SKY-HI、20代の時に言われて嬉しかった言葉を参加者たちへ――『THE LAST PIECE』友情と愛情の3次審査後半

　そして、最後の6チーム目となるメンバーは、KEISHIN、AOI、REN、TAICHI、KAN。課題曲は、KREVAの「音色」。激しさよりも、質感とニュアンスが肝となるこの曲は難易度が高く、経験を重ねてきたBMSG TRAINEEたちでさえも振り入れから難航。ほかのチームの振り入れのスピードが速いだけに、焦りを感じ始める。なかでも、チーム唯一の一般公募者であるKANは、ダンス歴も浅いため、チームメンバーとの実力差を痛感し、追い込まれていく。そんなKANの様子に気づいたチーム最年長のRENは気さくに声をかけ、さりげなくアドバイスする。REN自身、BMSG TRAINEEとしての期間が長く、このオーディションに懸ける思いは人一倍強い。カメラの前では「正直負けたくない（という気持ち）が俺は強い。勝ち負けじゃないのはわかってるけど、優劣がついてしまうのがオーディションだと思うので」とハングリーな一面を見せることも。

　「音色」チームの最大の課題は、自分らしい歌声を見つけること。原曲のインパクトが強いだけに、自分なりの表現が求められる。5人は試行錯誤しながら練習を重ねていくが、TAICHIは自分の歌声に自信が持てずにいた。「胸を張って自分を表現できるようになりたい」と語るTAICHIだが、緊張しがちで自分の努力を信じられず、どうしても萎縮してしまうのだという。そんな彼に、SKY-HIも歌い方のニュアンスを細かくアドバイスし、「めっちゃいい！」と盛り上げながら丁寧に育てていく。

　振り返ってみれば、この3次審査で誰よりも忙しく駆け回りながら6チームを見てきたSKY-HI。彼は、自分のアドバイスを実践する参加者に対して、口癖のように「なんですぐできんねん！」と連発していた。これは、自分自身が20代の時に言われて嬉しかった言葉を、次世代を担う参加者たちにかけ続けてきたのだという。SKY-HIは、「審査の様相よりは、（この世代のみんなを）本当に底上げしたい。日本の若者みんなが夢見るようになったら国がボトムアップするじゃないですか。それをやりたい」とあらためてプロジェクトへの熱意をカメラの前で語る。

　そんなSKY-HIの熱い指導を受けて成長していくメンバーだが、歌いながら踊るフェーズに入ると、今までできていたダンスも崩れてしまう。中間発表では、歌やダンスの表現についてSKY-HIの指導が入り、悔しそうな表情を見せるKEISHINやKAN。そこでチームを鼓舞するのは、やはりRENだった。「ここらへんで3段飛ばしぐらいした進化をしていかないと。どこで差をつけるかって、マジで歌だから」というRENの言葉に励まされ、彼らは屋上へ。青空の下、ひたすら音楽への愛が綴られた「音色」を歌いながら、自分だけの表現を探し続ける。愛が溢れすぎたのか、歌うRENにKEISHINが抱きつく微笑ましい場面も。

　その後もRENが中心となってパフォーマンスの細かい調整を繰り返し、なんとか納得いく仕上がりに。そして迎えた運命の審査本番。チームを牽引してきたRENは存在感のある声でエモーショナルな表現を見せ、KANは抑揚をつけた深みのある声をたっぷりと響かせる。KEISHINはあどけなさの残る見た目とは裏腹に、男らしく強い歌い方でオーディエンスの心を掴み、AOIは低音でクールななかにも色っぽさの滲む歌声を乗せる。自信なさげにしていたTAICHIもまた、儚く繊細なボーカルで自分を表現。5人全員が、間違いなく自分にしか出せない唯一無二の表現を鮮やかに開花させたのだった。

　SKY-HIは、「エモーショナルとか切ないとかよりも、“楽しそう”が勝ってたな。こっちも楽しくなってきた」と評価。パフォーマンスを終えたKANは「音楽とこんなに触れ合った世界は僕の人生でなかった」、RENは「音楽に対する愛情がどんどん深まっていく5日間だった」と、課題曲のメッセージにも通じる合宿経験の貴重さをあらためて言葉にして感謝の思いを述べた。

　これで3次審査のパフォーマンスはすべて終了。5日間を通して大きく成長し、かけがえのない絆を築いてきた30人だが、次の審査へ進めるのは約半数のみ。果たして未来への切符を掴むのは誰なのか。審査結果は、次回明らかになる。

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