習した。この楽曲に僕を選んでくださって本当にありがとうございました」とあらためて感謝を述べ、深々と頭を下げた。

 5チーム目のメンバーは、YU、KAIRI、KANON、RAITO、TOMOSHI。課題曲は、Ayumu Imazuの「Superstar」。テクニカルなダンスと歌が要求される難易度の高い楽曲だが、顔合わせの時点からチームの雰囲気は明るく、笑いが絶えない。そんな楽しい雰囲気作りの先頭に立っていたのは、過去のオーディション『MISSIONx2』で最終審査まで残ったKANON。ハードなレッスンの最中も率先して声を出し、チームを盛り上げる。

 メンバーの個性と武器が明確になったのは、ボイストレーニングの時間。独学で歌とダンスを学んできた一般公募者のRAITOはダンスにこそ苦戦していたものの、美しい高音でメンバーやトレーナーから絶賛され、KANONもプロ顔負けの圧倒的な実力を見せる。YUも「英語読めたら簡単だな」と自信に満ちた言葉を発し、KAIRIは15歳とは思えない大人っぽい歌声と表現力でトレーナーを唸らせる。一方、歌唱経験のないTOMOSHIは、裏声と地声の切り替えに苦戦していた。途中、必死に練習するなかでチーム意識が薄れてしまう時間もあったが、全員でパフォーマンスの方向性を話し合って思いをひとつにする。すると、パフォーマンスにもまとまりが生まれ、メンバーの表情にも自信が溢れてきた。

 まさに最強のスーパースター状態で迎えた中間発表。朝、ひとりで練習していたのはTOMOSHIだ。「(BMSG)TRAINEEとの練習時間の差を少しでも埋めたい」。そんな思いが彼を突き動かす。発表本番では、5人全員が完成度の高いパフォーマンスを見せ、SKY-HIに「言うことないかも。このチームのグッズがほしい(笑)」とまで言わしめたが、TOMOSHIだけは浮かない表情。喜ぶチームメイトから少し離れてひとりになると、思うように歌えなかった悔しさをカメラの前で語り、「いい評価をもらってるけど、自分だけこんな歌でチームのみんなに申し訳ない……」と涙目に。そこへチームメンバー4人が現れ、「はい、笑顔!」「ていうか、めちゃめちゃ(声)出てたやん」「大丈夫だよ」と明るく慰め、励ます。誰よりも練習していただけに悔し涙が止まらないTOMOSHIに、RAITOは「いける! 頑張るぞ!」と鼓舞し、KANONは目の前でおどけたダンスを披露。チームメイトの優しさが、TOMOSHIの泣き顔を少しずつ笑顔に変えていく。5人の絆は着実に深まっている。RAITOは「誰かが落ちたら泣く気がする。ここまで一緒にやってきたから」とこの先に待つ運命に思いを馳せ、KAIRIは「この環境を大事にしないとダメですね」と呟いた。

 “全員合格”を目指して挑む、審査本番。KANONは初っ端から圧巻の歌唱力でパフォーマンスのレベルをぐんと引き上げ、KAIRIは研究を重ねたセクシーな表現で観客を魅了。RAITOは苦手だったダンスもしなやかに踊りこなしながら得意のハイトーンを披露し、YUはこのステージを心から楽しんでいるような余裕すら感じさせるパフォーマンスを届ける。そして、一度は悔し涙を流したTOMOSHIも伸びやかな歌声を存分に響かせ、持てる力のすべてを出し切った。難易度の高い歌とダンスを表現し切った5人に、SKY-HIは力強い拍手を送り、「何が嬉しいってさ、最初に出てくる感想が、『うわ、いい曲だな』なんだよね。それってみんなが音楽をする人として、ものすごく高いレベルのパフォーマンスしてくれたから」なのだと賛辞を贈る。その表情は感激に満ちていて、オーディション2次審査の時のように泣き出しそうな顔にも見えた。「幸せな5日間だったなって本当に感じています。発表している時も楽しすぎて鳥肌が止まらなくて、超気持ちよかったです」と瞳を輝かせながら語るKANONは、もうすでにひとりのアーティストとしてのオーラを放っていた。

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